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其ノ壱
それは、中学校に入って初めての夏休みのことだった、部活帰り、めったに人が立ち入らない、住宅街の裏道を一人で家に帰る時だ
「ったく、夏休みに部活はつれーな・・・」
うだるなよう炎天下の中でアオトは、ぼやいた
手に持つ水筒が、やけに重く感じる
俺の近所での評判は最悪だ
小学校の時からいたずらばかり
隣のおじさん家の庭で大音量のガラスが割れる音を流したこともある
飛び出して来るのがおもしろかった
一度、お前はズルの天才だな、と嫌味のように言われた事もあったが、俺にとっては、ほめ言葉だ
途中、近所のおしゃべりな太り気味おばさん達の話し声が聞こえた
塀によりかかり聞き耳を立てる
ーー知ってる?食料不足
ーー知ってるに決まってるでしょ、大問題なんだから
(ああ、なるほど)
この時代、人間が大きく増えたせいで、世界は食料不足に陥っていた
(だからといって、なにが変わるんだ)
中学生にしては卓越した考え方、技能、判断力
そのせいで大きな事件に巻き込まれようとしている事をまだ俺は知らなかった