表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君に出会ってから

作者: 嵐鳥夢花

雪美に会う前の俺は酷かったと思う。

いや、出会ってからも酷かったか。

雪美を凄く傷付けてしまった。

後悔しかしていない。


雪美と出会う前の話だ。

高校1年生の俺は女の子が大好きだった。

男友達よりも女友達を大事にしてたし、

女友達のが多かった。

調子に乗っていたこともあった。

彼女を作っても違う子と遊びに行く。

二股や三股もした。

それがバレた時は、すぐに別れた。

俺から別れを告げる前に女の子の方からありえないと言って別れたことのが多かった。

許してくれる彼女とかはいなかった。

でも、別れたとしてもすぐ彼女を作る。

そして、浮気をしたり他の子と遊んだりしていた。

そんなことを1年ぐらいしていた。


高校2年生の夏に雪美が転校してきた。

俺は転校生だし、噂も知らないと思ってすぐに唾をつけた。

少しずつだったけど仲良くなった。

雪美は大人しい子だった。

今まで俺が遊んだり彼女にした女の子とは全然違かった。

よく1人で本を読んでいることが多かった。

だから、俺はよく話をかけに行った。


「よっ!雪美、今日も1人なのか?」

「あっ、橋本くん。うん、そうだよ」

「友達とか作らないの??」

「うん、どうせまたすぐ引っ越しちゃうかもしれないし」

「そうなんだ、羨ましいわ!!!!」

「そんなことないよ?悲しいよ…いつも1人だし」

「俺がいるじゃん??」

「なにそれ!!」

雪美はくすくすと笑った。

「雪美は、笑った方が良いよ!!可愛いよ!!

雪みたいに優しい感じがするよ」

素直に思ったことを言ってみた。

雪美はポカーンとした顔をしていた。

「おーい?大丈夫か??」

「あっ、うん、大丈夫だよ!!そろそろ教室戻るね」

急ぐように教室に戻って行った。

俺も同じ教室だから後ろから追いかけるように戻って行った。

その帰り道に、彼女に言われた。

「雪美ちゃんと一緒にいたでしょ?」

「あー、いたよ?なんで??」

「また他の子にちょっかい出して…

雪美ちゃんのこと好きなの??」

「好き?」

確かに雪美のことは気になっていた。

今までにいないタイプだから、好奇心かもしれない。

「そう、雪美ちゃんのこと好きなの??」

「好きかも…うん、好きだ!!」

そう答えてみた。嘘ではないし。嫌いか好きかで言うと好きな方だし。

「そっか、じゃあ、もう別れよっか。

本当に最低だよ……雪美ちゃんも可哀想に…」

元々今の彼女とは上手くいってなかった。

だから、すぐに別れよっかと言う言葉が出てきたんだと思う。

いや、違うか俺がいけないのか。

「そうだな、別れよう。ありがとうね」


そして、俺は雪美に電話して告白した。

別れてすぐに次の女に告白するなんて酷いよな。でも、当時は何も思わなかったし、気にしてなかった。


電話で告白したら断られた。

だから、次の日に学校で直接告白し直した。

雪美はびっくりしてした。

「昨日の今日だよ?」

「うん、でも、ちゃんと伝えなきゃ!!」

「うーん、すぐ引っ越しちゃうかもよ?」

「いいよ、それまででも!!」

「なにそれまでって…!!」

俺はまっすぐ雪美を見つめていた。

雪美は諦めた顔をした後に少し照れた顔で頷いた。

その日から俺は雪美と遊びに行った。

学校を抜け出して遊園地に行った。

雪美はとても心配していたけど、1回ぐらいなら問題ないよと言い続けた。

久々に楽しいデートだと思った。

雪美を家まで送って帰った。


雪美とは色々な所に行って、凄く楽しい思い出をいっぱい作った。

だけど、人はそう簡単に変われない。

俺はそんな楽しい思い出の裏で他の子と浮気していた。

雪美は知らない。


クリスマスまで後数日だった時。

どうしても今日買い物に行きたいと言ってきたから行くことにした。

雪美と少し遠くのショッピングモールまで買い物をしてに行った。

そしたら、雪美と歩いてる時に後ろ声が聞こえた。


「あれ?哲也じゃん!!」

振り返ったらそこには浮気相手がいた。

「あれー?哲也の彼女??そんな訳ないよね?だって私が彼女だもんね??」

「雪美、服屋で待っててくれる?」

「えっ?うん…」

雪美を遠ざけた。

そして、黙って浮気相手の方を見た。

「で、浮気したの??答えてよ哲也!!」

「ごめん、君が浮気相手。あの子が本名。」

「なにそれ!!!!」

凄く怒っていた。

そして、殴られた。俺は殴られ続けた。

「最低…もう別れる…2度と連絡しないで……」

そう言って去っていた。

俺は雪美がいる服屋に向かった。


雪美は服屋の前で待っていた。

「橋本くん、大丈夫…??」

と小走りで駆け寄ってきてくれた。

「うん、大丈夫だよ。ごめんね、びっくりしたよね、外の公園行こうか」

雪美は無言で頷いた。

多分気が付いてる。いや、さっきの話は聞こえていたはずだ。ちゃんと話さなきゃいけないと思った。


公園に着いて、ベンチに座った。

そして、俺が雪美と付き合ってから何をしたのかを話した。

話が終わった後に、俺は雪美の方を見るのが少し怖かった。

凄く怒っているんだろうな。

殴られるかもしれない。

そして、覚悟を決めて雪美の方を見た。


雪美は泣いていた。

声を我慢しながら泣いていた。

俺は何もしてあげれなかった。

雪美は凄く悲しそうな顔をして泣きながら言ってきた。

「…許すよ……」

俺は戸惑った。許された。初めてだったからだ。

俺は雪美を抱きしめた。

「本当にごめん。もう雪美を悲しませることはしない。本当にごめん」

俺は必死に謝った。

雪美は俺の腕の中で頷いていた。

「鼻水出た…橋本くんのせいだよ…」

「ごめんね」

「うん、もう終わり。

橋本くん、今までありがとうね!!

大好きだよ!!!!これプレゼント!!」

そう言って手袋をくれた。

俺は戸惑って固まってしまった。

「…いらないの??」

「いや、いる!!ごめん、びっくりして…あれ…なんだこれ…」

俺は泣いていた。

今度は雪美が俺を抱きしめてくれた。

俺は後悔していた。

こんなに優しくて俺を想ってくれて子を裏切ってしまったんだと。

情けなくなった。

そして、本気で人を好きなった。

その日は雪美を家まで送った。

静かだった。電気も付いてなかった。

「まだ誰も帰ってきてないのかね?」

「今日も遅いって言ってたよ。

送ってくれてありがとうね!!」

「いいよ、全然!!じゃあ、また明日!!」

「うん、またね!!大好きだよ!!」

「…ありがとう、俺も大好きだよ…」

凄く照れ臭かった。

本当に恥ずかしくて走って帰って行った。

その時に雪美の顔を見れなかった。


次の日、雪美はいなくなった。

連絡しても留守電になる。

家に行ってみたらもう空だった。

学校の先生に聞いた話だと、引越しが決まった時、誰にも言わないで欲しいと言われたらしい。


自分のことばかりで雪美のことを全然見ていなかったんだと思った。

後悔しかなかった。

また、あの笑顔が見れると思ってた。


俺はそれ以来、女友達とも遊ばなくなったし、誰とも付き合っていない。

もう1度雪美に会えると信じて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ