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第82話 ありがたや

誤字報告ありがとうございますm(__)m

お世話になってます


感想・ブクマ・評価もとても嬉しいです

これからもどうぞよろしくですm(__)m


 一体、何が悪かったんだろう?


 1.ダンジョン産の種を使った事

 2.土魔法で耕した事

 3.水魔法で散水した事


 思い浮かぶのはまずこの三つ。


 あ、あと「元気に大きく育って。芽が出るのを待ってる」と願った事。これ等だったら改善の余地がある。それ以外で考えたくない可能性として、私が”ナートゥーラの申し子”とエムダさんに言われるほどに自然の力が強いせいで……いやいや、それはどうだろう。

 考えても答えが出ない事で頭がいっぱいになってしまって疲れてしまった。


 検証して答えを出すしかないか。さもなくば諦めるか。私が畑に手を出したのがそもそもの間違いだったんだよ。……疲れているせいかネガティブになってるなぁ。でもさー、ヤミィダンジョンに行かずに済むし、育てる喜びも味わえるしの一石二鳥だと思った畑仕事がこういう結末になったらめげるもん。非常識な事をやらかしちゃうくらいなら、大人しく諦めるという選択肢も……


 あ、イイコト思いついた!


 ――これ、全部刈ってしまえば証拠隠滅じゃない?あっという間に育つことが非常識でも、それをさくっと刈り取ってインベントリに収納しちゃえば誰にも知られずに済む。その上、必要な薬草を必要な時に超高速で調達できる!


 おー、私、賢い。これで怒られずに済む。そう思ってトーキとクミタ草とアカヤジオウを収穫している間にエドさんが帰ってきてバレた。育てるのと違って、収穫は一瞬では出来ずに手作業だったのが災いした。葉を取るものも根を必要とするものもあるからね。

 収穫の為の魔法を考えるか。


 「お前はっ何をっやってるんだっ!」


 エドさんに説教されているところに帰ってきてくれたサジさんは救世主!


 「甘やかしてちゃコイツの為にならねーだろうが!」

 「なに言ってるの。ホリィちゃんにしてみたら、やってみないと分からない事だらけなのよ?普通の人だって実際にやってみて、それで初めて分かる事だっていっぱいあるじゃない」


 フォローありがとう、サジさん。でも、それ、私を普通じゃないって言ってるよね。


 「この家の裏の畑ならいいんじゃない?」

 「……ですかね?あのー、やっぱり種を植えてすぐに芽が出て収穫できる状態までがあっという間って言うのは、やっぱり普通じゃないんですよね?ダンジョン産の種だからかなーなんて」

 一縷の望みを持って聞いてみる。エドさんの説教が降ってきた時点であり得ないとは分かっちゃいるけど。


 「――残念ながらそれはないわね」

 やっぱり。


 「とにかく、人目に付くところではやるなよ!?こんなのがバレたら、ソッコーで囲い込まれるか攫われるかするかんな!」

 「そうね、どちらにしても死ぬほどに働かされるわね」

 「食糧問題がある国なんかは喉から手が出るほどお前が欲しいだろうな」

 「この国はここ暫く天災もないし、日照りも大雨もないから食料不足と言う訳ではないけれど、それでもこの力は便利過ぎるものねぇ」


 確かに。私は単純に必要な時にすぐに薬草が作れるじゃないか!と思っただけだけれど、種を植えればあっという間に収穫可能なまでに育てられる力とくれば、食糧事情に難がある国や地域にとっては何よりも欲しいものだろう。

 しかも、私はMPが無尽蔵と言っていいほどに魔法を使えてしまうのだ。


 朝から夕方まで――ひょっとしたら陽が無い時間帯でも野菜や穀物、果物を育てる生活。

 ……いやーっ。嫌すぎるっ。さーっと血の気が引いた気がする。


 「ぜ……絶対にばれないように気を付けます!」

 力いっぱい宣言する。


 「……理解してくれたようでよかったよ」

 「気を付けましょうね?」


 エドさんとサジさんがいてくれて良かった。この二人無しでは私のオルダ生活はトラブルの連続だった。ありがたや、ありがたや。


 「どうした?」


 心の中で拝んだつもりが体の方もつられてしまって、気が付いたら両手を合わせて頭を下げてしまっていた。


 「あー、いえ、私がオルダで一般人の生活を出来ているのはお二人のおかげだなぁと、そう思ったらつい」

 偉い人に囲われるとか、教会に縛られるとか、悪い人に攫われるとか、そんな不本意な人生を歩まずに済んでいるのは、本当にエドさんとサジさんのおかげだ。


 「ふふっ。ホリィちゃんは一般人のつもりなのよねぇ」

 つもりも何も一般人ですから。


 「いきなり感謝とか……お前、まだ言っていないやらかしがあんだろ?」

 「エドさん酷いっ。純粋な気持ちで感謝をささげた私に何たる暴言!」

 ……あ、あれ?エドさんを責めてしまったところだけど、そういえば。


 「何かあるよな?」

 表情を読まれた!いや、多分あからさまに”しまった”といった顔をしてしまったんだろう。


 「ホリィちゃん?」

 「ホリィ?」


 二人の圧が凄い。自分でもすっかり忘れていたけど、もう一つ問題があったのだった。


 「あのー、等級Sの種を使ったんですけどね?」

 「おう」

 「それで?」


 「育ちあがったら、何故か等級がSSになってまして……ははは」

 「はははって、ホリィちゃん……」

 「――それで調薬したら等級はどうなる?」


 さあ?まだ使ってませんからねぇ。

 うん、多分、SSクラスの薬になっちゃうんじゃないかな?



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2020/08/22 短編の異世界恋愛もの「スライムの恩返し」を投稿しました 宜しかったらこちらも是非
― 新着の感想 ―
[一言] あんまり怒んないであげてーお兄さん達ー 人里離れた平原に1人、庭付き1戸建てで住んでる場合なら、誰にも咎められずにのんびり生きられるのにねえ…。 お金貯まったらあちこち旅にも出て欲しい…
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