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読めない記録媒体  作者: 廣田伸彦
1/1

読めない記録媒体 Ver.1.1 2016/12/04

廣田伸彦 @n12a です


現在我々が掘り出して使っている炭化水素系の、石油や天然ガス、石炭、そういったものが、もしも遠い過去の記憶媒体だったら? ということから捻って原稿用紙2枚に書いてみました。


後ろの方には、どこかでみたようなセリフが出てきますが、彼ら独特の言い回しらしいです。

 蛮族は我々「『原油』探索隊」の移動図書館を利用するフリをして貴重な記録がなされた紙を燃料にしてしまった。さすが蛮族。

 蛮族の長は、「この冬を越すだけの燃料がなければならない」といった。そこで、我々探索隊は、移動図書館の知識活用を提案した。彼らが『原油』を活用し、短期的解決ではなく、来年以降の生活が安定することを、我々は望んでいたのだ。本当だ。

 彼らは、我々の記録が読めないことを隠し、資料の紙を燃料に使うつもりだったのだ。

 「隊長」と副隊長が話しかけてきた。

 「もう、記録媒体を燃料にしちゃう奴らに構わず、『原油』を探しに行きましょう」

 私は応えた。「行こう。今は蛮族だが、彼らの祖先が宇宙を翔けていた頃の各地の都市跡の『燃料庫』からの安定した炭化水素結晶=『原油』のお陰で、我々は生きていられる。蛮族は『燃料庫』を神聖視し信仰するだけで、『原油』を燃やすのは蛮行だとか言うが」

 移動図書館担当で、よく蛮族どもに家まで呼ばれていた眼鏡を掛けた「館長」が帰ってきた。昨夜は蛮族の儀式に紛れ込んでいたようだが。

 「隊長、昨夜、彼らの儀式に呼ばれたんですが」

 「ご苦労」

 「なんか馬鹿にされたんですけど、『おまえらのほうが野蛮なことを証明してやる』とかいわれて。で、彼ら『燃料庫』の隣によくある、大きな透明な板のそばに『原油』を積んで、一枚ずつそこにあった台に乗せてるんですよ。『なにをしている?』と訊いたら『君の一族はそんなことも忘れてしまったのかね?』とか四角い顔した青二才に言われてムカつきました」

 なんだそりゃ。

 「なんか、一枚ごとに、『読めない、読めないぞおぉ!』とか騒いでたんですけど、なんですかね?」


資源に恵まれていない、食べ物がない、社会体制が不安定、そういう局面で、「知識があれば切り抜けられる」ということはあると考えます。


知識というモノがすでに記憶媒体に書き込まれていて、人々が、それが記憶媒体だと認識できなくなってしまうほど時間が経つと、一体どうなるのでしょうか。


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