表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/18

第7話 真っすぐな想い

 ラインハルトは日が落ちる頃に目を覚ますと、ゆっくりとその身体を起こした。

 隣には彼が見繕った服を着たエリーゼが安心した顔で眠っている。

 ラインハルトはゆっくりと彼女の髪をなでるように触ると、そっと起こさないようにベッドから出た。

 ドアを開けて執務室のほうに足を向けるとその先にはアンナが目を見開き立っている。


「──っ!」


 彼女はひどく顔をゆがめると、その場でラインハルトが来るのを待つ。

 両者がすれ違おうというところで、彼女はぼそりと呟いた。


「あの方の部屋で一晩過ごしたのですね」


 それに対してラインハルトは何か気にすることもなく、自室に入ろうとしながら呟く。


「だったらどうなんだい?」

「──っ!」


 アンナは自室に入ったラインハルトに背中から思いきり抱き着く。

 ラインハルトはそのアンナの行動に何をするわけでもなくただじっと立っている。


「アンナは納得できませんっ! あんな女がラインハルト様の妻になるなんてっ! どうして……どうして、子爵令嬢で人間だったようなやつを」

「彼女を愛している。これで納得できるかい?」

「できませんっ!!」


 アンナは両腕を緩めてラインハルトを解放する。

 彼女と対話するためにこちらを向くラインハルトは、無表情のままアンナを見つめる。


「吸血したのですか?」

「いや、彼女にはしてないよ」


 その言葉を聞いてアンナはそっと洋服の首元をめくると、首筋を露わにして言う。


「アンナの血を飲んでください」

「できない」

「どうして?!」

「もらうに相応しい男ではないよ、僕は」


 反射的にアンナはラインハルトに飛びつくと、彼の胸元に顔をうずめる。


「なんでっ! なんでこんなにもずっと好きなのに求めてくれないのですか?!」


 彼女の叫びを黙って聞き続けるラインハルトに、アンナは言葉を続ける。


「アンナは……アンナはずっと、いつでもラインハルト様だけを見続けてきました。あなたを屋敷で見たあの日からずっと、ずっと好きです。私じゃダメなのですか?」


 すがるように涙を流して訴える彼女をそっと引き離すと、ラインハルトは諭すように言う。


「僕はアンナのことを本当に信頼している。それはクルトも同じだよ。僕をずっと傍で支えてくれた。けれど、隣に立つのはエリーゼしか考えられない。ごめん」

「──っ!」


 『信頼』という耳触りの良い言葉で拒絶するラインハルトの言葉に、アンナは唇をかみしめて俯く。


「私のこと、特別に思ってくださることはないのですね」


 アンナが声を震わせながら言った言葉に、目を合わせて彼女を見つめるラインハルト。

 その通りだというような彼の目に、アンナはそっと「わかりました」と告げて部屋を去る。



 ダークブラウンの長い髪は泣きはらした自身の目を隠す。

 部屋を出てまっすぐに彼女は自室へと足を向けて進んだ。


 廊下で弟がその様子を静かに見守っていたことも知らずに──

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


【ちょっと一言コーナー】

恋愛に苦しむ姿を見ると、心がきゅっとなります……

アンナ、魅力的に伝わってたら幸いです。



よろしければ、ブクマや下のほうにある評価☆☆☆☆☆をつけていただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ