33
これから配信なので、無駄遣いはしてもらいたくなかった。
道中特に大きな問題はなく、九階層の入口に到着した。
配信開始まで、まだ三十分ほどある。
「念のため、ステータスポイントを振っておきたい」
「了解だ」
安全第一で挑戦するほうがいいだろう。
俺が澪奈に触れて、彼女の指示通りにステータスを割り振る。
俺も道中の戦闘でレベルが上がっていたので、その分のステータスポイントを割り振り、メモ帳に転記する。
茅野圭介 レベル20 筋力:50 体力:20 速度:61 魔法力:20 器用:20 精神:20 運:20
ステータスポイント:0
職業:【商人】
装備:【ロングソード 筋力+3 速度+3】【速度のネックレス 速度+18】【筋力のネックレス 筋力+18】【速度のネックレス 速度+9】
装備合計:筋力+21 速度+30
ステータスポイント割り振り:筋力+9 速度+11
神崎澪奈 レベル18 筋力:61 体力:9 速度:97 魔法力:18 器用:53 精神:10 運:10
ステータスポイント:0
スキル:【氷魔法:ランク3】【剣術:ランク2】【銃術:ランク2】
装備:【ロングソード 筋力+9 速度+9】【ハンドガン 速度+9 器用+9】【ハンドガン 器用+3】【ハンドガン 器用+3】
装備合計:筋力+9 速度+18 器用+15
俺は昨日と今日の日中にゴブリンリーダーでの経験値稼ぎをしていたので、レベルはここまで上がった。
澪奈はこの前の生放送中、ほとんど一人で戦っていたからかなり成長している。昨日も放課後にレベル上げをしていたからな。
このステータスなら、まず負けることはないだろう。
俺はインベントリに入っている椅子を取り出し、お互いに腰かけて軽く打ち合わせを行う。
「生放送は二十時から開始だ。始まってからの流れは大丈夫そうか?」
「うん。挨拶して、私たちの今の状況説明をして、ゴブリンリーダーに挑戦することを伝える。それで、マネージャーに道中の梅雨払いをお願いして、私がコメントとか見ながら返信していく。視聴者がある程度集まったところで、十階層に移動して戦闘開始でいい?」
「ああ、大体そんな感じだな。あとは、コメントを読みながらとか、流れに任せるって感じで」
「流れに任せる。マネージャーが私を押し倒したときみたいな感じ?」
「嘘をでっちあげるのはやめるように。生放送の話に戻すが、何か話したい内容とかあったら最初の三十分の間に話してくれ」
「私とマネージャーの今日のお泊り会についてとか?」
「それマジで口にするなよ? 洒落にならないからな?」
……澪奈は本気で泊まるつもりだ。
俺はそれを止めるため、澪奈の両親にグループメッセージを送ったのだ。
『澪奈さん、本気で泊まろうとしているんですけど……いいんですか?』
『私は別に気にしていない。本人ももう子どもじゃないからな』
『子どもじゃないから、子どももできちゃうかも?』
『母さん、茅野くんが困っているだろう。安心しろ茅野くん。何があっても私は問い詰めるようなことはしない』
『断っておきますけど俺は何もしませんからね!』
親御さんに止めもらうために送ったメッセージだったが、こんな感じだったのだ。
俺の味方がいなくなったため、俺は昨日澪奈のためのマットレスも買ってきたからな。
そこそこいいマットレスなので、澪奈が使わなくなったら俺のものにする予定だ。
今はインベントリに入っている。
あの狭い部屋に出しておくとカーペットのようになるからな……。
「ファンが増える前に私とマネージャーの関係に関してもきちんと説明しておいたほうがいいと思う」
「もう十分関係は話したと思うけど……」
「それはあくまで表の関係だけだから……裏のことも話さないと」
「これ以上の説明は必要ない。とにかく、まとめるとだいたい三十分くらいは準備運動と視聴者集めだな。たぶん、前回の感じだと1000人くらいはいくか?」
なんだかんだ、二日経った今、登録者は6000人を超えている。
今もじわじわと伸びているので、今後さらに増えていく可能性はある。
澪奈は間違いなく才能がある。それを活かすも殺すも、俺次第な部分もあるな。
「とりあえず500人。500人集まったら進もう」
「そうだな。三十分と500人目途で進んでいって十階層で戦闘。終わったら、軽く感想を話しながら、迷宮から出るってことで」
「分かった」
打ち合わせをしていると、目的の時間となる。
生放送の画面を見てみると、すでに待機してる人たちも見えた。
「それじゃあ、始めるか」
「うん、お願い」
澪奈が手鏡で自分の顔を確認してから、こちらに渡してくる。
手鏡をインベントリにしまったところで、配信を開始した。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです
皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!




