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ネットアイドルの配信を手伝っていたマネージャーの俺、なぜかバズってしまう  作者: 木嶋隆太


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 そんな声が聞こえた。

 ……たぶん、このタイミングということは【鼓舞】だろう。

 ショップで確認してみると、【鼓舞】が追加されている。150万ゴールド。こちらもすぐに買える代物じゃないなぁ……。

 澪奈のほうに近づくと、彼女は疲れたような表情とともに額の汗を軽くぬぐい、ピースを作った。


「なんとか、なった」


 ……ちょっと過剰に動きすぎたせいで、かなり疲れているようだ。

 倒れたゴブリンリーダーが、素材をドロップする。

 素材と魔石と、装備か。装備は後で詳細を確認するとして、ひとまずは……この後について調べないと。

 ゴブリンリーダーがこの迷宮のラスボスだったのか、中ボスだったのか。

 ……その時、迷宮ががたがたと揺れ始めた。


「な、なに?」


 その揺れに驚いたように澪奈も声を上げ、コメントも伸びていく。


〈迷宮揺れてる?〉

〈そんなの聞いたことないぞ?〉


 ……だよな? 俺も決して迷宮のすべてを知っているわけではないが、こんな現象は初めて聞く。

 攻略の終えた迷宮は魔物が出現しなくなり、数日が経って消滅する……というだけのはずだ。


 そして――


【摩訶不思議のダンジョンの再構築を行います。――ダンジョン利用者の能力から最適のダンジョンの再構築を実行。再入場をお願いします】


 その声が聞こえた瞬間。


「きゃ!?」

「うお!?」


 俺たちは迷宮の外へと弾き飛ばされた。

 見れば、六畳間の俺の部屋だ。派手に飛ばされた俺が地面に尻もちをうち、その上から澪奈が降ってきた。


「あぎゃっ!?」

「ごめん……大丈夫?」

「と、とりあえずは……」


 澪奈に押しつぶされる形で、俺はすぐにカメラを迷宮のほうへと向ける。


〈澪奈ちゃんに潰された!?〉

〈そこ変われマネージャー!〉

〈なんというご褒美! ずりー!〉

〈潰してください ¥10000〉


 ……いや、今はそれよりもこの迷宮に注目してほしいんだけど。


「……攻略、されてない?」


 澪奈が言うように迷宮は黒い渦のままだ。通常、攻略されている迷宮は白い渦となり、やがて完全に消滅する。


「マネージャー。さっきのって、迷宮攻略したときのものに似てたと思うけど」

「……そうですね。でも、さっき外に出される前に声が聞こえませんでした?」

「……声? 聞こえてない」

「……」


 どういうことだ?

 さっきの声は俺にだけ聞こえたのか?

 ……だとしたら、これに関しては深堀りしないほうがいいかもしれない。

 コメント欄からの質問が増える前に、次の話題を振ろう。


「……一度、中の様子を見てみましょうか?」

「……うん。コメント欄も、もし知っていたら教えてください」


〈この現象、今調べてるけどまったくヒットしない〉

〈なんかこの配信見ていた有名冒険者もおかしいって言ってるぞ?〉

〈イレギュラー発生のおかげか、視聴者どんどん増えてるな〉


 ……本当だ。見ればいつの間にか5000人まで増えている。

 コメント欄を見ると、どうやらそこそこ有名な冒険者が俺たちの配信を見ていたらしく、その人がTwotterで呟いたのが理由のようだ。


 さっきの迷宮の変化を見て、コメント欄も困惑しているし、情報が何もない。

 ……不安ではあったが、俺と澪奈は並ぶようにして迷宮の内部へと踏み込むと、そこには青空が広がっていた。


 それまでの洞窟のような迷宮ではなく、まったく新しい別の迷宮だ。

 遠くには山が見え、洞窟のようなものもある。周囲には森林や草原などもあり……これまでよりも開けた空間がそこにはあった。


「さっきとまったく違う」


 澪奈が驚いたようにぽつりと声を漏らす。

 それは澪奈だけでなくコメント欄もだった。


〈何これ?〉

〈さっきまでの迷宮とまるで違う?〉

〈まったく同じ場所にまた別の迷宮ができたってこと?〉


 コメント欄がさらに伸びていく。このイレギュラーは、誰も知らなかったからこそ、議論するようにコメント同士で会話が行われていく。

 ……さすがに、この状況は想定していなかった。


 澪奈にスマホを渡しながら……俺は先ほど聞いた声を思い出していた。


【摩訶不思議のダンジョンの再構築を行います】


 ……ああ、きっとそれが原因だろう。

 でも、一体なぜ?

 明確に迷宮を管理している者がいて、その者が俺たちに合わせて新しい迷宮を作った……のか?。

 その理由までは、分からないが。


「……とりあえず、ピース」


 混乱の極みに達したのか、澪奈が自撮り風にスマホを傾け、ピースをしていた。


 そして、このイレギュラーのおかげもああってか……視聴者は10000人を超えていた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです


皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!

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