ジべドルの町
旧王朝の領土は大まかに3つの国が分けているが、実は、国境は接していない。
不法地帯がある。
権力と、武力がある奴だけが生きている世界が存在する。
その中に豊かな鉱山を有した一つの町がある。ジべドル。
もう一つ豊かな自然と家畜を有する町がある。トレイド。
ジべトルは熟練鍛冶技術者連合による
トレイドは農家相互扶助組合による自治が一応、ある。
中立都市と公国の間にあるジべドルについたのは中立都市を出て3日目のことだ。
門も柵も無く、気が付くと、町に入っていた。そんな町だが、一角だけ雰囲気が違う。
門と強固な柵、厳重な門番と見張りのいる一角は、明らかに違う。
この町の心臓部である工房区だ。
門番に近づく。
「おい!何者だ!」
剣と槍を向けられるも、ここでは当然だろう。ここを潰されると、3大国の力の均衡にも影響があるといわれている。
「公国のポーだ」「同じく、公国のテル」
二人でそろって木札を見せる。門番が模様をふれる。
「良かろう、通れ」
「どうも」「ありがと~」
入って、大通りを歩く。
目指しているのは、一軒の鍛冶屋だ。
見た目は倒産寸前に見える。しかし、隠れた名工だ。いつもお世話になっている。
「爺さん、生きてるか?」
「・・・死んでたらどうするんじゃ、坊主」
カウンターの奥から一人の老人が現れた。
「お久しぶりです。甲さん、お元気そうですね」
「おい、坊主。もちっとテルみたいな口調はできんのか」
「無理だ」
俺はカウンターに自分の剣を置く。
「手入れしてくれ、調子が悪い」
しかし、甲は剣を一瞥すると
「・・・自分でしろ、坊主」
と奥に引っ込んだ。
「おい、じじい」
「ちょっと、待っとれ」
テルは何やらニヤニヤしている。
「なんだ」
「いや~なんでも~」
「ほれ、坊主」
甲は奥から一本の剣を持ってきた。かなり大きい。
「・・・俺、にか?」
「違う。・・・学園に持っていてくれ」
「分かった」
たまに、こういった頼まれごとをされる。
町の市場でいるものをそろえる。
ここから公国まで、1週間はかかる。
危険も多い。
「おい、テル。火薬、いるか?」
「うん・・・。少し欲しいね。頼めるかな?」
「任せろ。おまえは?」
「少し、師匠に会ってくる。お土産、いるかな?」
「知らん。自分で買え」
「ハハ、分かった。じゃ、また、いつもの宿で」
「おう」
そういって、テルは、人ごみに消えた。すぐにどこにいるのか分からなくなる。
あいつの特技の一つだ、これは。
まだまだ、続きま~す。
一話をだいたい、950~1000文字で投稿しています。