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操作キャラは、俺!  作者: けっぱる
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求めていたものは意外と近くにある

 宿で寝ると気分が良くなり、俺は頗る気分が良い。

VR世界に閉じ込められた不安はなくなり、今は自分でも驚くほど前向きな気持ちになっている。


「さぁ! 野中! これから夜時花やじかを採取しに行こうぜ!」

「おいまて……夜時花は深夜にしか咲かない花だから、昼間探すのは無理だぞ。 それに露店で必要なものを

揃えんと…」


 そうだった、気分が良すぎてすっかり忘れていた。 俺は「秘薬館」の女店主から改めて『夜時花』の特徴と自生地の情報を手に入れ、必要な道具を買うため街の広場にある露店『マッティのリサイクルショップ』で使えそうな物を見にいく予定だった。

 街の広場には多くの露店が集結しており、たくさんある露店の中からマッティの店を探す。


「雑貨屋でもいいんじゃないか? そっちの方が良い品質のアイテムあるでしょ?」

「いや、今はお金を節約しないとな、中古と言えど使える『物』は少しでも安く手に入れたいから!」


 野中は一人暮らしを始めてから、お金に困らない様普段の生活で必要な物以外は無駄な買い物をしないよう(※娯楽除く)心掛けているらしく、それはゲームプレイ中にも反映していた。


「えっと…持ち金は31Gあったけど、宿屋で10Gで払ったから残りの手持ち金額は21G…また宿屋でもう1泊すると考えると使えるのは11G…ちょっと足りんな……」

「まだ昼間だし、街から出てまた素材集めするか?」

「あまり遠くへ出掛けると帰るのが遅くなって露店が閉店してしまうからな、とりあえず『マッティ』の店を見つけて、どんな物が幾らで販売しているのかだけでも確認しようぜ」


 数多くある露店を1軒1軒確認しながら探し回っていると、他の店とは違い武器や装備、道具や服が置かれている店を見つける。


「そこのお兄さんッ! ちょっと待ってぃ! 私のお店に寄っティティ―!」


 男の声……いや、「オネェ」の声だ。 声の主を見ると、カウンターに両肘を立て、顎を掌に乗せた濃い笑みを浮かべている筋肉質の男性がこちらに熱い視線を送っている。  口調からしてコイツが探していた『マッティ』であるとすぐ確信した。


「ここが『マッティ』の店か…」

「YeS! 私が『マッティ―』よ! 中古品ばかりだけど! 品質は良いわよぉ!」


 マッティは売り場にある「木の盾」を拳で思い切り叩くと『バキャッ!』と音を立て、盾は盾としての機能を失ってしまった。


「あらヤダッ! 不良品を売るところだったわ! ところでお兄さんは何をお求め?!」

「えっと…何が必要なんだっけ野中?」

「夜時花は全体的に暗い色をしているから、周囲を照らす『松明』が欲しいな」

「松明ッ! あるわよぉ~!」


 マッティは店の前に並べられ商品の中からすぐに松明を取り出した。


「この松明は何度か使用されているけど、着火用の油がまだ残ってるから暫くは使えるわ! 6本あるからまとめ8Gでどうかしらッ? 今なら使用済みの火打石もオマケするわよん♥」

「6本で8Gか…となると残りは13Gになるから宿代は残るな…」


 こうして8Gで明かりとなる『松明』を5本手に入れた。 これで暗闇でも夜時花を見つける事が出来る。

 俺は「マッティ」の店を後にすると、街を出て夜時花が自生していそうな場所を明るい内に探す事にした、夜時花の情報が書かれた資料を見てみると、「綺麗な水辺に生息している」との事だ。


「綺麗な水辺、といってもそこら辺に流れている川とか…どこ見ても綺麗に見えるんだが…」

「サブクエストだからな、そんな近くで手に入れられるようなアイテムじゃないだろうから…きっと少し離れた場所にあると思うんだが……稲島、心辺りある?」

「そういえば街へ行く途中の森の中で湖を見掛けたんだけど」

「…行ってみるか!」


 俺と野中は森へと入り込み、小川を辿りながら湖を探す。 歩いている内に時間は経過していき、徐々に森の中は暗闇に包まれていった。

 昼間の明るい光で包まれ小動物の鳴き声が聞こえた森は一変して、真っ暗な闇と静寂に包まれた不気味な世界に変わっていた。 リアルな世界観だけに夜の不気味な雰囲気も再現され、RPGゲームなのにホラーゲームのように思える。


「野中…松明灯そうぜ、怖ぇえわ…」

「よし、じゃあ小枝や落ち葉を集めて火打石で焚火をしよう」


 アウトドア経験のある野中の指導の元、火が芝生や他の草木に燃え移らない様、川辺付近の岩場に移動し、そこらにある石を集めて「C字型」に並べる。


「いいか稲島、薪を組む時は太い枝を下にして、その上に焚き付け用の落ち葉を置いてさらにその上に小枝を乗せる。そうすると火が細い枝から太い枝へと移って徐々に火が大きくなるんだ」


 指示通りに薪を組み火打石で着火すると、野中の言う通り火は徐々に大きくなってきた。『パチッ…パチッ』と音を立てながらゆっくりと燃える火は、暗く不気味な森の中にいながらも、見ているだけで安心感を与えてくれる。

 松明を火に近付けると松明の先端に染み込んだ油に着火し、文字通り俺は『明かり』を手にすることができた。


「目印として焚火はこのままにしておこう、本当なキチンと後始末しなきゃいけないけど……ゲームだしいいだろう」


 明かりを手にした俺は暗い森を照らしながら、引き続き小川を辿って行く。 徐々に小川の川幅が大きくなって行き、しばらくすると草むらの向こうで小さな光が見えてきた。


「あれは……蛍だ! 蛍は綺麗な川にしか生息しないから夜時花もこの辺りにあるかも!」

「おぉ! それじゃあこの辺りを探せばいいんだな!」


 ゲーム時間は夜の20時02分、夜時花が咲く時間帯だ。 松明の明かりで周囲を照らしながら一生懸命に探す。 川辺に咲いている花や植物をよぉーく見ながら歩いていると……


「野中! あったぞ!」

「どれッ?! ……あぁ! これだ!」


 探す事10分、俺達は川辺に咲いている「夜時花」を発見した。 資料に描かれている絵を見ても間違いなかった。 ……しかし見つけたのはたったの「1本」だけだった。


「もう少し先へ進もう、似たような場所で咲いているかもしれない」


 さらに小川を辿って行き、2本、3本、4本と少しずつ夜時花を見つけ、ゲーム時間で約2時間程で遂に5本目の夜時花を発見した。


「よっしゃー! 5本手に入れたぞー!」

「さっそく戻ろう! 今は深夜の0時41分だから2時までに持っていかないと夜時花の薬用効果がなくなっちまう!」


 ファストトラベルは出来ないので、野中は俺を操作して急いで街へと戻る。 帰りも小川を辿り、森の中を歩いていると野中がある事に気付いた。


「あれ? 焚火に何か刺さってる…」


 先程俺達が焚いた焚火に何がが刺さっていた。よく見てみるとそれは長い木の枝に刺さっている魚で、その数は3本ある。


「誰かがこの焚火を利用して焼き魚調理したんだよ」

「うん…でも一体誰が…」


 その時だった、何かが風を切る音がした。 聞こえたのは一瞬で、音が止んだと同時に俺の方に何かが当たった。


「……えっ?」

「あっ…野中…」


 俺の左肩に「矢」が刺さっていた。 痛みはないが、俺は驚いて言葉も出なかった。


「逃げるぞッ!」


 野中の操作で俺は森の奥へと走り出す、するとまたも後ろから風を切る音が聞こえてくる。 「何者」かが「矢」で俺を攻撃しているのだ。 この時初めて俺はまた「命を狙われている」事に気が付いた。


「うわぁああ! また『温厚な人』かッ?!」

「いや! あいつは倒しただろッ! 多分『山賊』だッ!!」


 俺はジグザグに移動しながら逃げている、野中が俺を狙っている奴の『命中率』を下げ、矢を当てにくくする為に操作しているのだが、動きが激しい上に走り続けているとスタミナの消耗が激しく、俺の移動速度は遅くなってきた。


「どこかに隠れよう!」


 近くにあった太い木の陰に隠れ、スタミナが回復するまで身を隠していたが矢が木の幹に次々に刺さってきた、どうやら俺の居場所はバレているらしい。


「なんで俺の居場所がわかるんだッ!」

「! 稲島、お前松明持ってるからだッ!」」

「あぁ! そりゃバレるわッ!!」


 手に持っていた松明は投げられ明かりは消えたが、矢の攻撃は止むことなく俺は移動する事が出来なかった。


「どうしてあんなに矢が次々と放てるんだ!」

「多分……敵は複数いるんだ、焚火にあった魚覚えてるか? 1人1本だとしたら…3本はあったから3人はいると考えられる! それにこんな暗い中で正確に攻撃出来るという事は…夜目でこちらがよく見えるんだ!」


 これは最悪の状況だ、すぐにでも逃げたいがまだスタミナは回復出来ていない。 するとどこからか大きな声が聞こえた。


「おぅ! 俺達山賊の大切な縄張りに勝手に入って来るったァ! いい度胸してるなァッ!」


 すると今度は別の声が聞こえてきた。


「勝手に焚火なんかしてよォ! 後始末もしねぇで燃やしたままにしとくなんてよォ?!」


 さらに別の声が聞こえてきた。


「川辺だからって安心してんじゃあねぇゾ! コラッ! 俺達が見つけたから良いもののッ! ちょっとした火の粉が山火事の原因になるんだぞコラッ!」


 野中の言う通り、俺を攻撃してきた相手は山賊で人数も3人だった。焚火を後始末ぜずに放置したのが許せないらしい……山賊にしてはヤケにマナーに拘っている気がするが……彼らが言っている事はまったくの正論だ。

 しかし、こちらが悪いとはいえここで死ぬわけにはいかない。相手の矢が尽きるまで待つしかなかった……がそうはいかなかった。


「俺がここで弓矢で奴を狙い続ける! お前らは奴が隠れている木まで行ってズタズタにしてこいッ!」

「了解だよォ!」

「よっしゃコラッ!」


 なんとチームワークの取れた山賊なのだろう、俺は少し関心した。 しかしこれは確実にヤバい、松明を失い周囲に何があるのかまったくわからず、俺は何も出来ない。

 遠くから弓矢で俺を狙い、近くには俺をズタズタにするべく2人の山賊が歩み寄ってくる……。


 ……絶対絶命だ。


「稲島! まだスタミナは回復してないが、逃げられるところまで逃げるぞ!」


 野中の操作で俺は逃げる体制を整えるが、夜目の効く山賊相手にどこまで逃げきれるか……俺は野中の操作に全てを託すことにした。

 闇の中で聞こえる不気味な笑い声と、息の荒い音が聞こえる。しかもそれは徐々に近づいてくる……。 スタミナは半分も回復していないが、ジリジリと俺の体が少しずつ動いているのがわかる、野中がそろそろ逃走するのだろう。


 そして、二人の足音が早まったのを聞いた瞬間、俺の体は動き出した!


「待てッ!!」


 遠くから弓矢で狙っている山賊が大きな声で言う、誰が待つものか! 逃げられるとこまで逃げて生き延びてやるッ!! 僅かなスタミナで俺は森の中を走る。


「待てよォ!!」

「待てコラァ!!」


 俺が逃げたのを確認したのか、二人の山賊が追いかけてくる。いざとなったら戦うしかないが、一体どこまで戦えるか……恐怖と不安にに駆られながら走り続ける。


「待てッ! 待つんだ!」


 遠くから狙っている山賊も追いかけてきたらしい、3対1はヤバい!


「ほらっ! 待ってくれよォ!」

「待ってよ コラァア!!!」


 3人の盗賊が追いかけてくる、しかし俺のスタミナは尽き果て足が遅くなっていく……もう、ダメだ!


「待つのはオメェらの方だ!」


 遠くにいた山賊が大きな声で2人の仲間を呼び止める。


「えっ! 俺らが止まるのかよォ?」

「逃げちまうだろ コラァ!!?」

「それどころじゃねぇ!! 火事だッ!!」


 火事? そういえばどこから何かが焦げた臭いがする……。すると逃げてきた道を振り返ってみると、暗い森の中でボワッとした明かりが見える、ついでに……そこから煙が上がっているのも見えた。


「山火事だァ!! 森がッ……森が燃えてるッ!!」

「あっ……あぁあああ! 火がッ! 木が燃えてるよォ!!」

「おいコラァ!! なんで火がついてんだコラァア!?」


 山賊達は火事現場へと走っていった。 俺は……どうやら助かった……らしい。


「なんで……焚火の不始末……?」

「いや……さっき松明投げたろ? それで火事になったんじゃないか?」


 そうだ、そういえばさっき松明を投げた。 俺は遂に自ら起こした火で山火事を起こしてしまった……しかし今回ばかりはそのお蔭で無事一命と取り留めることが出来た。

 山賊達が戻ってこない内に俺は森の中を駆け抜けて、やっとの思いで街へと戻ってきた。時間は深夜の1時39分、途中でトラブルがあったものの何とか夜時花の薬用効果が切れる前に持ち帰る事に成功した。

 すぐさま「秘薬館」へと向かうと、夜行性の女店主は今日も深夜までお店を開店させている。さっそく夜時花を渡しに店へと入った。


「いらっ……あんれぇまたあんたかぇ! ……肩に矢が刺さっているよぉ?」

「あぁ……でも大丈夫、とにかくコレ『夜時花』5本、持ってきたよ!」


 俺はカウンターの上に採ってきた「夜時花」を全て置いた。


「綺麗な水辺にしか自生しないって資料に書いてあったからさ……森まで行って探してきたけど、途中で山賊に出会って……大変だった」


 俺は力が抜けて床に座り込んだ。


「森まで行ったのかぇ!? この辺りの川は綺麗だからそこらで採れるのに態々森まで行ったんか?!」

「えっ……えぇッ!! そこらの川でッ?!!」


 なんと、街の外にある川辺でも採取出来るとの事だ。 街を出た当初見掛けた川でも良かったのだった……それを聞いた俺は今までの疲労がどっと出て、座り込みからそのまま床へと倒れ込んでしまった。


「でも……森から採ってきたって事はよぉ…この夜時花は……」


 女店主は俺達が採ってきた夜時花をまじまじと見つめると、驚いた表情をした。


「あっ…あぁ~! これはぁ『良効な夜時花』でねぇのよさ!」

「りょう…こうな夜時花……?」

「同じ夜時花でもなぁ! 森の自生してる夜時花は水と土の養分が豊富でそこらで生える夜時花よりも茎と葉が大きくて、『良い効果』があるからそう呼ばれてるんだぁ!  いっやぁ~! まさか良いやつを持ってきてくれるとは思わなんだぁ~!」


 どうやら良質の夜時花を持ってきたみたいで、女店主はすごく喜んでいるようだった。 同じアイテムでも、環境によってグレートがあり、品質が良い程そのアイテムの効果も良いらしい。


「いっやぁ~ご苦労だったねぇ! 約束の100Gだけど、今回は『良効』のやつを採ってきてくれたから、500G払うよぉ! ついでにその肩に刺さった矢の治療もしてやるけぇ」

「おぉッ! やった!」


 俺達の苦労は報われ、初めてのサブクエストはちょっとした勘違いから大きな成功で終わらせる事が出来た。矢の怪我を治療してもらい、500Gを手に入れた俺達は宿屋へと戻った。


「いらっしゃいませ~1泊10Gになりまーす! お食事は別料金でーす!」

「ちなみに食事っていくらするの?」

「お食事はお安いものは2Gからで、お飲み物はジュースが1G、お酒が10Gになりまーす!」

「じゃあ宿代10G払っても、残りの3Gで食事が出来るな! それじゃあ食事もお願い!」


 俺は食事が出来るまでカウンター席に座り一息ついていた。このゲームの世界に閉じ込められてから色んな出来事があり過ぎで驚きの毎日だった。

 特別、お腹は空いていないが、食事で少しでも気分が落ち着ければと思い、試しに注文してみた。


「今回も何とか切り抜けたな……」

「だな……、でも資金が手に入ったからこれで武器を購入しよう!」

「おまたせしましたー! ジュースとお食事でーす!」

「……!?」


 皿の上には向こうが透けて見える程薄いベーコンと、小鳥の卵でも使用したのだろうか? "500円玉"

程の小っちゃい目玉焼きが1枚ずつ乗せられており、申し訳程度にコショウがかかっている。

 まともだったのは一緒に出された"ジュース"くらいなものだ。

 


「2Gでこの食事…」


 いや、たった2Gならこれ位が妥当ちゃあ妥当だろう。 しかし……こんな中途半端な食事、普通客に出すだろうか……? 

 俺は複雑な気持ちになりながらも、出された食事を1分も掛からない内に全部食べ終えた。味は……コショウの味だけしかしない。

 このゲームで"食事"を摂ることでプレイヤーに様々な"効果"を与えれる事が出来るが、今回の食事で得られた効果は……


◎体力回復効果 2ポイント◎


 食事も安ければ効果も安いものだった……。


「お客様ぁ! 前回、お客様が掲示板で描きこんだ内容にお返事が書かれています! 後程ご確認を~!」

「掲示板……? あっ!」


 そういえば、初めて夜時花を探しに行く前に宿屋の出入り口横にある掲示板に書き込みをしていた事を忘れていた。

 俺は野中に掲示板まで行くようお願いした。たくさん書き込みがある掲示板の中から、自分が書いた内容を探すと、確かに書き込みに返事が書かれていた。


              ☆ゲーム世界に閉じ込められた人! 集合!☆


      『この度、「new world」の不具合によってゲームに「意識」を閉じ込められた方!

     問題解決まで一緒に行動しませんか? 

      自分で操作が出来る方は当宿屋の3階、308号室までお越しください! 


      問題解決まで皆で助け合おう!!』



                 ☆返信☆ 「仲間にして下さい」

   

   『掲示板の内容を見ました、私も意識を閉じ込められています。 部屋にお伺いしましたが、       出掛けていたようなので、また改めて訪問させて頂きます。』PN.YAMA


 

 返事は俺と同じく、ゲーム世界に意識気を閉じ込められた人からだった。この返事を見て俺と同じ状態の人間がいる事が確認できた。


「YAMA……さんか、この人も稲島と同じ状態でゲーム世界にいるんだろうか…」

「部屋に戻ってそのYAMAさんが来るまで待ってみよう」


 俺達はYAMAさんという人物が訪れるまで部屋で待機する事にした。新しい仲間を迎え入れる前に俺は野中と一緒に改めて今後の対策について考える。


「これはYAMAさんという人も来たら改めてみんなで考えようかと思っているんだが、今一度ゲームに閉じ込められた人達とどのようにこの世界で過ごしていくか考えておくべきだと思うんだ……」

「そうだな…掲示板で取り敢えず『助け合おう』と書いたは良いけど……具体的にどういう風に過ごして行くかまでは考えてなかったしな……」


 先の山賊の件も含め、過去の出来事からいつどこで襲われるかわからないこの世界で自分たちが何をするべきか、どのように行動していくべきか。一歩間違えれば二度と現実世界に戻れなくなる可能性があるかもしれないこのゲームで上手く生き残るために、野中と二人で「生存プラン」を練っていた。


 この仮想世界にいる間はここが「現実」なのだ。 もはや「娯楽」でも「遊戯」でもない……。今まで生き残ってこれたのは「奇跡」だったのかもしれない……。

 

 今出来る事は、新たに仲間を迎え入れて共に協力し、共に「現実」へと戻る事。その目標に少しでも近づく為、俺と野中のゲームプレイはまだまだ続くのであった……


 


 


 


 

 


 




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