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Mutiger Mann戦記  作者: Arzt
2/7

旅立ち

「やあ、ポー」

アバーレの居酒屋で飲んでいた俺にがたいの良い男が声をかける。

「なんだ…テルか」

「なんだ、とはなんだい」

勝手に向かいの席に座り、勝手に俺のボトルから酒を飲む。

「勝手に飲むな、バカ」

「で、どうなんだい」

「何が?」

「南のほうは」

「・・・相変わらずドロドロしてる」

「そうか・・・」

黙って、テルは酒を二人のグラスに次ぐ。

「そっちは?」

「公国内は、まだ落ち着いているよ」

「姫は?」

「相変わらず、祈ってらっしゃるよ」

「・・・そうか。俺は、明日の朝に北にここを立つが、どうする?」

「行くよ。そろそろ、宮殿でゆっくりしたいね~」

「仕事をしろ、バカ。・・・じゃあ、明日の朝に北門で」

「了解。おやすみ、ポー」

「おやすみ、テル」


朝早く、日の出とともに俺は北門についた。

「遅いぞ、テル」

「朝ごはんと昼食を買ったんだよ。市場ってすごいね、いろいろあるから。」

「無駄口は叩くな。行くぞ」

「はーい、先生」

ふざけるテルを無視して、俺たちは北門から北に向かって進む。

このご時世の中で、中立都市は唯一の絶対安全圏内だが、一歩、外の出ると話は変わる。

いつ殺されても文句は言えない。そういう世界が待っている。

だからこそ、俺たち二人とも武器を持っている。

「そうだ、船でソウクと会ったぞ。相変わらずの装備だったがな・・・」

「あの金ぴか装備は何年も変わらないね、彼は」

「まあな」

「それで、」

「シッ」

手でテルの口を制する。気配が、空気が変わった。

「・・・囲まれてる・・・かな?」

「・・・やるか?」

そっと、腰の剣に手を伸ばす。テルも暗器を構えようして

ヒュン! ドスッ

足元に矢が降ってきた。

「動くな!投降しろ!命は助けてやる!」

ガサガサと林から出てきたのは、盗賊か、山賊のたぐいだ。取り囲まれている。

「剣から手を放せ!早くしろ!殺すぞ!」

「・・・お前らな、俺が誰か知って「うるさい!黙っ」

トサ。

今まで喚いていた口と頭が胴から離れた。俺はそいつの背中を見ていた。

「!!お、お前ら!」

「・・・俺が誰か知っているのか?」

俺は左手で懐から木札を出した。模様を見せる。

「続けるか?ちなみに連れも同じだぞ」

「・・・て、撤収!」

一人の号令で、賊は一斉に逃げていった。素人だろうが、バカではない。

剣をしまい、テルが近づいてきた。

「お疲れさま、ポー」

「急ごう」

俺らは、足を速めた。


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