第142話□再び魔界へ
いつも誤字の指摘ありがとうございます。よろしくお願いします。
ん?ここは?この紫色がかかった世界は見覚えがあるわね。魔界ね。ということは私は魔界へ転移してきたということね。自分で来たわけじゃないから誰かに呼ばれたってことね。魔界に知り合いなんてほとんどいないけど。
「久しぶりだな!聖女よ!」
「うん?この声は?」
私の前には魔王が立っていた。生きてたのね。ていうか前よりかなりたくましくなってるわね。あっちこっち傷がいっぱいついている。きっと苦労したのね。
「魔王バラクゴーン!」
「久しぶりだな聖女。しかし本当に呼び出せるとは思わなかった。元気そうで何よりだ」
「私を呼んだのは復讐?」
「ああ、なかなかいいところへ送ってくれたな。まあ復讐心がないということもないが今は己の野望は果たすのが先だ。俺は今悪魔王ベリアル様に仕えている。俺の後ろにいるお方だ」
悪魔王ベリアルは赤い燃えるような皮膚をしたなかなかイケメンのいい男だった。髪も赤い!燃えてるんじゃないかと思った。身長2メートル位で筋肉質だ。羽が6枚あり立派な角が2本生えていた。いろんな意味で街ですれ違ったら絶対に振り返るレベルだ。
「お前が聖女セイか。まあ話は後だ。バラクゴーンと話し合ってくれ」
「···············」
そう言ってかっこいい悪魔は退出してしまった。不覚にもちょっと見とれてしまった。
「それであなたの目的は何なの?」
「俺はお前にここに送られて自分の実力のなさに打ちのめされたものさ。 だがここで生きていくうちにずいぶん鍛えられてな。かなり腕を上げることはできた。ここにいる連中は俺にとっては親戚 みたいなものだ。今更恨むだなんて言ってられねえ。悪魔王ベリアル様には世話になったんでな。借りをきっちり返したいだけだ」
そんなの自分一人で返せよ。何で私を呼ぶかね。
「本来なら俺一人で手伝えばいいことなのだが今争っている相手が悪魔王アザゼルだ。こいつがとんでもない能力の持ち主でな。手下がたくさんいて手こずっているんだ。そこでお前のことが頭に浮かんだというわけだ」
「そんなの私が手伝う義理はないわ!」
「まあお前ならそう言うと思った。何でも報酬を出そうじゃないか。それで手伝うってのはどうだ?お前が自力で地上に戻れるのは知っている。帰ってもいいのだがこちらも2人で呼べばすぐに呼び戻せるのだ!」
それじゃ帰ってもまた呼び戻されちゃうじゃないの。何てめんどくさい奴だ。しょうがないな。
「くっ!私の好きな物は綺麗な宝石、素敵な服、美味しい食べ物、旅行、嫌いなのは奴隷制度 」
「なるほど、分かった!善処しよう」
魔王バラクゴーンの話によれば相手の悪魔王アザゼルは巨人を生み出せるようだ。どうやって生み出してるかは知らんが身長5メートルから10メートルの巨人が200人はいるそうだ。その下に5メートルのヤギの魔獣が500体はいるらしい。
こちらは人間サイズの兵隊が1000人ほどだそうだ。なるほどこれではかなうわけがない。一度帰って大型のゴーレムを連れてくるか。
「今の私の手持ちのゴーレムは10メートル級が20体、航空戦力が10体ってところね。超大型は取りに行けば7体あるわね」
「それはあった方が戦力になるのか」
「そうね。 圧倒的に強くなると思うわ」
「ならば話は簡単だ。 取りに行ってくれ。3時間後にもう1回召喚する」
「分かったわ。時間の流れはこちらも向こうも同じだから3時間たったら呼び戻して」
私は西の海に浮かぶビッグタートルをイメージして転移した。
「前より疲れなくなってるわね」
ステータスを見てみると魔力値が1万減っていた。前より少ない魔力で転移できるようになっている。私も進化してるってことね。
「セイ様今日はどのような御用向きですか?」
「これから魔界へ戦いに行きます。みんなは私のマジックバッグで運びます」
「分かりましたニャ」
「魔界ってどんな所かニャ?」「ここより恐ろしいところじゃないかニャ?」
「行けば分かるニャ」
私はワイバーンゴーレムで外に出てビッグタートルを回収した。続いてリンドブルム共和国に転移した。
「みんな仕事よ!今から魔界に行って戦うわ」
「おおー!ついに我の初陣ですな!」
みんなをマジックバッグにしまい魔鉱石を取りに行った。それから転移の羽も物質変換器で増やしておいた。最後に家に戻って来た。
「ただいま2人とも!」
「はあー無事でよかったわー」
「大丈夫ですの?」
私は魔界で魔王と共に戦うことを2人に話した。
「それじゃあ巻き込まれたってことね!いい迷惑じゃない!」
「そうなんだけどね。私も魔王を 魔界へ送り込んじゃったので今回は断りきれないのよね。まあ何とかなるでしょ」
「セイ様気をつけてくださいませ」
「まあ、またお土産を買ってくるわね」
「あ、消えた!どうやらまた魔界へ呼ばれたみたいね」
「無事に帰って来て欲しいですわ」
魔界悪魔王ベリアルの城
私はさっそく持って来たゴーレムを出して見せてあげた。
「これは大きいな。何が出来るのだ?」
「暴風龍は大風を起こして相手の自由を奪ってくれる。キングドラゴンやベヒーモスは頑丈で当たりに強い。みんなブレスを出せる。ビッグタートルは足は遅いけど前線基地として使え砲台もあるわ」
「うむ!これならば手下どもは任せられるかな。バラクゴーンよ我らでアザゼルを討とうぞ!」
「はい。必ずや期待に応えて見せます!」
戦いは明日に決まった。作戦では私が敵の城に近づいて要塞を出し そこから大型ゴーレム等で攻めるはずだ。さてどうなるかな。
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