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 澪奈が作ってくれた夕食を食べながら打ち合わせを行う。


「とりあえず、最初の動画として、『ライダーズ』から脱退してソロで活動していくことを伝えよう。Twotterでも同じように脱退の告知をするんだけど、まだしてないよな?」

「うん。一応事務所もまだ発表してないみたいだったから」

「そうだな。動画を投稿したタイミングで発表すればいいかな。公式からの発表もそのうちされると思うしな」

「分かった。それで、今後はどうする? 迷宮攻略をしていくのは分かったけど、生放送か動画にするか……」

「そうだなぁ……澪奈はどっちでやっていきたいんだ?」

「私は生放送のほうがいい……かな? 迷宮攻略ってそのほうが人気みたいだし」


 澪奈の言う通り、動画サイトを見てみれば迷宮攻略については生放送が多くあるのが分かる。

 それに倣うようにしていけば、似たような生放送を探している人たちの目に留まる可能性はあるだろう。


「そうだな。とりあえず動画も撮影しつつ、生放送の準備ができ次第そちらでやっていくってことにしようか」

「うん。とにかく、まずは迷宮に潜ってみないと」

「ああ」


 食事も終わり、それらの跡片付けを済ませたところで俺たちは迷宮へと向かう。

 ひとまずは様子見だ。

 俺は一人で戦えるが、澪奈はまだ分からない。

 ……ただまあ、見た限り最初の俺よりもステータスは高いから問題なさそうだけど。


 迷宮内は洞窟のような造りとなっているが、視界は問題ない。

 ……ただ、撮影をするとなると暗いかもしれない。

 撮影するときはただでさえ照明などで明るめにするからな。


「もっと明かりがあったほうがいいけど……難しいよな」


 適切な光量を維持できれば、見栄えは良くなる。

 この暗めの迷宮内では澪奈の魅力が引き出せないかもしれないが、迷宮内だしどうすることもできないんだよな。


「こればかりはしょうがない。そういえば、出てくる魔物ってどんなのがいるの?」

「ゴブリンだ。五階層まで探索してみたけど、ゴブリンしかいなかったな」

「そっか」


 澪奈は視線を通路の先へと向ける。

 俺も同じように視線を前に向けたとき、迷宮の足元からゴブリンが生み出された。


「……ギィ」


 ゴブリンはこちらに気付くと、にたぁと笑う。

 俺が一人で潜ったときよりも、その笑みは不気味だ。

 ゴブリンは女好き、らしいからな。


 澪奈のような美少女を見つけたことを喜んでいるのかもしれない。

 そう考えると、ゴブリンの美醜の感覚も人間と似ているんだなぁ、とか考えていると、澪奈はスカートの下――太ももに括り付けていた短剣を取り出した。


「それじゃあ、マネージャー。戦ってくる」

「……ああ」


 いつでも助けに行けるよう見守りながら、澪奈を送り出す。

 走り出した澪奈が、ゴブリンの攻撃をかわしながら、氷の弾丸を放った。


 それは見事にゴブリンの体へとぶつかり、ゴブリンがよろめいた。

 今のは、澪奈の【氷魔法】だ。隙だらけになったゴブリンへ、澪奈が短剣を振りぬいて仕留めた。


「どう? マネージャー?」

「相変わらず見事だな……まったく無駄がないな」


 澪奈の動きを褒めると、彼女は誇らしげに胸を張る。

 彼女を褒めつつも、気になっているのは澪奈のスキルだ。

 ……澪奈のスキルは【氷魔法】しか検査で判明してないんだよな。

 

 この【剣術】と【銃術】も彼女のスキルなんだよな?


 もちろん、複数のスキルを所持している人がいるという可能性は知られていることだ。

 ただ、検査する方法はなく、それぞれが自分の才能に気づくしかないのだ。

 トップギルドの人にもなると、自分の能力に気づいている人が多いらしい。……逆に言えば、その領域に到達するには自覚できることが大事なのかもしれない。


「……なあ、澪奈。確認したいことがあるんだけど、いいか?」

「ん? 私は今付き合ってる人はいないけど」

「出会いがあるといいな。さっき、澪奈のステータスを見たときに話したけど、スキルが他にもあるみたいなんだ」

「そういえば、そうだった。【剣術】と【銃術】だったっけ?」

「ああ。そのスキルが正しく発動するのなら、剣や銃を使用したほうがいいんじゃないかって思ってな」

「なるほど。それで、私をじっと見てたの?」

「……あっ、悪かったな。不快に感じたか?」


 相手は女子高生だ。それをじろじろ見るというのは失礼だろう。


「ううん、興奮してただけだから大丈夫。【剣術】と【銃術】を使うっていっても、剣も銃も持ってないけど――」

「そういわれると思っていたからな。とりあえず、これ使ってみてくれ」


 俺はインベントリにしまってある剣を取り出し、澪奈に差し出した。

 受け取った澪奈は、その場で何度か素振りを行う。

 動きを確かめるように行った素振りのあと、納得した様子で澪奈が頷いた。


「これ、手になじむ。マネージャーが使っていたもの?」

「ああ、そうだ」

「うん。マネージャーの汗が染みこんでるみたい」


 おもむろに握りの部分に鼻を押し付ける澪奈。

 まるで危険ドラッグでも嗅ぐかのように何度も鼻息荒く吸っている。


「……もしかして臭うか?」

「ううん、そんなことない。【剣術】の効果かもしれないけど、なんかこれ凄い軽く感じる」

「そうなんだな。……澪奈。装備って念じてみてくれないか?」

「……うん」


 澪奈が俺の剣を握りしめて目を閉じた。

 今頃念じてくれているのだろう。これで装備ができればいいのだが……。

 それから、彼女のステータスを確認すると、


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!

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