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第65話 サンストーン国へ行こう 3

感想や誤字報告ありがとうございますm(__)m

ブクマ・評価も大変励みになっております

 「とりあえず小言は置いておきますわ。出発まで時間もそれほどないでしょうし。ホリィ、お薬を私に下さいませな」


 とりあえず置いておくのか、小言。あとでまた説教があるんだろうか。それは嫌だなぁと思いつつ、リズ様に二本の薬瓶を渡した。


 「バイコーンは少々気難しいのですわ。私から御者にこれを渡して、ベルに飲ませるよう指示致します」

 リズ様も近寄れないのかな?だとするとスキルの【忠誠】は誰に捧げられているんだろう?

 私はその場から動かずにリズ様が御者さんに薬瓶を渡すのを見ていた。御者さんはリズ様にベルちゃんの不調を聞かされたのだろう、驚いた顔をしてリズ様とベルちゃんと薬瓶とを交互に見てから頷いた。


 ベルちゃんの水桶に薬を入れる御者さんを見ながら、どうか魔獣にもヒール・ウォーターが効きますようにと祈る。ヨルにかけたときは効果が無かったけれど、あれは怪我ではなかったので仕方ない。


 さっきもお水を飲んでいたから飲んでくれるかどうか心配だったけれど、ベルちゃんはゴクゴクと水を飲んでいる。


 『ホリィのお薬が美味しいからなのよー』


 ヒール・ウォーター=私の魔力=美味しい。


 すっかり忘れていたけれど、魔力ダダ漏れをどうにかしないといけないと思ってたんだ。駅馬車の馬も、この馬車のバイコーンも契約魔獣だからなのか私の魔力に見向きもしないと思ってたけど、ヒール・ウォーターと栄養剤入りの水を喜んで飲んでくれるという事は、彼らにとっても私の魔力は美味しいのか。

 バイコーンは肉食だと出ていたが、契約魔獣なので襲ってくることはあるまい。……ないよね?


 「ホリィ、どうかしら?」

 バイコーンが水を飲んだことを確認したリズ様が戻ってきて私に尋ねた。

 「リズ様も鑑定眼を持ってらっしゃいますよね?それも私より上のレベルの」


 私の鑑定眼では”風邪薬 等級S”としか見えなかった薬が、リズ様の眼では「重症化していなければ一服で症状全てが恢復する上級風邪薬」と看破されていたのだから。

 なのに、何故バイコーンの様子を私に聞くんだろう?


 「私の鑑定眼では魔獣の健康状態はわからなくてよ?いえ、魔獣に限らないわ。相手が人間であっても分かりませんもの。ホリィの見えるものと私の見えるものでは差があるようですわ。私は……そうですわね、言うなれば商売特化の鑑定眼ですわ。夫に嫁いでからの事ですが、商品に関することがより詳しく見えるようになりましたの」


 わーお、愛の力?愛の力ですね!?すごーい。旦那様の力になりたいという気持ちが、リズ様の鑑定眼の方向性を定めてランクアップしたんですね?きゃーっ。

 リズ様の旦那様、アズーロ商会の会頭さんにお目にかかりたい。リズ様の愛の力の源をじっくりと観察したい。


 「ホリィ、旦那様に会せるのは構いませんけれど、譲りませんことよ?」

 リズ様が釘をさすように言う。私、そんなにギラギラした目で欲求が滲み出ていましたか。


 「大丈夫ですよー。リズ様の愛の力の源をじっくりとっくりまったり観察したいなーって思っただけです。ああ、羨ましいですー。素敵です。出来ればリズ様と会頭さんの並んだところを拝見したいです。きっと、煌びやかで目に美味しいご夫婦なんでしょうねぇ……。想像するだけで悶えてしまいそうです」


 リズ様が押せ押せでゲットした旦那様かぁ。マージカレアさん似だったら美しい方なんだろうなー。


 「もう、ホリィったら……。いえ、今は私の旦那様の話は宜しいのです。ベルの様子はどう見えまして?」

 「あっ、そうですよね、今はベルちゃんの様子を見ないと」


 生まれて初めての恋バナにワクワクが止まらなくて暴走気味だったけど、先ずはベルちゃんのコズミだった。


 (鑑定)


 口に出さずにベルちゃんの鑑定をする。


 「大丈夫です、リズ様。炎症の表示が無くなりました。ベルちゃんに問題なしです」

 「よかったこと。ありがとう、ホリィ」

 「栄養剤のおかげかヒール・ポーションの効果か体力も全回復しています」


 「え……そうですの?ホリィ、いま、お薬の手持ちはどれだけありまして?今後、定期的に商会に卸していただくことは可能かしら?魔獣斡旋所や魔獣使い、ああ、国に属する魔術師が使役している魔獣や竜騎士団の竜たちへの効果を確認して……これは大きな商いになります事よ、ホリィ!魔獣以外にも馬でも効果があれば、乗合馬車組合に話を持っていかなくては。先ずは体力の回復が栄養剤の効果なのかヒール・ポーションの効果なのかを確認しないとなりませんわね……」


 「おーい、リズ、ストップ」


 リズさんの圧に負けてじりじりと足が下がっていた私を見かねて、エドさんが助け舟を出してくれた。


 「ホリィがドン引きしてんぞー。落ち着けや。この旅ではまず汎用薬が天魔熱に効くかどうかの確認だろ?あれもこれも手を出してちゃ、花も折らず実も取らずになっちまうだろーが」


 「ま、何を言っていますの。私がそんな愚か者だと思っていて、エディ?幾つ案件があろうとも同時進行で全て最上の成果を挙げてみせますわ」

 「ホリィにそりゃキツイっつーの。一度に一つ。ゆっくりとやらせてやれよ。金の卵を産むガチョウの腹を裂きたい訳じゃねーだろ?」


 オカン、助けてくれてありがとう。

 私とリズ様の間に立ってくれたエドさんの背中に感謝をする。


 今後リズ様とお話しするときは、是非エドさんに障壁になってもらいたい。一対一は怖すぎる。頭が良くて有能でスキル持ちで美人で、そりゃもう素晴らしい方だと思うけど、商機を見つけたリズ様の圧力に私は対抗できる気がしない。


 薬はそれ程手持ちが無いという事でリズ様には勘弁してもらった。

 これが一時しのぎであること、王都に戻ったら検証用に大量注文されるであろうことは予想が付いたけれど、とりあえず今が凌げればいいのだ。


 王都に戻るまでに忘れてくれないかなぁ……くれないよなぁ……。



読んで下さったあなたに感謝を

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2020/08/22 短編の異世界恋愛もの「スライムの恩返し」を投稿しました 宜しかったらこちらも是非
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