第20話□謁見
誤字がないように気をつけて見ていきます。よろしくお願いします。
ロッドレイ王国王都南冒険者ギルド
「い、いやー!絶対いやー!」
「だってセイが魔王軍の四天王を1人で撃退したんじゃぞ。B級に上がれるのはいいことじゃないかの」
「B級に上がったっていいことなんか一つもないわ。痛いし!服はボロボロになるし!恨まれるし!」
「うーん。こりゃ保留じゃのう」
「何で評価されてんのにこんなにごねるんだよ!金にはなっただろう」
「お金はポーション売れば稼げるし目立つのは嫌いだし痛いのも嫌い!」
「だめだこりゃ」
「だが国王への謁見は断われんぞ。魔王軍の四天王を撃退したのは間違いなくお前なのだし」
「···················」
国王に謁見なんて死んでもいやだ。あんな連中全く信用できない。また自分の都合で好き勝手なことを言うに決まっている。これはこの国から逃げた方がいいかな。冒険者はよその国でもやっていけるって聞いたし。
「お前逃げる気じゃろ?」
「う、何で分かるの?」
「そりゃまあ人生経験ってやつじゃな。お前位の娘っ子の考える事くらい分かるわ」
「すぐ出発して この国を出て行けば追いかけて来れないでしょう」
「待て待て。せっかく褒めてくれると言うておるんじゃ。何をくれるか聞いてから逃げても遅くないじゃろ?」
「どうせ領地をくれるとか、爵位をやるとか、王族と結婚しろとか、そういう褒美でしょ?絶対いらないわ!」
「そういうのは辞退してお金だけもらうというのはどうじゃ?」
「そんな事出来るの?」
「かなり失礼になるがの。許可が出たなら わしがついて行ってやってもいいぞ。 先輩冒険者が後輩の面倒を見るのは当たり前じゃからの」
結局またタロスさんに言いくるめられてしまった。謁見は明日なので今日のうちに服を買わなければならない。ついでに折れてしまった剣も購入しておこう。
王都の中央にある高級服屋に来ている。王様に謁見すると伝えたらドレスを勧められた。まあそれが普通だと言うなら仕方がないので1着購入した。色はピンクでフリルがたくさん付いているやつだ。装飾品についても勧められた。だからネックレスとイヤリングと髪留めを買っておいた。金貨1枚が飛んで行った。
次に武器屋に行き壊れた剣の補充をした。なるべく大きくて丈夫な剣を選んだ。これならばそうそう 砕けたりはしないだろう。すごくゴツい剣を10本購入した。金貨3枚が飛んで行った。
特に用はないのだが道具屋に寄ってみた。転移の羽が売っていたので5つほど買っておいた。銀貨50枚かかった。
いろんな魔法を付与した装飾品がたくさん売っていた。ファイヤーボールが出る指輪とか面白いなと思った。私も魔法付与できないものかな。今度試してみよう。
翌日ロッドレイ公爵邸
ここはこの前の戦いで軍の司令官だったロッドレイ公爵の舘だ。王城が壊れているので全ての行事はこちらで行われているらしい。
私は昨日買ったドレスを着てこの館に来ている。ついてきてくれた タロスさんはスーツ姿だ。
「タロスさん。今日はよろしくお願いします」
「うむ。大丈夫じゃ!」
控え室で待つこと30分。ようやく 謁見の時間になった。謁見できる部屋の前に行くとドアの前に立ってる警備の人にバッグを預けるように言われた。
「えーやなんですけど!なんでバックを預けないといけないんですか?」
「王族と会うのに武器の持ち込みは禁止です」
「他にも いろんなものがたくさん入ってるんで人に持たれるのは嫌です」
「これは規則ですから」
「あーそれじゃあ私はこれで帰ります。私はちゃんとここまで来たんです。でも入れてもらえなかったっていう事は伝えておいてください。それじゃあ、さようなら」
帰ろうとするとタロスさんに掴まれて止められた。
「せっかく なだめてここまで連れてきたんじゃぞ!全くバックぐらいよいではないか?」
「しかしこのまま通したら私の方が責任を問われます」
やはりここから先は通れるのは私1人のようなので結局バックはタロスさんに持っててもらうことになった。
「それでは行ってきます」
「うむ。短気は起こすなよ」
「善処します」
ドアが開いて中に入ると両側には 剣を持った警備兵が10人ほど並んでいた。その後ろ側には貴族の男女が50人ほど立って並んでいた。ひそひそ話が聞こえてくる。とっても嫌な感じだ。
「あんな若い子が本当に魔王軍の四天王を退けたのか。信じられんな」
「下賤の者め!」
色々言っているようだが そういうのは無視して王様の前で 片膝をついて頭を垂れた。
「冒険者セイ!面を上げよ!」
顔を上げて王様を見るとやはり召喚された時に見た顔だった。 相手は私のことに気づいていないようだ。ちょっとお化粧してるから分からないだろう。
「此度の働き見事であった。褒美を取らせる。何が良いか?領地でも爵位でも申してみるが良い!」
「はい。それでしたら流浪の身なれば少しばかりの金子を頂ければと思います」
「ふむ、出世には興味がないようだな?よし冒険者セイに金貨100枚を与える!」
「お待ちください 王様!」
「何だ?アルベール公爵。何か不満でもあるのか?」
「はい。いかに報告が上がっていようともこのような小娘に魔王軍の四天王を倒せるわけがありません!何かの間違いではないかと思われます」
何言ってんのこのおっさんは。報告が信じられないなんて。こんなアホが公爵なの?まあ私が弱そうに見えるのは間違っちゃいないんだけどね。
「私の供の者が此奴の実力を測ってご覧に入れます」
そういう紹介の後に公爵の後ろから剣を持った大男が前に歩み出て私の前に剣を投げ入れた。この剣で自分と戦えということか。
王様を見るとかなり慌てているようだ。これはアルベール 公爵の独断なのか?
「待て!アルベール公爵!この調査結果は余の弟であるロッドレイ 公爵からの報告なのだぞ!」
「ですから これは確認ですよ!」
「い、いいですよ。確認でも何でも私に指一本でも触れられたら大したものです。気に入らないと思われる方はどうぞ どこからでもかかってきてください。その代わり余興ですから参加費は払っていただきますよ」
「おのれー舐めた口を利きおってー!」
他にも2人剣を抜いて私に斬りかかってきた。やはり大きな男で腕自慢なのだろう。みな貴族の護衛らしい。身の回りにプロテクションを張り巡らせわざと剣を受けてみた。これくらいなら全く私は動く必要もないだろう。
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!3人がかりで剣で切りかかってくるがプロテクションに阻まれて全く切ることはできていない。
私は魔力の腕を伸ばして切りかかってきた3人を叩き伏せた。ガン!ガン!ガン!ゴン!ゴキ!バキッ!同時に主人である貴族たちを持ち上げて締め上げている。魔力の流れが見えない人には3人の貴族が空中に浮いてもがいてるようにしか見えない。
ドスドスガンガン!ドスドスガンガン!ドスドスガンガン!
「うげぇー!わ、分かりました。私の勘違いでした〜えげ〜」
「ゔぁー!苦しい〜み、認めます〜うあー!」
「うべ〜!分かりました〜し、死ぬ〜うがー!」
こいつらこのまま絞め殺してやろうか。そう思ったが王様から声がかかったので やめておいた。
「よ、余興は終わりだ。冒険者セイよ!そこの各貴族たちからも金貨100枚が出るぞ!」
「はい。ありがとうございます。余興ですので皆さんの回復をしておきます。エリアハイヒール!」
回復した3人の貴族と3人の従者は這いつくばって後ろへ下がって行った。私は結局金貨400枚をもらって退室した。結構儲かってしまった。
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