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ネットアイドルの配信を手伝っていたマネージャーの俺、なぜかバズってしまう  作者: 木嶋隆太


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〈澪奈ちゃんの頬が引くついてて草〉

〈マネージャーさん……強く生きてくれ〉

〈ていうか、澪奈ちゃんもそんな感じなの!? 大丈夫!?〉


 コメント欄に誤解されてしまったかもしれない。

 俺は慌てて、それを否定する。


「澪奈さんは違いますから安心してください! 学生なので、だいたいの活動は休日に合わせてます。それも九時、十八時になるようにしていますよ」


 そこだけは誤解がないように伝えておかないといけない。

 ていうか、わりと俺と澪奈への質問が半々くらいあるのだが……? あれ、このチャンネル澪奈のものだよな?


 マネージャーの仕事に結構興味を持っている人がいるからだろうか。

 俺が受け入れられていることに驚きながら、返事をするとまたコメントが増えていく。


〈休日ってことは、マネージャーの仕事って土日もあるんですか?〉


 ……思っていたよりも質問が多いよな。

 マネージャーといっても事務所ごとにどこまで行うかは違うので、参考になるかどうかは少し不安だ。


「ありますね。ていうか、やっぱり土日のほうが多いので休みは……平日にとりますね」

〈月の休みってどのくらいですか?〉


「……まあ、片手で数えられるくらい……あったらいいですかね?」


〈マネージャーさん。強く生きてください〉

〈マネージャーさんはゆっくり休むといい〉


「ありがとうございます。ほら、澪奈さん。あまりこちらに集中してないで、魔物出てきましたよ!」


 このままだと誰の配信か分からなくなりそうだったので、ちょうど出現してくれたゴブリンに感謝だ。

 俺が澪奈に声をかけると、澪奈がすっと視線を向ける。


「それじゃあ、ちょっと戦ってくる」

「はい、お願いします」


 俺もカメラマンとして澪奈のベストショットを見せられるよう、彼女に付き添う。

 コメント欄も緊張した様子で流れていく。

 そして、澪奈は練習した太ももからの拳銃抜きを披露する。


〈おっ!?〉

〈みえ……!?〉


 それから、ハンドガンを乱射して、ゴブリンを仕留めた。

 ……一階層くらいのゴブリンなら余裕だよな。


「ふう……あれ、もしかして見えちゃってた?」


 コメント欄の様子を見て、澪奈が焦るようにこちらを見てくる。

 コメント欄が嘘のコメントで溢れていたので、いつも冷静な澪奈が珍しく焦っていた。

 ……これは、澪奈の素顔を見せるチャンスでもあるな。

 俺はさも見えていたかのような雰囲気を醸し出すと、澪奈が顔を赤くする。


「ま、マネージャー……? だ、大丈夫だったよね?」

「……いや、まあ……それは。ええ、大丈夫でした」

「じゃあ、そんな意味深な顔しないで……っ。焦った……」


 澪奈がほっと息を吐くと、コメント欄が澪奈の様子にコメントしていく。


〈なんだか澪奈ちゃんが自然な気がする〉

〈こんな澪奈ちゃんの反応初めて見たかも〉

〈澪奈ちゃん、可愛い〉


「ほら、澪奈さん。コメントされてますよ」


 俺がからかうように言うと、むすっと澪奈が頬を膨らませながら歩き出す。


「……ありがとうございます。次からは拳銃持ったままで戦うから」


 むすーっと頬を膨らませて歩いていく澪奈は、しかし、その様子がまた可愛いとコメントされていっていた。






 気づけば、視聴者は1000人ほどまで増えていた。

 ……予想以上の伸びだ。

 俺としては、今までの経験から500人ほどまで行けばいいと思っていたんだけど。


 基本は澪奈か俺がコメントの質問への回答を行い、移動しながら魔物が出れば、澪奈が捌いていくという感じだ。

 俺はカメラマンとして、澪奈をとにかく映し続けていたのだが、


〈そういえば、二人で今は迷宮に入っているんですよね? 大丈夫ですか?〉

〈確かにマネージャーさんって特に護衛とかつけてないんですよね?〉

〈めっちゃ危なくない? 前よりブラックな環境になってない?〉

「それは大丈夫です。俺もそこそこ戦えるので」


 ある程度進んでいったところで、そんなコメントが出てきた。

 ……俺は黒子に徹しようと思っているのだが、澪奈がちょこちょこ俺に話を振ってくるせいで、中々完全には消えられない。


 今いる視聴者たちは気にしていないようだが、それでも俺はいつ炎上するのかとヒヤヒヤしている。

 スマホを眺めていた澪奈がこちらにやってきて、手を差し出してきた。


「マネージャー、心配されてるし……皆に一度戦ってる姿見せたらどう?」

「……それは、確かにそうですね」


 一瞬え? と思ったが、今後も俺と澪奈の二人きりでの撮影環境が続く。

 俺がそれなりに戦えると分かれば、澪奈の心配をしているファンも減るだろう。

 差し出された澪奈にスマホを差し出すと、彼女は自撮りのような感じでカメラを自分側に向けている。


「というわけで、ちょっとだけ私がカメラマンになります。ってこれだと、私のアップしか映ってない……こんな感じでどうですか?」


 澪奈は自分のスマホと見比べながら、自分が映るように調整している。

 ……こういう場で顔を晒すのは初めてなんだよな。といっても、調べればいくらでも出てくるとは思うが。


 コメント欄で一体どんな風に言われているのか……。

 ちょっと気にしながら、俺は腰に下げていた剣に手をかける。

 念のため、インベントリはうつさないようにしていた。




ここまで読んでいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] そういえばマネージャーさんのご尊顔ってどうなんだろ!?ワクワク!! と楽しませていただきましたm(_ _)m 続きを楽しみにしております✨
[良い点] 面白くて1話から一気に読んでしまいました。とても良かったです。 澪奈のぶっとんだセリフが楽しいです。 [一言] 今後も楽しみです!
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