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Mutiger Mann戦記  作者: Arzt
6/7

公爵

公爵とは長い付き合いになる。

もう十年以上だ。この国のトップのはずが、よく酒を嗜む奴だ。俺とも気が合う。

酒の肴は、俺の旅の話のことが多い。

「・・・召喚状とは。なぜ、そのようなものを送ってきた」

いつものように公爵―レーゲド公爵の部屋に通された俺は、いつものように公爵と向かい合って座った。

「早急に話が聞きたいからだ、ポー」

「話、とは?」

雰囲気は、いつものように軽くない。

「テル、はどうした?」

「テルとはジべレドで別れた」

「なぜ?」

「止まっていた宿で爆発事件が起きて、その時にテルが飛び出した。詳しくは分からない」

「その爆発事件、テルが関わっているのか?」

「・・・まさか、あいつはそんなバカじゃない」

「・・・これを見てくれ。昨日、王国内で発刊された新聞だ」

その新聞の一面を指して、公爵は唸った。

そこには、先日のジべレドの爆発事件が載っている。読むと、その犯人として、

「ハハ、テルが犯人?バカな」

俺たち色々な意味で有名だ。

「本当だろうな。信じるぞ、ポー」

「レーゲド」

俺は公爵の目を見た。

「あいつがなぜこんなバカなことをする?暗殺?あいつなら消されたことも分からないように殺せる。知ってるだろう?」

「知ってるが・・・」

「確かにあいつは、殺し屋だ。現役の殺し屋だ。平気で、顔色を変えず人を殺せる。でも、無駄な殺生は好まない。あいつはそんな奴だ」

公爵が一口、酒を飲む。俺にも勧めてくる。

俺も一口だけ飲む。

「だから、あんたもこれをあいつに渡したのだろう?」

俺は懐から木札を出した。

公国正規軍所属将軍証。有事の際には、公国の軍隊を率いて戦う義務がある。

公爵も同じ木札を取り出した。

テルも同じ物を持っている。俺とテルの唯一の、自分を証明する物だ。

「同志だろう。疑うっていうなら・・・。こっちにも考えがあるぞ」

「・・・悪かった。疑ってはない。ただ、少し気になって」

しかし、その顔には疲労の色が広がっている。

何か、心当たりがあるのだろう。政治的な駆け引きが。

その時

コンコン

「後に「どうぞ~」・・・おい、ポー」

「あ、あの。失礼します」

メイドが一人、おずおずと入ってきた。公爵にぺこりとお辞儀をして

「ポー様。学校のほうから、すぐ戻ってきてく欲しいというご連絡がありました」

「・・・分かった」

俺はテーブルの自分のグラスの酒を飲み干した。

「れーげる。テルの心配はいらない。犯人じゃないよ、あいつは」

「そうだな。早く行け」

「じゃ」

俺は公爵に手を振ると、部屋を後にした。


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