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カミヒト戦記  作者: ヒノタケル
4/7

鬼神編 三戦目 死山血河の拠り所

なんかこの回で残酷描写増えたからさすがに指定するよ。

まぁ、楽しんでください!

曇天の空に黒い雨。

水増しした泥に雨の日の独特な匂い。

その匂いと混じって付いてくるのは、判別のつかない血の匂いと、害のある毒が人体に影響を及ぼすように息が詰まるような症状。

つまり…(Deth) だ。

死を感じる近くで血は流れやすいだろう。

もっとも、血の匂いがわからなくても死の症状でどれだけ悲惨かがわかるように少女はなった。


泥を裂く足音は グチョ グチャ ビチャ など形などで水分の貯まっているところや少ないところ。色々な形を踏むことによってまた形を変えた。

その足は勢いを増すばかりである。


ビチャビチャグチャグチョビチョ


その足音が荒い息と共に止まった。

どうやら着いたようだ。

血の現場へ。


そこには、様々な容姿の脱け殻が積まれており、深い傷から紅色の鮮血が流れていて、

まさに血の海だった。

その光景はまさしく、死屍累々や死山血河などと不本意ながら表現せざる負えない。


山の近くで賊が追い剥ぎをしているのを見ると、足音の主の少女は、追い剥ぎをして座っている男の後ろに立とうとした。

その少女も賊と同じ()()()に入ったのである。

賊の後ろを取り、刃を振りかざす。

その賊が気づいた時にはもう遅かった。

ザクッ

その鈍い音と共に男は倒れた。その音に気づいた男二人が少女の方を見た刹那。二人の心臓位置にはすでに刃が飛んでいた。

一人はすんなりと心臓に刃が届き、即死だったがもう一人の賊はどうやら中途半端に刃が刺さってしまったようで地面に倒れもがいた。

少女は倒れた男から刺さった刃を抜いた。

男はその痛みに耐えられず泣き叫ぶことしかできなかった。

少女は男を取り押さえて、背中から肺に向かって刃をもう一度刺した。

ザスッ

男は静かになったが、死んだわけではない。

肺を刺されて呼吸出来なくなったのだ。

「お前のせいで苦しんで死んでいった人の倍以上苦しんで死ね。」

少女はそう言い残し、その場を去った。




同じような泥の道を歩いた。変わった所と言えば、血の匂いや跡がついていることだ。血の匂いがきつく香るほど、息が詰まるような死の症状が辛くなって来る。それに死体ときたらさらに心を淀ませる。こんな場所にいるのに気分が良くなる訳ではなかった。

だが少女は「どんな泥仕事でも誰かがやらないといけない。」なんて考えではなかった。

少女の思想は単純。

「神達を全て殺す。」

ただそれだけであって、今の少女の行いは「神達を全て殺す。」を達成するための殺生だった。

村を襲うような賊は何の価値も無い生命だと。

少女はより深く残酷に修羅に墜ちていく。

いまもなお…


少女が村に着いた頃には清き命は一つも見当たらなかった。

ただあるのは賊という価値の無き者のみ。

少女は堂々と賊の前に立つ。

「な、なんだてめぇ!」賊は少女に驚いたが

「どうした。その()は飾りか?」と少女は挑発した。すると賊はとっさに斬りかかった。

「死、死ねぇ!」と斬りかかったがあっさりと捌かれた。

「貴様一人では相手にならない。仲間を呼べ。」と少女は言うが賊の反感を買った。

「調子に乗るなクソガキ!」と刀で斬りかかるもまた捌かれて、首を斬られてしまった。

「話にならん。死ね。」


大勢の賊がやって来た。

当然その現場には一つの死体が存在する。

何人かの賊は少女を見て驚くがすぐ刀を抜く。

「動くな。武器を捨てろ。」と賊は言う。

「武器を捨てたとて、殺すのだろう?」と冷静な口調で言う。

「今武器を捨てれば楽に逝けるぞ。」

「…」少女は黙ったままだ。

「…やれ。」と賊の一人が言うと数人の男が少女を囲んだ。

「…なぁ領袖(りょうしゅう)様?こいつと一つ遊んでいいですかな?」と少女を囲む一人の男が言うと

「好きにしろ。」と長が返すとその場を去った。

男は少女の体を色目で見た。

「俺たちと遊んでくれたら生かしてやってもいいぞ?」と小馬鹿にした態度を取り、少女の胸に掴み掛かかろうとした。

その時。男の片目を冷たい金属が撫でた。

「己の恣意を露にする愚か者め。」

男は目をやられて狼狽えている。

「て、てめぇ!それ以上動くな!」

「待て!もう決めたぞ…お前で散々遊んで壊してやるよ!お前らにも遊ばしてやるよ!さっさと取り押さえろ!」

男達は少女を取り押さえようとする。

「動くなよ?痛くしないから。」

「…愚か者め。ひれ伏せ。」次の瞬間。少女の目は青から紅く色を変えた。男達は動きを止めて、少女の前にひれ伏した。

「な、なんなんだ!こ、これは!」

「貴様らは自分の首でも切っておけ。」すると自分の行動と反して勝手に刀の刃が首もとに来る。

「あ、何故だ!く、クソ…し、死にたくない!助けてくれ!助けてください!」と男達は少女に懇願するが

「黙れ。」と少女が言うと片目になった男の方え歩いた。

「貴様。長の元に案内しろ。」

その男は言われるがままに行動した。


「な、なぁ?お、俺が悪かったって!食べ物でも何でもやるからさ、助けてくれないか?」と男はなんとも滑稽な命乞いをしたが

「黙って歩け。」男は口を開くことが出来なくなった。


たどり着いた先は、小さな屋敷だった。

屋敷の中には一人の気配もなかった。

「この中にいるのか?」と少女は聞くと、男はコクコクと頷いた。

「奴を呼べ。」と少女は言うと男の後ろに隠れた。

男は呼び掛けようとした。

「領袖さ…」と言いかけた時。殺気と共に刀は男を貫き、体を持って行きながら少女の方に飛んできた。

少女は藪の中に避け入った。

「あの威力…人外か…。」そう理解したとたん。少女は際限のない憎悪を人外に向けた。

「人外のせいで…神のせいで…」駄目だ。落ち着いて冷静にならなければと思い、少女は下の石を拾い横の木にぶつけた。

すると案の定刀が木に突き刺さった。威力はやはり桁違い。

屋敷の方を見るとふすまは開いていた。

「クソ…どうすれば…。」少女は少し悩んだが、すぐ閃いた。

少女は一番高い木の近くに寄り、何度木に小石をぶつける。

刀は幾つも飛んで来て木に刺さる。

どんどん音鳴らす。

木の根元は刀に埋まっていきとうとう耐えられなくなり最後の刀が飛んで来て木に刺さる。

木は屋敷の方に倒れようとすると、少女は傾いた木の上に乗り颯爽と屋根の上に移動する。

屋敷は木が倒れたことによって半壊。

少女はすかさず屋根裏に潜り込んだ。


中は空いた天井の光で明るかった。

少女は音に注意した。屋敷には一つの小さな呼吸音があった。部屋に踏み入れようとした瞬間。

少女は何者かと一緒に屋根を突き抜け、上空まで飛んだ。


「く、くそ…!」と空まで飛ぶ。

このままでは落下の衝撃でただでは済まない。

「もう無理なのか…。」と少女は諦めかけたが、昔、ある男が使った奇妙な技を思いだした。

「これが走馬灯というものか。よし!」

少女は華麗に宙を舞い構えた。

「いくぞ!月下落点(げっからくてん)!」

少女は屋根に刃を向けて攻撃した。

屋根を破壊し、畳に直撃する。

「はぁ…はぁ…無傷か…。」少女は辺りを見渡したが誰も居なかった。どうやら神はすでに外に出ているようだった。


外に出ると案の定、神が立っていた。

「私の技を受け止めて生きている人は初めて見ました。」と神は言った。

「今度は我の番だ…人外よ…必ず殺す…。」

「人間の癖に生意気ですね。」

「我は…この世の中で…覇者となる人間だ。」

「覇者?たかが人間道の覇者候補。遊んであげますよ?」神は嘲笑う。

次の瞬間。

神は高速で少女を攻撃し少女の後ろに立った。

「なんだ。この程度ですか。がっかりし…」神が少女の方を見ると、傷は一つもついていなかった。

「どうやらその体も便利じゃないようだな。」神の体に数ヶ所の浅い傷が付いていた。

「速く行動できるが、お前自身処理はしきれないみたいだなら。」

「な、なに!?く、くそ!馬鹿にしやがって!次は絶対殺す!」

神は自ら両方の腕を切り血を流した。その血は徐々に鋭利な刃に変形した。

「ここまで来ると神ではなく本当に人外だな。」

「どっちにしろお前は死ぬんだ!死ねぇ!」

神は少女に突っ込む。

刃が交じり合い、火花が散る。

「お前では我に勝てないぞ?」と少女は余裕そうに言う。

「黙れ!死ねぇ!シネシネシネ!」神の攻撃の勢いは増す。少女は神の攻撃の威力に圧倒され吹き飛ばされてしまった。吹き飛ばされた先は木の太く尖った枝。

少女は直前で木を足で着地し枝は股の間で避けれた。勢いのまま、木を蹴り神の方に飛んだ。

刃を構えまたあの技を出す。

「月下落点!」

神は攻撃を避けきれず、致命傷を受けた。

「うげぇぇぇ!」

ザッと地面に足を着いた。

「神の力もこの程度か。」

「き、貴様!俺の力を奪う気か!?」と人外は言うと少女は嘲る。

「お前ら人外の能力に断じて興味は無い。ただ、人々の苦楚(くそ)を報いるだけだ。」

「仇敵の力は欲しくないということか…クク…ならば!」と人外は言うと自らの心臓を貫いた。

「何をしている!」と少女は言うが次の瞬間。白い炎が飛んで来て少女の胸の中に入った。

少女はもがき始めた。

「ハハハッ!死にたくなければ抗え!人外になりたくなかったら抗え!お前には抗うということしか選択肢は無いのだから!!」

「う、あ…ぐぅぅぅ…あぁぁぁ!!」

少女はもがくことしかできない。

「私の神を半分、分けてやった!私はもうじき死ぬだろう!それまで…耐えれる…見もの…。」神は絶命した。


胸から入ってきた炎は、そこから徐々に人間から神になっていく。皮膚は肌色から白へ。

「く…くそ…わ…私は…我は!…人間…の頂点に立つ…のだ…そのためには…私が人間のまま…ではいけない…そして…この世の神を…全て…殺すんだ!!」

少女の体は白い炎に包まれた。

どんどん炎は大きくなり、森一面、白い光に飲まれた。



ハッと目覚めた。雨はいつの間にか止んでいる。そこには神の死体はなかった。

「どう…なったのだ?…。」と辺りを見渡すと、一人の男の子が立っていた。

「お姉ちゃん強いね?良かったらもっと強くなれる場所を教えて上げるよ?」と男の子は言うがとっさのことで理解できなかった。

「お姉ちゃんがもし強くなりたいんだったら、ここまでおいで?」と男の子は地図を渡す。

地図を見つめてから見上げて声を出す。

「君は…。」男の子はすでに消えていた。

どこにもいない。すでに辺りは真っ暗だった。

「くそ…逃がしたか…。」少女は自分の体の傷を見て疑問に思った。いや、傷があった所を見てだ。

傷の付いていた箇所は白い皮膚で消えていた。

少女はハッとなって自分の胸を見る。

炎が入ってきた所を中心に白い皮膚が生えているような見た目だった。

「こ、これは?」と驚くが少女は薄々理解した。


屋敷の屋根から声が聞こえた。

「お主。何者だ?」

気づいた少女は声がした方を見る。

男がそこに立っていた。後ろの三日月の光で顔が暗くて良く見えない。

「お主はどっちだ?」と男は聞いてくる。

少女はその男の気配からして人ではないことはわかっていた。

「お前も人外か。殺す気は無くとも、我はお前を殺さなければならない!」と少女は屋根に居る人外の方に飛んだ。

飛んだのはいいものの、いつの間にか屋根ではなく空に居た。

「な!?」少女は驚く。このままでは地面と衝突してしまう。

月下落点(げっからくてん)!」土煙りが舞う。

「く…くそ…。貴様…何をした…。」

「お主が自分でそこに行ったのだろう?」

「ふざけるな!」と少女はまた人外の方に飛んだ。今度は避けないと当たる位置に人外は居る。

人外は避けると言うより横に瞬間移動した。

「くそ!月下落点(げっからくてん)!」

ズドンッ

「お主。ボンに会っただろう?なにか渡されたりしておらんか?」と人外は聞く。まるで少女に対して敵意が全く無い態度だった。

「はぁ…はぁ…言ってどうなる?」少女は変わらず敵対的。破壊衝動は収まらない。

「言っておくが…絶対にお前を殺すからな…。」

「そうか。よくわかった。」

男は自分の刀に手を掛けた瞬間殺気を放つ。

「話合えないのなら…本気でお主を…斬るぞ?」

少女はこの男と立ち会いするのを後悔するほどに恐怖した。

血は逆流するように冷たくなり、際限なき殺意を浴びる。

今すぐその場から逃げ出したいほどに。

後悔してももう遅い。

すぐそこに終わりがあるのだから。

「あ」

男はいつの間にか正面から消え、少女の後ろで刀を振るった。

バチィィィィン。

後ろの木々は刀身を優に越え凪ぎ払う。

「樹薙ぎの刀と言ったところか。まぁ、木々を斬り刻めるのは私の能力がほとんどだがな。」

木々が倒れる音が夜の世界に轟く。

「さぁ?どうするこれでも私を殺すつもりか?」と男は挑発する。

「あぁ…殺してやるさ!」

「なら、私は刀を使わん。素手で戦おう。」

「舐めるな!!」少女は激昂し男に斬りかかる。

全て何かの格闘術で捌かれる。

「ふん。そんな攻撃。いつまでたっても私に届かんよ。」更に挑発する。

「絶対殺す!」少女の攻撃はより一層激しくなるがどれもこれも無意味だった。

「ところでお主。その短刀はどうした?奪ったのか?」

男は少女の使っている2つの短刀について聞いた。

「お前に…関係…無い!」少女の攻撃がより鋭くなってやっと人外の顔に傷をつけたかと思えば、直前で止められた。

「お主。一つ教えてやろう。」少女は次の攻撃をしようとしたが手はがっしりと抑えられていた。

「お主では到底勝てない私の前に立ちはだかるのは勇気などではない。」男から空気が死んだようになる殺気がまた放たれた。

「そうだな。例えると…お主は…」

殺気を放ったまま男はニコッと笑って

「愚か者よの!」

少女の胸に聖拳が一つ打ち込まれた。

少女は尋常じゃない衝撃で後ろに吹き飛ぶ。

最初にぶつかったのは木だった。だがこれでも止まる気配は無く、木々をなぎ倒しながら吹き飛ぶ。

最後には土に肌を擦り合わせる。

誰から見ても完全に死んだようなモノだ。

男は少女に何か言っていたが、

もう意識は無かった…


終わり

次回お楽しみに!

神の正体書けなくてごめんなさい!

いつになるかわかりません!

すみませんでした!

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