第1話□召喚
私は神城聖愛14才。中学2年生の普通の女の子だ。あんまり積極的ではなく後ろに下がっていることが多い。
良く言えば用心深いが悪く言うと弱虫で引っ込み思案だ。本当に困ったとき以外は我慢する事が多い。
良いところは無いのかというと見た目は良いらしい。目鼻立ちははっきりしており髪を腰まで伸ばしている。なかなかきれいな黒髪だ。身長は160センチで出るところは出て引っ込むところは 引っ込んでいる。自分で言うのも何だがスタイルは良いほうだ。
自分ではあまり意識はしていないのだが よく男の子から告られる。今は興味がないので丁重にお断りしている。本当は面倒なだけだ。
あまり適当な返事をすると恨まれるので真面目に一生懸命に答える事にしている。
しかし今日はかなりピンチだ。交際を断ったら絡んで来た。何なんだこいつは?素直に諦めればいいのに!しかしここは空き教室でめったに人は来ない。うーん困った。
相手はひとつ年上の前田龍だ。はっきり言ってヤンキーだ。頭は金髪だしピアスで耳は穴だらけ。こんな奴とは関わり合いになりたくない!
「お前ちょっとかわいいからっていい気になってんじゃねえぞ!」
「え 、 えー!い、 いい気になんてなってません〜今は受験勉強で忙しいんですよ〜」
本当は嘘です。1人で株について勉強したいだけです。うちは父親が株式投資をしているのでその影響を受けている。実は母親の名前で すでに自分で取引をしている。ある程度利益も出している。
ガラッ!誰か入って来た。助かったー。
「ちょっとリュウ!私というものがありながら何他の女に手出してるのよ!あんたも 人の男にちょっかい出さないでよ! この泥棒猫!」
「ええー!そ、そんなー私は呼ばれて来ただけですよ〜」
「うわっ!リリア!俺はちょっとその子の相談に乗っていただけだぜ!」
「そんな見え透いたうそ言わないでよ!」
この人のことは私でも知っている。前田龍の仲間の松岡莉璃愛だ。やはりヤンキーだ。絶対に関わり合いになりたくない人間だ。2人が喧嘩してる間に ここから逃げよう。
「ちょっと待って!まだ話は終わってないわ!」
「わ、私はあなた達には特に用はありませんから失礼しますー」
「こら待て!」
「お前ら何やってるんだ。 また人に迷惑をかけているのか!」
また誰か来た!この人はまたも私の知っている先輩の1人だ。正義の人!進藤守さんだ!生徒会長で日頃から みんなのために進んで働いている偉い人だ。 私は今までに こんな人間は見たことがない。
とりあえず進藤さんが来てくれてよかった。 これでなんとか家へ帰れるわ。そう思った瞬間に 教室の床に赤い模様のようなものが浮かび上がった。 と同時に まばゆい光に包まれて 私は気を失った。
「ううう·····何が起こった?」
「頭痛え!」
「いたたた何だってのよ!」
「うえ~ここは何処なんですか?」
気がつくとそこは 石できた大きな部屋の中だった。 少し高くなったところには王冠をかぶった男の人と女の人が座っていた。 周りには剣や槍を持ったいかつい男たちがたくさんいる。 ローブを来た男たちも たくさんいた。明らかに私たちのいる日本とは違った様子の世界だというのが一目で分かった。
「勇者諸君 よくぞ 我が ロッドレイ王国に来てくれた!歓迎するぞ!」
「召喚は成功したのだ!やったぞ!」
「これで魔王軍に勝てるぞー!」
これは異世界召喚というやつか。 信じられないが どうやら 現実のようだ。 まさかこんなことが起こるとは到底 私には信じられない。
「冗談じゃねえ 俺たちを元のところへ返せ!」
「そうよ!元の世界に返してよ!」
前田龍と松岡莉璃愛が怒りだしたがすぐに槍を持った兵士たちに取り囲まれ制圧された。そして王様らしき人物が口を開いた
「勇者様方おっしゃる事はもっともなのだがこの世界も魔族の侵攻で後がないのだ。何とか協力してもらいたい」
ローブを着た偉そうな男が説明を始めた。
「異世界から来られたあなた達は超人的な力を備えている。この測定器で自分のステータスを見てほしい!」
そう言われるとみんなは顔を見合わせ測定に応じた。出てきたのはボーリングの玉ぐらいの透明な水晶玉 だった。
私は全く信用していない。それより元の世界に帰れるのかを聞きたかった。どこかで聞きたいものだ。
「マモル様は勇者と出ました。しかも魔力値が540もあります。我が国の聖騎士でも100前後です。修行して力をつければ魔王も倒せるようになるはずです」
「リュウ様は戦士と出ました。魔力値は100ですがスキルがたくさん出ています。鍛えて行けば勇者に匹敵する力が得られます」
「リリア様は魔法使いと出ました。魔力値は700です。鍛えていけば最強の魔法使いになれます!」
すごーい。みんなまんざらでもないって顔してる。私はどうなんだろう?測定して結果が出た。
「セイア様は··········治癒士と出ました。魔力値は······30です。こ、これは何だ?!」
「あはははは雑魚じゃん!」
「ううっ·······」
「あの、私は役に立たないみたいですし元の世界へ返してもらえませんか?」
「あーそれなんだが魔力を貯めるのに3年かかるのだ。申し訳ないが治癒士は貴重だ。修行して協力をお願いします」
「えぇ~3年もですか。はぁー」
結局私たち4人に選択肢はなく王国の王城で指示に従って修行することになった。先輩方 3人は王様が用意したお城の部屋で過ごしているが 私は王都の教会で修行することになった
まあ 進藤さんはともかくとして残りの2人のヤンキーとは 一時でも一緒にはいたくない。生活する場所が違って 幸いだった。
不定期更新になります。読んでもらえると嬉しいです。よろしくお願いいたします。