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ネットアイドルの配信を手伝っていたマネージャーの俺、なぜかバズってしまう  作者: 木嶋隆太


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 ……自分の身を守れるくらいになるまでは、俺のスキルに関して公開する予定はない。

 しばらく歩いていくと、ゴブリンが現れた。

 ここは第九階層。数は四体で……奥に【石投げ】を持っているゴブリンがいる。


 この編成は何度もやってきたからな。迫ってきた三体のゴブリンを剣で捌き、遠距離の【石投げ】をかわす。

 隙を見つけて三体を仕留めたところで、【石投げ】のゴブリンへと近づいて斬り裂いた。

 剣を鞘にしまいながら澪奈のほうへと戻り、カメラマンを交代すると、コメントが流れていく。



〈めっちゃ動けるじゃん!〉

〈ていうか、わりと顔整ってるやんけ……〉

〈あら、いい男……〉

〈ファンになりました! もっと戦ってるところみたいです!〉

〈若いですね! 何歳なんですか!?〉


 冗談なのか本気なのか。

 わりと好意的なコメントが多いが、俺はあくまで澪奈の補助だ。


「……まあ、こんな感じなので自分の心配はしなくても大丈夫です。何かあれば命に代えても澪奈さんを守りますしね」


 そう言っておけば、ファンも安心だろう。

 ……まあ、本当に危険な場合に備えて、澪奈のポケットにはダンジョンワープ玉を持たせてある。

 俺も個人で持っているので、アイテムの存在はバレるが命までは危険になることはそうないだろう。


 そんなこんなで九階層を進んでいくと、そろそろいい時間になってきてしまった。

 ……予定ではゴブリンリーダーの顔見せまでいくつもりだった。

 澪奈もそれを察したようで、少し早歩きになる。


 目標まで、もう少しなんだよな。

 道中現れたゴブリンを仕留めると、ようやく十階層に繋がる階段前に到着した。


「さて、そろそろ今回の生放送は終わりなんだけど……次回はこの迷宮のボスなのか中ボスなのか、十階層の中ボスに挑戦したいと思います」


〈中ボス!?〉

〈Gランクだっけ? 一人で大丈夫?〉

〈さすがにGランクとはいえ、中ボスともなると大変だよな……〉


「今回は、大丈夫だと思う。それで、次回の配信日は今週の金曜日、時間は二十時からなんだけど……先にボスの顔みせだけしておこうと思います」


〈www〉

〈ボスモンスターの扱いがゲストみたいで草〉

〈大丈夫? 無理しないでね〉


 ボスモンスターが相手となるとさすがに心配するようだ。 ……まあ、澪奈の力を見ればそれも払拭されるだろう。

 顔見せには二つの意味があって、まず澪奈が安全にボスモンスターと戦えることを見せることと、次回の視聴者を増やすのが目的だ。


 澪奈とともに十階層を進むと、何度目かというゴブリンリーダーとのご対面だ。


〈ゴブリンリーダー!〉

〈ゴブリンよりも一回り大きいな……〉

〈かなり怖い顔してる……っ。しかも召喚するのか!?〉


 驚いたように視聴者たちのコメントが流れていく。

 ……冒険者がわりと一般化したとはいえ、それでも中に入って活動する人はそこまで多くない。


 ボスモンスターとの対面となると、コメント欄に緊張感が走るが、澪奈は二丁拳銃に切り替え、乱射していく。

 ……初めの頃は一つあれば十分かと思っていたが、二丁拳銃という使い方もあるため、今は澪奈が二つ持っている。


 近づいてきたゴブリンを三体仕留め、近づいてきたゴブリンリーダーも銃で牽制して近づかせない。


 そうしながら、こちらに視線を向けて声を上げる。


「次回はアレを倒す予定です。皆、楽しみにしてて」


〈……あれ? 澪奈ちゃんめっちゃ強くない?〉

〈澪奈ちゃん! こっちいいからよそ見しないで!〉

〈ゴブリンリーダーまったく近づけてないやん…w…〉


「マネージャー、一旦逃げる」

「了解です」


 澪奈の声に合わせ、俺たちは背中を向けてダッシュで走る。

 ゴブリンリーダーたちが追いかけてきたが、九階層への階段に入れば自然と魔物たちは姿を消した。

 そこで一息をつくと、澪奈が僅かに垂れた汗を拭いながらこちらを見てくる。


「そういうわけで、もし良かったらまた見に来てください。それと、チャンネル登録よろしくお願いします」


 微笑ばかりだった澪奈が、そこで初めて満面の笑顔を浮かべた。

 ……その笑顔は、見慣れていた俺でさえ思わず見とれてしまうものだった。

 コメント欄も、澪奈を褒めるコメントで溢れていき、同時に登録者も増えていく。

 ……それまで、登録しないで見ていた人たちを一気に集めたようだ。


「マネージャー、それじゃあ今日はいったん切り上げよう。それじゃあ、ばいばい」


 澪奈がひらひらと手を振り、俺はそれを最後に十秒ほど映してから、配信を終了した。


 アプリを落とし、別の端末できちんと終了したのを確認したところで澪奈が疲れたように服の胸元をパタパタと掴む。

 彼女の平均以上の胸元がちらちらと見えてしまうが、俺はそちらに視線を向けないようにする。


「……さすがに、話しながらの戦闘だと結構疲れる」

「お疲れ様」


 俺はインベントリから取り出した飲み物を澪奈に渡す。

 途中で何度か渡していたが、澪奈はなるべく話すようにしていたからな。

 ごくごくと喉に流した澪奈はそれからスマホを取り出す。


「……あれ? 登録者7000人? 凄い増えた?」

「ちょこちょこ増えてったな。視聴者数も一番多いときで1500人くらいいたし」

「そんなに? 大成功?」

「大成功、だと思うな。おめでとう」


 澪奈が嬉しそうにぶいっとピースを作る。そんな澪奈に、俺もピースを返す。

 それからインベントリから取り出したダンジョンワープ玉を澪奈に向ける。


「今日の帰りはこれでいこうか」

「大丈夫?」

「配信の合間にもちゃんと素材は売却してたからな。大丈夫だ」


 コメント欄では、素材がもったいないと言っていたが、俺がこっそり拾っていたので問題ない。

 回収の仕方は簡単だ。素材を踏みつけ、インベントリにしまうだけだ。






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[良い点] ドロップアイテム1回1回腰を曲げて拾うのって地味に辛いから踏んづけて回収は頭良い。
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