表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

泣き骸

作者: 結字






そう…。

これは、儚く、泣き虫な、幼い少年の物語。




少年の1日は、いつも同じ事の繰り返し。

病弱で寝たきりの母親を支えるために、彼は毎日、村の農作業を手伝い、そのお金で生計をたてていた。


もちろん、毎日大変な思いをした。

優しい母親の笑顔と温もりが、少年にはなによりも大切だった。 世界でたった一人の大切な存在。


母親もまた、一生懸命、自分の為に頑張っている息子の姿に何度も涙し、そして何度も抱きしめた。


『苦労ばかりかけて、ゴメンね。』


母親の口癖だった。


父親は居ない。

少年が産まれて間もなく、母親と少年を残し、亜人種との争いに駆り出されて行ったのだ。

それ以来、父親の消息は不明だ。



この世界は、亜人種。 つまり《人間種》の他に《ドワーフ》《獣人族》《海人族》などの種族が生活している。


全ての種族は皆仲良く…そんな、素敵な話は無い。どの種族も、互いの領地を奪い合う為に毎日、争うことをやめない。


今日も何処かで、沢山の命が奪われ、何処かの国は優雅に勝利を祝っている。


少年は今日も村の農作業をしながら願う。


『どうか、こんな争いが終わりますように。』


しかし、そんな少年の願いとは裏腹に、争いの火種はどんどんと拡大していくのだった。



ある日、少年はいつも通りに仕事に出かけた。

いつもの時間、いつもの場所へ。


しかし、いつもの場所に他の村人の姿は無く、辺りを探しても姿が見えない。


少年は気付く。

遠くから聞こえる、村の人々の悲鳴が。


亜人種が、この村にまで攻めて来ていたのだ。こんな、辺境な山奥の村に。


既に、人間種の全ての人々は気付いていた。


我々、人間種に…【勝ち目など無い戦いだった】と。


村のあちこちから、火の手が上がっていく。それをただ、呆然と眺める少年。

そして、少年の脳裏には微かな絶望が過った。

家に一人、寝たきりで居る、少年のかけがえのない、大切な母親の存在に。



『お母様!!』



少年は走った。

何度も足がもつれ、転びながらも必死で。

何度も転んだからだろう、足の怪我からは血が出ていた。


少年の瞳から、涙がこぼれ落ちる。

しかし、その涙は足の痛みからではない。


たった一人。この世に自分を産んでくれた、優しく温かな母親の身を案じて…。




…………………


…………………


…………………


…………………




少年は、我が家の前で、ただ呆然と立ち尽くしていた。

涙はもう既に枯れている。

開け放たれていた扉の向こう。

母親がいつも寝ていた場所。



その場所には……

……無残な姿の母親の亡骸が転がっていた。



少年は叫んだ。声が枯れるまで。

そして全てを憎んだ。何度も地面を殴りながら。

その手は、もうボロボロになっていることにも気付かずに。



村の方から数人の足音が聞こえる。

しかし、少年の耳には、そんな音すら聞こえない。


そして、その足音が目の前で止まる。

泣き崩れる少年の、命の灯火を断ち切ろうとする音。


少年はふと顔を上げる。その顔は、涙や自分の拳の血で汚れていた。


そして、泣き虫な少年からは、想像もつかない様な恐ろしい笑顔でこう言った。



————全て壊してやる。








初の、短編小説を書かせて頂きました。


ほとんど思いつきで書いたので、内容はごちゃごちゃしてるかと思いますが、もし良ければ読んで頂けると嬉しいです!


中途半端で終わっていますが、その後の少年の未来がどうなったかは、見て頂いた皆様の想像にお任せ致します!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ