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ネットアイドルの配信を手伝っていたマネージャーの俺、なぜかバズってしまう  作者: 木嶋隆太


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「へへ、それは嬉しいですね。――俺は二人と戦えるのを楽しみにしていたんですよ。生放送でいつも戦闘しているのを見て、一体なんて激しい攻撃なんだと……実際に受けてみたい……くらったらどれほど気持ちいいのかと……そういうわけで、最後の時間で戦闘を行うということになっています」


 この戦いは、獅子原さんの高い防御を理由にゲストが攻撃を行っていくというものだ。

 獅子原さんはこれまで一度も負けていなかったため、和心クランの宣伝にもなっていたのだが……今回は少し事情が違うんだよな。


 俺と澪奈は彼らよりもステータスが高いからな。

 総合的なステータスでいえば、確かに俺たちも有利とは言い切れないかもしれないが、筋力と速度はこれまでの挑戦者を超えているだろう。

 たぶん、全力でやればどちらかが怪我をすることになる。


「これって……お互いに全力でやるんですか?」

「ええ。そのほうが迫力ありますよね? 大丈夫です。オレ、攻撃はそんなに得意じゃないので、怪我させるようなことはありませんし」


 獅子原さんもSランク冒険者としての自負があるだろう。

 ……だから、言いにくい。

 俺のステータスを見抜く力が知れ渡っているのなら、堂々と伝えてしまってもいいが、秘匿しているからなぁ。


 そして、この撮影自体はまた今度だ。

 ……そのときまでに、俺たちのステータスはさらに成長することになるだろう。

 今はあるスキルランクの差も、下手すれば縮まっているかもしれない。


 そうなれば、まさに一方的な戦闘になってしまう可能性が高い。

 ……これは、あとで澪奈と打ち合わせをしようか。

 和心クランにも面子はあるので、互角、くらいで終わるように手を抜いてもいいのかもしれない。


「そう、ですか……。私たちは体が資本なので、少し心配だったんですよ」


 そんな風に濁すようにして笑うしかなかった。

 打ち合わせはそこで終わり、次の撮影日について決めたところで、俺たちは解散となった。

 



 打ち合わせを終えた帰り道。

 和心クランを出たところで、澪奈が問いかけてきた。


「……マネージャー。Sランク冒険者ってどうだった?」

「強く、はあったな」

「ってことは……もしかして、私たちとあんまりステータス変わらない感じ?」

「ああ。獅子原さんは防御系のステータスが230くらいで速度が180で高かったけど、それ以外は130くらいだったな」

「……そうなんだ。ウォーリアリザードマンと比べると、どっちのほうが強い?」

「ステータスだけで見たら、ウォーリアリザードマンのほうが強かったな。ただ、スキルのランクは高かったから、一対一でもタンクとしての仕事は問題なくできると思う」

「そうなんだ。私たちってもしかして……今Sランク冒険者くらいある?」

「ある、と思ったな。ただ、俺たちの場合ステータスを特化させてるからな。あの検査機が総合値で判断する場合、まだSランク評価まではいかないかもな」


 ステータスの合計値で見れば、獅子原さんのほうが高いし、スキルのランクも高いからな。

 合計ステータスで言えば、俺たちはそこまで優秀ではない。


「なるほど。できれば検査の場面とかは動画くらいにはしたい……」

「そう、だな。ただ、それに関しては冒険者協会から話が来ててな。交渉次第ではできるかもしれないぞ?」

「冒険者協会からの話?」

「ああ。仕事のメールなんだけど、冒険者協会への招待と再検査のお願いが来てたんだよ」


 国としても、優秀な冒険者が多くいるというのは世界的なアピールになる。

 それだけ、自国の守りが増えるというわけだからな。

 おまけに、日本は迷宮攻略においてはかなり出遅れてしまい、優秀な冒険者は少ないのが現状だ。


 他国の上位クランでは、Sランク冒険者が複数所属しているのは当たり前だからな……。

 どこに所属しなくとも、日本国籍を持ったSランク冒険者が多いというのはそれだけで国にとっては嬉しいことなのだ。


「それで、交渉次第で生放送も可能ってこと?」

「ああ。クランとかもたまに撮影とかしてるからな。問題はないと思うけど……冒険者協会への招待はどうする?」

「私は、どこかに所属とかは考えてない。マネージャーは?」

「俺は……俺も、そうだな。今のままで活動していくほうがいいかな」

「二人きりがいいってこと?」

「ま、そうだな」

「……うっ。そ、そうなんだ」

 

 澪奈がなぜか頬を赤らめていた。その理由は分からないが……俺は組織に所属したいという気持ちはほとんどないんだよな。

 最近、少しずつその理由も分かってきた気がする。




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