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星にふられる夜に
幼少期は自分が特別な存在だと思っていた。
誰しもが一度はそう思ったことがある程度のレベルで
そう思っていた。
人は誰もが死を迎えると聞いたときは
布団の中で泣き続けたことを今でも思い出す。
なんて考えながら例のごとくコンビニから自宅までを
歩いていると、見慣れた顔が歩いてくる。
「あれ?坂田久しぶりだな!高校はどうだ?」
今目の前にいるのは中学の同級生で同じクラスに一度なったこともある
大杉という男の子。
「ああ。まあ普通だよ。大杉はどうなんだ?」
面倒だと思いながらも社交辞令で聞き返す。
「俺も普通だなあ。高校生になったらなんだか
大人になれる気がしたけど、実感ないよ」
笑いながら話す大杉に大人びたオーラを感じた。
得も知れれぬ背徳感を感じながら、早々に話を切り上げることに。
「それじゃまた」
「またな」
二人が他愛もない話を終えて別れたあと
「坂田か、、、名前思い出せて良かった。
名前が瞬時には出てこなくて焦った」
大杉の誰にも聞かれぬ独り言が路地に漏れた。