第22話□妖精ミーム
誤字がないように気をつけて見ていきます。よろしくお願いします。
目的の人はいなかったので宿に帰ることにした。奴隷商の中を通っていくと色々な部屋を見かけた。 みんな首輪をつけて うつろな目をしている者が多かった。
もうすぐ出口というところで私は ふと足を止めた。鳥かごの中に小さな女の子がいるのだ。しかも黒い靄がかかっていて苦しがっている。
「あのこの子はどうしたんですか?」
「それは妖精らしいのですが見つけた時から その黒いモヤがかかっていて弱っているんですよ。こちらも対処に困ってるんで、そろそろ廃棄しようかと思っています」
「廃棄って殺されちゃうんですか」
「まあそんな感じです」
それはいくらなんでもかわいそうすぎる。それなら私が引き取って森へ返してあげよう。
「この子を引き取りたいのですが おいくらになりますか」
「もう廃棄寸前ですので銀貨2枚になります」
お金を払って鳥かごごと宿へ持って帰って来た。見ると妖精はほとんど動かない。黒い靄に苦しめられて力が残っていないようだ。
これは毒じゃないわよね。ひょっとして呪いというやつかしら?久々に教本を出して調べてみた。やはり呪いの可能性が高いようだ。解呪してみよう。
「リムーブカース!」
黒い靄が大分取れたわ。でもまだ残っているわね。もう1回!
「リムーブカース!」
これで綺麗に靄は取れたわ。妖精さんの姿がよく見えるようになった。 トンボの羽みたいのが4本生えている。あとは色白の女の子だ。ノースリーブの緑の服にミニスカートにブーツのようなものを履いていて頭に触覚が2本生えている。30センチメートルぐらいの大きさかな。
「ううう?ここはどこ?私は誰?あっ私はミーム。はあ~お腹すいた〜お腹が空きすぎてお腹が痛い〜!」
マジックバッグからパイと果物を出して妖精のミームちゃんにあげた。
「ん~これは美味しい!んん〜こんな美味しいものは食べたことがないですー!もぐもぐ」
「元気になってよかったわね。もう森に帰りなさい」
この妖精に関しては廃棄寸前のところを買ってきたのだから奴隷契約とかはしていない。だからいつでも自由にここを立ち去ることができる。
「ミームは恩知らずじゃないですー!だからあなたに恩を返してから森へ帰りますー」
「そんな律儀にしなくてもいいのに。私は冒険者のセイ。だいたい何で呪いなんか受けたの?」
「それは·····」
森の遺跡の中にいたリッチにいたずらをしたら呪いをかけられたということだった。妖精がいたずら好きというのはどうやら本当みたいだ。
しかし、そんな強いやつにいたずらしたらこうなるのは目に見えてるのになんで分からないのかな。ひょっとしておバカさんなの?
「セイ!今失礼なことを考えたでしょう。ミームにはすぐ分かってしまうのー」
無駄に勘だけはいいやつだ。
「そんな賢いなら強い奴にいたずらなんかしなきゃいいでしょ」
「だってあいつは骨のくせに威張ってるからミームが思い知らせてあげようと思ったのよー」
「それで思い知らされてたんじゃ世話ないじゃないのよ」
「たまにはそういうこともあるのよーちょっとお出かけしてくるですー」
そう言ってミームは窓をすり抜けていった。え?窓をすり抜けるってどういうこと?すごい特殊技能だわ。
この妖精のミームさんは隠れることに関してはなかなかのもので普通の人間にはなかなか発見できないようだ。
どこ行ってるのかわからないがご飯の時間になると帰ってくる。食べることは好きなようで特に甘いものには目がない。
恩を返すというよりは美味しいものが食べたいから私のそばにいるというような感じに思える。まあ一人でいるよりは楽しいし賑やかでいいのかもしれないわね。
次の日私は森の遺跡についてミームに聞いている。西の森の奥にあるようだ。アンデットを退治してお宝をゲットしたい。
「本当に一人で大丈夫なの?リッチは強いよー」
「私は神聖魔法使いだから多分大丈夫です」
「ミームもついて行くー」
どうしたの?この子は。いつもは好き勝手にふわふわ飛んで行ってしまうくせに。一応私のことを心配してくれてるのね。ちょっと嬉しくなっちゃうわ。
ここから10キロ以上も離れてるんじゃ歩いて行ったら大変だわ。街で馬車を借りて行くことにした。
さすがに歩くよりは早く1時間と少しで目的地の近くまで行くことができた。馬を馬車から離して休ませてから遺跡に出発した。
白っぽい石造りの建物が見える。きっとこれがミームの言っていた遺跡だろう。入り口のようなものがあって中は広くなっていた。
「セイ気をつけてーここの地下2階にリッチがいるわー」
「うん。ありがとう。それじゃあ行ってくるね」
ミームはとっても心配そうな顔をして私を見送ってくれた。そんなに強いのかな?リッチっていうのは。
中に入ると石像が動いてこちらに襲いかかってきた。なんだこりゃ?魔物の一種でしょうね。
「それは ガーゴイルっていうのよ中にある核を砕かないと倒せないわよー」
外で見送ったくせに心配でついてきてくれたのかしら。意外といい子ね。それに魔物の知識は全然私より上だわ。ここに来るまで植物についても色々なことを教えてくれた。 この子本当に物知りだと思う。
プロテクションを張り巡らして魔力の腕でガーゴイルを砕いた。なんか玉みたいのが出てきたのでそれを抜き取ったら動かなくなった。他のも同じようにしたらみんな同じように動かなくなった。
「地下1階はこれで終わりのようね」
「あなたむちゃくちゃ強いわねーミームびっくりー」
「そうかな」
地下2階に入ると奥にリッチがいた。なるほど骨がロープを着ている。リッチはアンデッドを作り出したようだ。スケルトンや 首のない騎士を生み出していた。
「ミームあの首のないのは何て言うの」
「あれはデュラハンよー」
なるほどリッチの左右にデュラハンがいてその前に無数のスケルトンが湧いてきた。
「ターンアンデッド!ターンアンデッド!サンクチュアリ!」
この場を聖域化して浄化したので早々アンデッドは生み出せないはずだ。リッチは自ら黒い霧を放ち私に迫って来た。
「ホーリーウェポン!」
10本の大剣を出して黒い霧を斬って行った。剣が霧に当たるたびに黒い霧は消えていった。結局リッチはいいところなしでホーリーウェポンに刻まれて消滅した。
「本当にあなた強いわねーミームお目々パチクリですー!」
「アンデッドなら相性はバッチリよ!」
さてもう敵もいないし何か宝になるようなものはないかな。箱があったけど中にはさっきガーゴイルの中にあった核がいっぱい入っていた。
こんなもんで何をどうすればいいって言うのよ。私には利用方法が全然わからないわ。
その他に見つけたのは何の金属かわからないけれども金属の板をたくさん発見した。しかしどう使っていいのか全く見当がつかなかった。
「セイーこの玉でガーゴイルを作ることができるのよー」
「どうやって?」
「多分魔力を通せばいいんじゃないかなー」
「なるほど」
魔力を通すのなら私にもできるわ。石が立てかけてあったので核を持って行って一緒に魔力を流してみた。近くでミームも見ている。
すると核を中心にして石が変形して形を作り始めた。そして石造りのミームができた。 え?なんでミームになったの?
「どうやら魔力を通した時の製作者のイメージが形になるみたいねー」
「なるほどー」
これはもうゴーレムね。このゴーレムは私の指示をよく聞いてくれる。これを改良すれば私と一緒に活動できる前衛になるんじゃないかな。
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