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神亡き世界の破壊論 ~全盛期の力を失った男が、再び世界を蹂躙するまで~  作者: KEN.AAA


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第3話『飼い主の責任と、破壊の論理(ロジック)』(修正)

ちょっと頑張りました

今日の22時も投稿はするので、ぜひ続き読んでください


「傲慢な破壊神」と「苦労人の聖女」が、腐った世界をぶっ壊して救う話です。

面白いと思ったらブックマーク、評価をいただけると励みになります!

王都の大聖堂にある貴賓用食堂。


 普段は高位の聖職者しか立ち入れないその広間に、今は異様な緊張感が漂っていた。


 カチャ、カチャ、と食器の触れ合う音だけが響く。


 部屋の隅には、青ざめた顔の司教と、剣の柄に手をかけたまま脂汗を流す騎士団が二十名ほど。

 

 彼らは一様に、テーブルの中央に陣取る「ある男」を凝視していた。


「……不味い(まず)


 破壊神マーク・フェルトノートは、出されたスープをひと匙すすると、不機嫌そうに銀のスプーンを投げ捨てた。


「おい、リシア。これが今の時代の『最高級』なのか? 泥水の間違いじゃねぇのか?」


「ひっ……! 申、申し訳ありませんマーク様! ですが、今は食料事情がどこも厳しくて……これでも精一杯の……」


 リシアはマークの隣で小さくなりながら、給仕のようにパンを差し出した。


 周囲からは「聖女様になんてことを……」という憤りの声が漏れるが、マークの圧倒的な威圧感の前に誰も動けない。


 マークは硬いパンを無造作にかじり、ふん、と鼻を鳴らした。


「なるほどな。土が死んでやがる」


「え?」


「穀物の味がしねぇ。大地の魔力が枯渇してる証拠だ。6000年前は、そこらの農民でももっとマシなもんを食ってたぞ」


 マークはワインを煽り、リシアの方を見ずに続けた。


「……で? 状況を話せ。

 俺を封印したあの『七大天使』どもは、俺を土に埋めて世界を救ったんじゃなかったのか?

 その結果が、この泥水スープと、魔物だらけの荒野か?」


 その言葉には、嘲笑の中に鋭い知性が光っていた。


 リシアは意を決し、震える声で答える。


「……神話の通り、七大天使様たちはあなたを封印し、天界へと去られました。それから数千年は平和だったと聞いています。ですが……」


「ですが?」


「ここ数百年、天使様たちからの神託が途絶えました。それと同時に、地上から『恩恵(マナ)』が消え始め、魔物が湧き出したのです。私たちは祈りました。悔い改め、寄付をし、清貧を貫きました。でも……」


 リシアは唇を噛み締め、俯いた。


「祈りは届きませんでした。世界はただ、腐っていくだけです」


 その悲痛な告白を聞いた司教が、たまらず声を荒らげる。


「リシア! 貴様、異教の悪魔に教会の内情を語るとは……!」


「黙ってろジジイ」


 マークがギロリと司教を睨むと、それだけで老人はヒウッ、と喉を鳴らして黙り込んだ。


 マークはワイングラスを回しながら、自嘲気味に笑った。


「傑作だな。

 『秩序』だの『管理』だのを(うた)って俺を追放した連中が、結局は放棄かよ」


「……放棄、ですか?」


「ああ。いいか、所有物(リシア)よく聞け」


 マークは立ち上がり、リシアの目の前まで歩み寄った。


 その深紅の瞳が、リシアの瞳を射抜く。


「創造ってのはな、破壊の上にしか成り立たねぇんだよ」


「……え?」


「腐った家を直したところで、土台が腐ってりゃまた傾く。

 本当にいい家を建てたけりゃ、一度更地にしなきゃならねぇ。

 俺は6000年前、腐りかけたこの世界のシステムを一度『破壊(リセット)』しようとした。だが、あいつらはそれを『悪』と呼んで俺を封印し、腐った土台の上に無理やり継ぎ接ぎの平和を作った」


 マークは窓の外、鉛色の空を指差した。


「そのツケが今、回ってきてるだけだ。

 この世界はもう寿命なんだよ。神に見捨てられたんじゃねぇ。神が『維持』に失敗したんだ」


 リシアは息を呑んだ。


 それは教会が決して認めない、けれど誰もが薄々感じていた真実――『破壊論(デストロイ・ロジック)』だった。


「じゃあ……もう、終わりなんですか? 私たちは、ただ滅びるのを待つしか……」


「馬鹿かテメェは」


 マークはリシアの額を、デコピンで弾いた。


「痛っ! な、何するんですか!」


「俺が何のために目覚めたと思ってんだ。


 俺は破壊神だぞ? 腐った世界なら、俺が美味しく頂いてやる」


 マークはニヤリと、凶悪な笑みを浮かべた。


「気に入らねぇ神も、天使も、魔物も、全部ぶっ壊す。

 更地になった世界に、テメェが好きなもんを建てればいい」


「え……?」


「俺の所有物(モノ)が、薄汚い世界で泣いてるのは目障りだからな。

 綺麗な遊び場を作ってやるよ。

 ……それが、俺の封印を解いた『リシア、お前』への褒美だ」


「マーク様……」


 それは傲慢極まりない理屈だった。


 自分をモノ扱いし、世界を遊び場と言い放つ悪魔の言葉。


 けれど、どの神の言葉よりも、今のリシアには力強く、そして優しく響いた。


 その時だった。


 ズズズズズ……ッ!


 食堂のシャンデリアが激しく揺れた。


 いや、建物全体が軋み、悲鳴を上げている。


 遠くから、腹の底に響くような爆発音が聞こえてきた。


「な、なんだ!? 地震か!?」


「違う! 敵襲だ! 結界が破られたぞ!」


 騎士たちが慌てふためく中、マークだけは悠然とワインを飲み干し、窓辺へと歩み寄った。


 その視線の先。


 王都の上空に、数千の光の矢が展開されていた。


 そしてその中心に、巨大な「眼球」のような形をした、無機質な天使の尖兵が浮遊している。


 あれは、ただの魔物ではない。


 明確な意志を持って、この場所を――『破壊神』を消しに来た、天界からの粛清者だ。


「おいおい、随分と耳が早いじゃねぇか。


 飯のデザートにしちゃ、少々重そうだがな」


 マークは窓枠に足をかけ、風になびく黒衣を押さえながら、その「敵」を見据えて目を細めた。


 口元には、獲物を見つけた猛獣の笑み。


「……あそこか」


 6000年ぶりの喧嘩相手を見定め、破壊神が低く唸った。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


面白い、続きが気になる!と思ったら、下の「★★★★★」から評価をお願いします!


出来る限り※毎日22時には更新予定です。

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