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ネットアイドルの配信を手伝っていたマネージャーの俺、なぜかバズってしまう  作者: 木嶋隆太


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 数は一体だ。それが背中を向けた瞬間に、澪奈が飛び出す。【鼓舞】で援護をすると、澪奈は一瞬で仕留めてみせた。

 これは完全に昼の稼ぎの影響だな。澪奈と俺はその場から離脱するように歩いていく。


「あんな感じで、魔法陣から魔物が出現するみたい」


〈なるほどなぁ〉

〈これだと、出現地点が完全固定な感じ?〉

〈これなら、狩りやすいな〉


「狩りやすいんだけど、今日見た感じだと一体から三体で出現するから、ちょっと危険。隠れたのはそういう理由から」


〈なるほど〉

〈確かにそれは危険〉

〈ここで発生して、迷宮内をワーウルフがさまよってる感じ?〉


「そんな感じ。私たちも昼間のときはこの周辺で狩りまくってた。次は、荒野エリア近くを見てみよう」


 そういって澪奈が案内していく。

 ……荒野エリアに関しては中まで踏み入るつもりはないが、それでも多少は見せておいたほうがいいだろう。

 道中のワーウルフを仕留めながら、進んでいく。気づけば、配信には一万人の人が集まっている。


 コメント欄などを見てみると、他の配信者が話題にしていたり、新しい迷宮だったりで注目を集めているようだ。

 明らかに登録者数と配信を見に来る人の数が比例していないが……そのうち登録者も増えていくだろう。


 コメント欄を見ると、ちょこちょこ外国人のコメントと思われる英語も混ざっている。

 英語を読めるようになれば、より幅広く見てもらえるだろう。

 キュート! と英語で書かれているくらいは分かるな。

 しばらく歩いていくと、草原エリアから荒野エリアへと切り替わる場所に到達した。


「あそこが、荒野エリア」


 澪奈が指さした先には赤茶色の土が目立つ。小山のようなものがあちこちにあるため、探索する際は気を付ける必要がありそうだ。


〈まったく別のエリアって感じだな〉

〈ここが迷宮でいう二階層なのかも〉

〈確かに、この先で難易度が変わる可能性もあるから、気を付けたほうがいいかも〉

「そう思って、今はとりあえずワーウルフたちを倒して鍛錬中って感じです。最初は驚いたけど、探索してみると普通の迷宮とそんなに変わらないって感じで、いい感じの時間ですね」


 そろそろいい時間だ。

 澪奈もそれを理解していて、まとめに入っていく。


〈おつでしたー〉

〈お疲れ様です!〉

〈新しいタイプの迷宮の情報はありがたい。万が一出くわした場合の歩き方も分かったし〉

〈これだとDランクなのは、あくまで入口だけか? 奥まで行ったらまたわからないから、またあとで情報お願いします!〉


 かなり、好評だったようだ。瞬間ではあるが視聴者は12000人まで伸びていたしな。

 ……恐らくテレビなどで取り上げられた影響だろう。


 登録者もまた増えているので、この調子でやっていけば問題はなさそうだ。

 俺たちは迷宮から自宅まで戻り、それから澪奈がスパチャしてくれた人たちを読み上げていった。




「……ふぅ」


 迷宮攻略配信を終え、澪奈が大きな息を吐いた。

 ……配信中は余裕そうに振舞っていたが、今の澪奈でも油断すればやられる相手なのは間違いない。

 速度自体に差はあるが、それでも相手の攻撃力が凄まじいからな……。

 一発でももらえば致命傷だ。

 そんな澪奈に俺はインベントリから取り出した水筒を渡した。


「お疲れ様」

「とりあえず、うまくいった? 配信、変なところなかった?」

「ああ、見る限り大丈夫そうだったぞ」

「良かった」


 ほっと息を吐いた澪奈はそれから時計を見る。

 配信を終えたのは二十一時半だ。

 澪奈が自宅に帰るとなると、そろそろ出発する必要があった。

 さすがに二日連続で泊めるのも彼女の両親が心配するだろう。疲れている様子の澪奈には悪いが、声をかける。


「そろそろ出発しないと家に帰るの遅くなっちゃうし……出発するか?」

「大丈夫。今日も泊まるから」

「ん? なんだって?」

「明日も迷宮でレベル上げしたいから泊っていってもいい?」

「……いや、さすがに両親が心配するだろ?」

「いいって」


 澪奈はにっこり微笑んでから、俺のほうにスマホの画面を見せてくる。

 そこには両親とのラインのやり取りがされていて、日曜日に帰ってくれば問題ないとのこと。


 ……ご両親……もう少し娘さんを心配しては?

 いや、俺を信用してくれているのか。

 そう考えると、逆に家に帰すというのは俺を信用してくれている二人を裏切るのではと思ってしまう。


「次の配信までにはワーウルフを余裕で倒せるようにしておきたい。明日は一日、レベル上げをする」

「……そうか。分かった」

「やった。配信だしにすればマネージャーは絶対オッケーしてくれると思った」

「帰るか?」

「冗談。シャワー浴びてくる」


 嬉しそうに歩いていった澪奈の背中に、苦笑を向ける。

 まあ、澪奈も本気で強くなりたいという気持ちはよくわかる。

 確かに明日も特に用事ないなら、泊っていって朝から迷宮に入ったほうが効率が良いのは確かだ。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです


皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!

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