第101話□一番近い所に行こう!
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魔界は広い。地上と同じ位の広さはあるんじゃないかと思う。それが証拠に私が送り込んだあの2人とは会うどころか名前も聞かなかった。
魔界へ来てから10日目の朝になる。せっかく魔界に来たから何かお土産を買って行こうかなと思うのだが2人が喜びそうなお菓子はあまり売っていないな。しかし、お団子が美味しいのでたくさん購入しておいた。
アクセサリーは綺麗な石が結構あった。お金になっている赤い宝石の他にピンクや黄色に光る石も見つけた。物質変換器で増やしている。帰れると分かった途端に行動に余裕が出てきたようだ。
あと欲しいのは魔界の地図だ。何処かに売っていれば必ず買っていくのだけれど今までそんなお店は見つかっていない。
空から見たら何か重要な手がかりが見つかるかもしれない。私は手持ちの金属を使ってワイバーンゴーレムを1体作った。
さっそく飛び上がり魔界の様子を見てみた。上空から見たらどことなく自分が住んでいる大陸に似ているような気がした。
なるほどね。もしそうだとして私が現れた所は大陸の南側だったからあちらの大陸の私が消えた場所と重なるわ。
何か合ってる気がしてきたわ。だとしたら悪魔王はもう少し北に行けばいるんじゃないかな?ちょっと確かめてみたくなったので北に飛んでみた。1時間もすると悪魔王を送った所に着いた。
周りの様子を窺ってみると村人の声が聞こえてきた。
「あの今度来た悪魔王ゲオーガ様はやりたい放題だしどっか行ってくれねえかなー」
「馬鹿野郎!めったなこと言うんじゃねえ。捕まったら何されるかわからねえぜ!」
「だけどよーあんな奴は元々いなかったんだから誰か倒してくれねえかなー」
いや〜間違いないわね。やっぱり私の考えは正しかったわ。ここの地形は向こうの地形に対応してるんだわ。ということは私の家があるのはもっと北の方だからもっと北から転移した方が確実に成功するというものだわ。
それじゃあ行きますか。ワイバーンゴーレムで飛べば2時間で着くわね。
あれ?前に黒い羽の悪魔が飛んできた。これはどこかで見たような顔だな。ああ!悪魔王だ!
「あら悪魔王こんにちは。元気そうね」
「き、貴様は聖女!何でここにいるー!」
「まあ色々あってね。じゃあねー」
「ま、待てー!待つのである!ここで我輩と勝負しろ!」
「えー!そんなことしたってお腹が減るだけだしー。あなたはここに着いて好き勝手やってるんでしょ?ならそれでいいんじゃないの?」
「むむむ!お前を倒す!そうでないと悪魔王の面目が立たん!」
「あんたねー4回戦って4回とも負けてるんじゃないの?最後は魔界に落とされてるしー」
「むむむー悪魔王家最大の侮辱!!聖女覚悟ー!」
あら怒っちゃった。ちょっとからかい過ぎたわね。でも空中戦ならこっちの方が速いわ!すれ違いざまに消滅魔法を放つ!
「ストロングバニッシュランス!」
「ぐあ!おのれー!我輩の毒を食らえー!」
「ストロングバニッシュランス!ストロングバニッシュランス!」
こちらの方が全然速いじゃない。 前戦った時も空中戦をすればよかったわ。
「ギャー!ううっ!」
「ストロングバニッシュランス!もう逃げた方がいいよー」
「だ、誰が逃げるかー!」
毒を吐いてくるけど止まってるからあんまり威力はないわね。空中戦は全然大したことないわ。
「ストロングバニッシュランス!ストロングバニッシュランス!」
「うあああああー!」
悪魔王は真っ逆さまに落ちていった。よし北に向かおう!
ドズーン!
「グハッ!ううっ我輩不覚!ゲホゲホ!はあはあはあ·······何だお前たちは?」
「悪魔王様随分な格好ですね!ここに来て無茶苦茶やったんでバチが当たったんですかね?手をお貸ししますよ」
「おお、すまんの」
ドスッ!ドスッ!グサッ!グサッ!ドシュ!ドシュ!ドシュ!
「ウギャー!貴様らー!」
「悪魔王様!今楽にしてあげますね!」
ドシュドシュドシュ!グサッグサッグサッ!ドシュドシュドシュ!グサッグサッグサッ!
「うげぇー!·············」
ドシュドシュドシュ!グサッグサッ!ドシュドシュ!グサッグサッ!
「························」
「よし!すぐに燃やせ!」
「わかりました!」
ボォー!ゴォー!ゴォー!
「いやー誰だか知らないが助かったぜ!」
「これで元通りだな」
「いやーよかったよかった!」
「みんなに知らせてやろう!」
「「「「おう!」」」」
2時間後の魔界 地上のリンドブルム平原付近にあたる場所
湖はないけど多分ここの辺りが一番地上と重なる所ね。ここから転移すれば帰れるはず!
だけどさっき悪魔王と戦っちゃったから今日は休んで明日の朝戻ろう。
近くに集落はないかな?おおー!村があるわね。宿があるといいな。村は家が100軒ぐらいある大きな村だ。地上に近づくとたくさんの人が慌ただしく動いているのが見えた。
少し離れたところで降りてワイバーンゴーレムをしまい村に近づいた。
「あのーこれは何かあるんですか?」
「え?魔獣が来るんだよ。暴風龍!だから家が飛ばないように補強するんだ!」
「暴風龍?何か台風みたいだな。これはどんな龍なのかぜひ見たいな」
1時間もすると村の人たちは家の補強が終わりみんな中に入ってしまった。しまった!中に入れてくれるように頼むのを忘れた。仕方ないワイバーンゴーレムに乗って様子を見るか。
それからしばらくすると南から全長100メートルぐらいある蛇のような龍が空中を結構なスピードで北に向かっていた。
前足が2本ありヒレのようになっていてこれを動かして飛んでる。後ろにも2本ヒレ足があり前と同じ動きをしていた。頭には角が2本あり口がかなり大きくて ものすごく怖い顔をしている。
通り過ぎた後はものすごい勢いの風で立っていられないほどだ。なるほどだから暴風龍か。1体だけだと思ったら大きいのや小さいのが その後30体ぐらい通り過ぎて行った。
私は途中で着陸してワイバーンゴーレムをしまいプロテクション3層を全面展開してじっとしていた。
何で移動しているのか分からなかったが暴風龍と言われる理由はよく分かった。こんなのがいるんだ!さすが魔界だわ。
結局私が宿に泊まれたのはみんなが家から出て来た半日後になった。
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