ブリーチしたからか知らんけど横っちょの髪が常にくるんって上に向いてる
かくして二人は村を出て、山に戻った。サタデーナイト山田は山の中に入ったことでマイナスイオンがどうたらこうたらで完全復活! とてもテンションが高い。
「フハハハ! 山の中だったら俺は無敵だぜ! 豪烈覇斬拳三十一の技『高田村だと思ったら武田村でしたチックショー覇斬』ッッ!」
勢いに任せて周りの木を数本薙ぎ倒す。ついでにスペードの首もぶち飛ばす。
「もう! 頭おかしいんじゃないの……!」
「どちらかというと今はスペードの方が首だけで生きている状態なので物理的に頭がおかしいと思われました。」
「いや物理の話なんてしてないんだけど(正論)」
首だけのくせにめっちゃ論破してきたので山田はしょぼんとなってしまう。次の瞬間には普通に首がつながっているスペードはそんな山田を放っておいて
「山田、あそこに村があるよ! 水とかあるかも、行こう」
と言って村の方に向かった。
村の近くには井戸があった。村に入る前にスペードは真っ先にその井戸を汲んで水を飲もうとした。
「うわー綺麗な水がこんなにたくさん! ラッキー!」
山田はこんなにはしゃぐスペードを初めて見た。色々謎を秘めていたり、悲しい過去的なものがあるのかもしれないけど今この瞬間は幸せそうだ。山田はその後ろ姿に見惚れながら、自分も水を飲もうとした。
「あ、山田はこれ飲んじゃダメ。」
「え何でやねん」
「今一口飲んでみたけどバチクソ猛毒だったから。私の胃がねぇめっちゃ溶けてるよ今。これがホントの胃もたれなんつってね! ギャハハハハハ!!」
スペードは意味分からんことを言いながら、毒で溶けてべちょべちょになってる口から盛大に笑い声を出した。
山田とスペードは村の様子が気になって行ってみると、そこにはドロドロに溶けた死体が大量にあってヤベェ感じになってる悲惨な村があった。
「うぅわヤーベェヤベェヤベェヤベェ!(ヤベェを連呼する若者)」
「一体何があったのかしら……」
と二人は困惑していると
「グルルルル……!」
という謎の呻き声が聞こえてきた。犬とか動物の声じゃない。人間の声だ。二人は声の方、廃墟の家の扉を見てみると一人の十歳かそこらぐらいの子供が四足歩行で歩いている。
「なんじゃあれ」
「あれは……!」
山田はもちろん不思議そうにポカンと見ているが、スペードはどうやら心辺りがある様子だ。スペードが見ているのは、子供の膝小僧の上らへんに浮かび上がっているダイヤ型の紋様だ。
「あの紋様はダイヤ……! 四曽秀の一角、ダイヤの証……」
「え、じゃああのガキがダイヤなのか」
「違う。あれは恐らく無理やり『眷属』にされた子供よ。ダイヤやクローバーも私と同じく不死身の能力を持つ者、そしてその血を人間に与えると自分の思うままに動く操り人形の眷属にすることができる。あの子供は私を捕まえるために作った眷属ね……。」
「ふーん、まあ子供だろうと何だろうとぶち殺すぜ!」
眷属の少年は襲いかかってきた。