4.黒猫は意地悪に恋をする
エル・《レイを呼んできてくれ》
召使に命令する
召使・《かしこまりました》
食堂を出て行く
有朱・《呼ぶんですか?》
気まずそうな顔をした
エル・《話をしていたら久しぶりに会いたくなった》
ニコニコしている
レイ・《きたぞ・・・・ふあぁ》
さすが召使さんは呼ぶのが早い
眠そうに目を擦る
エル・《レイ、お前はアリスのパートナーを務めなさい》
いきなり言われたようで目を見開く
レイ・《はぁ⁉︎なんでこんな女なんか・・・・!》
嫌そうに睨んできた
エル・《しょうがないだろう、鏡に選ばれたのだから》
ため息をつく
エル・《本当は俺がパートナーになりたかったんだがな》
ミィル・ーがさつな男を選ぶとかアリスはセンスないよね
なんだろう、ミィルに嫌味言われてる
レイ・《うるさい、俺はそんなの認めない》
プイッとそっぽを向いた
エル・《へぇ、俺のいうことが聞けないと?》
エル様の威圧感がすごい・・・・
笑顔なのになんとなく逆らえない気配を感じた
ついに、レイは耐えられず渋々頷いた
レイ・《わかったよ・・・・やればいいんだろ》
エル・《アリスもそれでいいよな》
エルが、振り向く
有朱・《は、はい・・・・》
今更、違いますと言えない雰囲気
律・《頑張ってね!有朱》
多分、律は何もわかってないような笑顔で見てくる
有朱・《なんとか頑張る・・・》
諦め気味だ
レイ・《なんで俺がこんな女なんかと・・・・》
森の中を散歩してるとレイがブツブツ
有朱・《私だって好きで選んでません!》
耐えきれなくてついカッとなる
レイ・《そうかよ、どうせ俺はがさつだ》
レイ・《誰にも好かれねぇよ》
有朱は、ちょっと後悔している
有朱・《ご、ごめんなさい》
レイ・《謝んなくていいぞ》
木を見上げると目を細めていた
太陽が眩しいのかな?
レイ・《お前は、果物好きか?》
聞かれたのでうなずく
有朱・《好きですよ》
レイ・《ちょっと待ってろ》
聞くや否や木に登り始めた
枝を見ると美味しそうな林檎が成っている
林檎を二つ取ると降りてきた
レイ・《これ・・・お前の分》
一つを手渡しで渡してきた
有朱・《ありがとうございます》
林檎をもらうとハンカチで拭いた
レイ・《その敬語やめてくれ、むず痒い》
レイを見ると林檎をそのまま齧り付いている
有朱・《え、でも・・・》
レイ・《歳もそんなに変わらないだろ・・・多分》
林檎を見つめて考える
敬語なしでいいのかな・・・
レイ・《今から敬語は無しだ、いいな?》
有朱・《わ、わかった・・・・》
うなずくと林檎に齧り付いた
甘くて美味しい
レイ・《美味しいだろ?俺が、育ててるからな》
自慢げに果樹を見上げる
有朱・《レイって意外となんでもできるんだね》
感心してると不満げに睨まれた
レイ・《意外とってなんだよ》
レイ・《俺だって本気出せばできる》
ちょっとだけど親近感を覚えた
有朱・《じゃあ、勉強とか得意?》
レイ・《・・・・それの話はするな・・・頭が痛くなる》
頭を両手で抱えていた
有朱・《私も勉強は苦手だよ》
有朱は、林檎をもぐもぐしながら言った
レイ・《お前・・・食べながら喋るな》
とか言いながら自分は食べながら話す
レイ・《レディとしてのたしなみがないのか?》
ムッとして有朱は言い返した
有朱・《レイだって、食べながら喋ってるじゃない!》
レイ・《俺は、男だからいいんだ》
最後の一口を齧り付くと言う
レイ・《さてと、ウサギのところに行くかな》
コルさんのことだろうか?
それを察したかは分からないが
レイは、あくびをする
レイ・《兄貴の方だろ・・・・イチって言うんだけどな》
有朱・《兄弟だったんだ》
レイ・《髪色似てる、それ目印だから忘れんなよ》
有朱は、うなずく
有朱・《わかった》
イチ・《よっ!彼女できたってほんとかあ?》
笑顔の中に少しだけ冷やかしを交えながら言われた
レイ・《違う、こいつがちゃんと他のやつと恋愛できるよう一緒にいるだけだ》
ムスッとして腕を組んだ
有朱・《そうですよ、レイとかありえない》
レイ・《ありえないはないだろ》
有朱・《本当のことだけど?》
睨み合うこと数分
イチ・《ふふっ、いつのまに仲良くなったんだ?》
レイ、有朱・《仲良くない!》
イチ・《息ぴったり》
顔を合わせないでいるとイチは困ったような顔をする
イチ・《そうか・・・・じゃあ、茶葉は渡せないなぁ》
レイ・《なんでだ?》
いち早く反応してイチを見る
イチ・《エル様に『仲良くできなければ分け与えなくていい』って言われてるから》
レイは、舌打ちを一つ
レイ・《余計なことしやがって・・・・》
イチ・《どうする?》
有朱・《私はどっちでもいいですよ》
まぁ、関係ないよね
レイ・《何、他人ことにしてるんだ?アリス》
有朱・《え?》
レイ・《紅茶がなければお茶会できないだろ》
イチ・《アリスの歓迎会やろうってレイが・・・・》
一の口を手で塞ぐ
イチ・《モゴモゴ!》
有朱・《レイが用意してくれたの・・・・?》
意外・・・・一番嫌がると思ったのに
イチ・《ぷっはあ!何すんだ!》
レイ・《お前は、余計なこと言わないといけない病なのか?》
ちょっとイライラしているようだ
イチ・《アリス、気にしなくていいよ。この人ツンデレだから》
レイ・《誰がツンデレだ!》
イチ・《本当のことじゃん、認めなよ》
有朱・《レイ、ありがとう!》
有朱は微笑む
レイ、イチ・《・・・・・・》
二人とも目を見開いて見つめてくる
有朱・《どうしたの?》
首を傾げるとハッとした顔をした
レイ・《お前はずっと笑ってろ》
プイッとそっぽを向く
イチ・《アリスって可愛いね》
有朱・《お世辞ありがとう》
イチ・《いや、お世辞じゃないんだけど・・・》
レイ・《そんなことより、お茶会するぞ》
イチ・《了解、仲良いみたいだからすぐ始めよう》
仲良くないけどなぁ