第150話□気安くホイホイ呼ばないでよ!
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魔族のみんなを送ってから私はリンドブルム共和国で過ごしている。病院に行ったり巨大ゴーレムを眺めたり世界樹の様子をみたりしている。
普通の生活っていいな。魔界へ行く前は旅行に行こうと思っていたけど今はこれでいいかな。
「セイ様。そろそろお迎えが来る頃ですよ」
「へぇ?お迎え?何の?」
「魔界ですよ。このまま何もないということはないと思いますわ」
「だって約束は果たしたでしょ?これ以上何があるっていうのよ」
「ほら、セイ様は有能ですから何とか魔界の為に働いて欲しいんじゃないでしょうか」
「えーもう戦争は嫌だな〜」
「とにかく巨大ゴーレムを持った方が良いのではないですか?」
ミーミルちゃんが言うなら確実にお迎えが来るのだろう。参ったな。私は仕方なく巨大ゴーレムをマジックバックにしまった。
「召喚されない事を」
「あ、消えましたわ。召喚されたようですね」
魔界魔王バラクゴーンの居城
見覚えのある風景だ。ここは決戦前に3人で打ち合わせをした部屋だ。
「突然呼び出してすまんな」
ん?魔王が1人で呼び出したの?いったいどうやったの?
「気安くホイホイ呼ばないでよ!1人でよく呼べたわね。それで今度はどんな用があるの?」
「ベリアル様に魔鉱石をもらったのだ。魔鉱石を使えば俺1人でもお前を呼び出すことができたという訳だ」
「なるほどね」
「連れてきた俺の部下を新しい領地に配置したがこれから活動していくには戦力が足らん。そこでお前のゴーレムを貸して欲しい」
戦力増強目的ね。貸すとなると毎回こちらに来ないといけないわね。それは面倒だし避けたいわ。
「材料があれば作ってあげるわよ。土より金属の方がいい物ができるわ。後は大きさにもよるわね」
「なるほど!ちょっとお前のゴーレムを見せてくれ」
外に出てゴーレムを見せる事になった。大きい物から順に並べて見せてあげた。
「土と金属では頑丈さにどれぐらいの差ができるのだ?」
「んー多分倍以上違うと思うわ。アザゼルの軍と戦った時は金属製のゴーレムでもかなり被害が出ていたわ。これからあなたたちがもっと強い相手と戦うなら土だと心もとないわね。数があればいいって言うんだったら土は手軽でいいけどね。魔力操作ができれば修理も簡単だしね」
結局両方作ってみることになった。大きさは10メートルサイズのドラゴンゴーレムだ。核を用意して魔力操作でドラゴンの形を作る。後は魔鉱石を入れ人工知能を組み込み魔導レーザーをセットする。土だったら5分で出来る。2時間で24体を完成させた。
魔王が用意してくれたのはクズ鉱石と鉄だった。クズ鉱石の方は土よりちょっと時間がかかる程度で出来る。こちらは1時間で10体完成させる事が出来た。
最期に鉄で作ってみた。1体作るのに20分かかった。1時間で3体作りお昼休みにした。
食事が用意されていたのでそれを食べて一休みした。
「サルエル様。本当に魔王様と聖女は協力して戦ったんですニャ?」
「どうやら本当のようだなウキキ。魔王様がお仕えしているベリアル様は只者ではないウキキ」
「そうですニャ。3人ががりで倒したアザゼルって悪魔王は更にやばい奴だったみたいニャ!」
「我らも更に強くならねばならんウキキ!」
「聞いた話では聖女は最後まで魔法を使っていたそうですニャ!あいつが一番化け物なのではないかニャ!」
「あたいも聞いたウッキー。聖女は死人を何人も蘇らせることができるそうだウキキ」
「今は力をつけましょうニャ」
あれ!猿と猫が遠くからこちらを窺っている。魔王に何か言われたのかな?飛びかかってくることがなくなったのはいいことだ。
午後からも作業を進めて土ドラゴンゴーレムを30体、クズ鉱石ドラゴンゴーレムを20体、鉄ドラゴンゴーレムを10体完成させた。
「合計で60体出来たわ。魔鉱石や魔導レーザー砲や人工知能の代金は払ってよね!」
「分かっておる。しかし、これだけ並ぶと壮観だな!」
「ちょっと動かしてみていいか?」
「どうぞ」
魔王はドラゴンゴーレムを指示して走らせたりお互いに戦わせたりして様子を見ていた。
「これは土で作ったものも意外と使えるのではないかな?」
「そうかもしれないわね。あとは実戦で試してみてよ」
「うむ分かった」
結局この日は魔界に泊まることになり魔王一家と食事をすることになった。魔王バラクゴーンと妻イドライム。1人娘のレビライムちゃんも一緒だ。
私は黒のドレスに着替えて食事会に参加している。こういう時でないとアクセサリーもつける機会がないので色々と身に付けている。
奥さんにはリンドブルム共和国の美容系のお土産とアクセサリーをたくさんあげておいた。娘のレビライムちゃんには聖女印のお菓子をあげた。
「レビライムちゃん久しぶりね」
「セイお姉さん。生まれたばかりの頃はお世話になりました。あれは私にとって貴重な体験になりました。感謝しています」
「いやあれは私の失敗でした。子供は親に育てられるのが一番だと思います。すみませんでした」
「そんな事はないですわ。娘の魔法の力は群を抜いています。これもひとえに聖女様の近くにいたおかげだと思います」
「そうでしょうか」
「そうですよ」
2人に熱い眼差しを向けられるとなんだか恥ずかしくなってくるわ。魔王はその様子をニヤニヤして見ているけどだんだん恥ずかしくて頬が熱くなってきたわ。それから和やかに食事をしてその日はお開きになった。
何かこの魔界にいると妙に充実している感じがする。きっと精一杯頑張らないと結果が出ないからだと思う。私はこの地に生きがいを見いだしているってことかな。地上も楽しいがこのしびれるような充実感は味わったことがないので自分でもびっくりしている。
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