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今日はパパを早退します!

作者: enishi

 桑田シローはIT系サラリーマンで35歳。妻、こずえと5歳の息子タロウの3人暮らし。庭付き一戸建て。

 シローは10代まではゲームが好きでよくやっていたが、社会人になり

 結婚もして子供もできて忙しくなりここ最近までは全然ゲームはしていなかった。

 1日の始まりは子供を保育園まで送り、そのまま会社へ出勤して、夕方に家に帰ると家族とご飯を食べて。子供の世話をして、寝るという生活サイクル。


 最近趣味がないなと感じていたところ、会社の後輩にオンラインゲームに誘われたシロー。


 自宅のパソコンでとあるファンタジーMMORPGをダウンロードして軽い気持ちで始めてみた。MMORPGとは多人数のプレイヤーたちと協力して、大勢の敵モンスターたちと戦うことができるゲーム。

 このゲームは基本無料なのも始めやすい。ゲームは若いころは据え置き型の買い切りゲームを遊んでいたが、オンラインゲームというものはシローも初めての経験である。


 めちゃイケメンの剣士アバターを作りログインすると大きな町に着いた。

 そこには沢山のプレイヤーたちが行きかっている。


「すげーな!これ全員が別々のプレイヤーなのか?」


 パソコンの画面に映る数百人はいるであろうアバターたち。そのどれもがプレイヤーである。

 オンラインゲームの面白さの1つにほかのプレイヤーとのやり取りもある。

 普通のゲームは登場キャラクターや街の住民などもあらかじめプログラミングされているため、ストーリーが進まない限り何回話しかけても同じセリフしか返ってこない。オンラインゲームの場合はアバターを操るのが生身の人間なので次の行動が予測できない面白さがある。


 部下の佐藤からはまずはギルドという集団に入ることを勧められていた。

「どこのギルドでもいいかな?」とも思い街の大きな広場に行ってみると

 そこには


 社会人ギルド、ママさんギルド、まったり誰でもギルド、Vtuber配信ありギルドなどたくさんのギルドがメンバーを募集していた。

 よくわからないので「誰でも」と看板に書いてあるアイシスギルドという名前のギルドへ入る。

 アイシスギルド、「愛しすぎる」駄洒落かな?。


 ネココローネというギルドのリーダーが初心者のシローにいろんなことを教えてくれた。低レベル帯のお勧めのダンジョンや金策方法、ネット空間でのエチケットまですごく親切なリーダーである。ちなみにこのネココローネのネトゲ歴は10年以上でこのゲームへの課金額はすごいことになっているらしい。


「とりあえずギルドチャットでメンバーに挨拶してみましょうか?」


 ネココローネがそう言うとチャットのやり方を教えてくれた。ギルドチャットとはギルドメンバーだけでチャットができるシステムである。

「こんばんは~」とギルドチャットに打ってみたシロー。


「初めまして!よろしく~」「こんこん~」「こんばんちゃあ!」


 などなどすぐにチャット欄にギルドメンバーからの返事が来た。少しワクワクしてきたシロー。それから気づいたら2時間ほどゲームをしていた。



 隣の部屋から妻のこずえが声をかける。


「パパ、もう遅いからその辺にしたら?」


「ああ、ごめん!そうするよ」


 シローは会社からの帰宅後は、3人で夕食をとり、風呂へ入り、子供を寝かしつけて、午後の10時ごろから正午0時までの2時間ほどしかゲームをやる時間がないのだ。まだまだゲームをしていたいけれど、この日は寝床に入る。


 オンラインゲームを始めて1か月が過ぎたが、シローは毎日ログインするようになっていた。すっかりとはまっている。


 この日はママのお使いで夕飯の材料を買い出しに息子のタロウを連れて車でスーパーに来ていた。

 そこでシローはあるものを見つけてしまう。ある企業のメロンソーダがシローがハマっているオンラインゲームとコラボを開始していたのだ。

 コラボをしているメロンソーダのペットボトル1本買うごとに1回、ゲーム内でくじが引けるという仕組みである。

 ゲーム会社も消費者心理をうまいこと突いてくるものだ。こういう企業にとってシローはよい鴨である。


 その商品を目の前にしてかなり迷っていたシロー。ここは買うべきか?

 買うまいか?う~ん悩ましい。しばらくの誘惑との闘い。

 だが、30本ほどそのメロンソーダを買い物かごに入れて大人買いしてしまった。ジュースなんて単価が安いし小遣いの範囲内だしいいよね?

 そう心の中で言い訳をしてみる。


 タロウには今日だけおやつのお菓子を2つ買ってやった。

「ママには内緒だぞ?」


「???」パパの言葉の意図が解らず、つぶらな瞳で不思議そうな顔をするタロウ。


 しかし案の定、帰宅後ママにはすぐにばれた。メロンソーダがたくさん入ったレジ袋は目立つのだ。隠し通せるはずもない。


「チョット、なにこれパパ?こんなにたくさんジュースばっかり買ってどうするのよ?」


「あ・・・、ごめん!今ハマってるゲームがコラボしてるんだ。1本につき1回くじが引けるから買っちゃったんだよ。ちゃんと全部飲むから。ママ、許して?」


「パパはほんとに、もう!」


 2人の両親のやり取りを見てタロウはくすくすと笑っている。


 くじの結果は30本中5本が当たり、ゲーム内でアイテムがもらえた。

 後の25本ははずれである。


 オンラインゲームを始めてから3か月が過ぎたある金曜日のお昼の12時。

 シローは有休を使って会社を半日で早退することにした。日ごろの疲れを癒して羽を伸ばすためである。(建前は)

 しかしこんなに早く自宅へは帰れないので、ママには内緒でネットカフェへいく。いつもの帰宅時間の夕6時ごろまではまだたっぷりと時間はある。


 ネットカフェの個室に入るとまずは腹ごしらえときて、フロントにお昼ご飯を注文する。大盛りピリ辛ピラフにポテトフライ、フライドチキンを頼む。

 金曜日の昼間からこんなに贅沢をしていいのだろうか?でも至福の時間である。ランチの後にハマっているオンラインゲーム三昧。今日は季節イベントをがっつりと遊ぶか?。


「ああ、この幸福感はなんだろうな?」


 と独り言を言い大きく伸びをしてドカッと部屋の座り心地の良いゲーミングチェアに深く座る。しばらくして個室へ先ほど注文したお昼御飯が運ばれてくる。王様気分である。


 豪華なランチを堪能した後はがっつりとオンラインゲームのイベントクエストなどを満喫したシロー。そのあとは1時間ほど部屋でぐーぐーと昼寝をした。


「ヤバい!この生活は癖になりそう。こんなことがママにばれたら笑って済ませてはくれないかな?でもたまにはいいよね?」


 まだまだシローのネトゲ満喫ライフは続きそうである。

オンラインゲームはハマる人はドハマりしてしまう、魅力(魔力?)があります。


自分のネットゲームの体験談をもとにしてユーモアを交えて社会人パパの姿を描きました。


ここまでお付き合いいただきありがとうございました!


是非ともリアクションなどよろしくお願いいたします。

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拝読しました。 オンラインゲーム、やり出したら止まらないの分かります!
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