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第10話 はじめまして第二界

本日2度目の投稿です

目を開けるとそこには見慣れぬ天井が……無かった。

見えるのはうっそうと茂った木々とその隙間から覗く青い空。


田舎のおじいちゃんの家の裏山みたいだ。


周囲を見回すも人影も動物の姿もない。

一応、安全な場所に降ろしてくれたんだろうか。


って、そりゃそうか。

第四界の人が言うには、移住者はすぐには第二界(オルダ)に定着しない。定着する前に死んだらここの輪廻に入れない。

そんな事になったら、他界から人を連れてくる意味がない。


あ、オルダというのは貰った一般常識で知った、第二界の人々がこの世界を呼ぶときの名だ。

管理者さんが第四界と呼んでいた世界を私たちが地球と呼ぶように。



柔らかな下萌えに体を預け力を抜いてみた。

呼吸が楽なことに驚いた。向こうの世界で息苦しいなんて思ったことはないのに、この何処かも分からず先行きも見えないこの世界での息のしやすさは何なんだろう。


このまま召されてもいいくらいに気持ちいい。

これが、私がこの界にいた証なのだろうか。


目をつむって自然に体を委ねていたら、不意に足に何か触れるものを感じて思わず声を上げてしまった。


「うぎゃっ」


だ…誰も聞いちゃいないけど、15歳女子としてあり得ない叫び声だ。

きゃっとか言えるようにしておいたほうがいいかな、いや、とっさに出る声を練習とかむりか。


起き上がってみると、足首に黒い蛇が巻き付いている。長さ20cmくらいの小さな子だ。


「お……おおぅ。生き物がっ自分からっ私のところにっ!!」

第二界(オルダ)バンザーイ! なんてすばらしい世界だ!

ありがとう神様、ありがとう管理者さん。ありがとーっ。

両手を空に向かって上げ、心の中で感謝を伝える。


神様がいるかどうか知らないけど。ついでに管理者さんが上空にいるかどうかも知らないけど。



「こんにちは、蛇さん。初めまして」

蛇に向かって手を伸ばすと、二股に分かれた赤い舌をチロチロと出し入れしながら手のひらに載ってきた。

かーわーいいー。

第二界(オルダ)の蛇ってこんなに懐っこいの? 生き物全般?


――あれ? ひょっとして、これってフラグだったりしないよね?


「蛇さん、あなた本当にただの蛇さん? 神様とか御使いとか精霊とか妖精とか超絶美形に変身するとか、そんなとんでもない子じゃないよね?」


特に反応はない。本当にただの蛇だよね? うん。


「錬金薬師とはいえ、薬師を選んだ私のところに蛇さんがやってきてくれるなんて瑞兆だねっ」

ギリシャ神話にあったクスシヘビの巻き付いた杖の話を思い出す。


なんだか、幸先がよさそうな気がして嬉しい。


「あなたが第二界(オルダ)に降りて初めて出会った生き物で嬉しいよ、蛇さん」

手の平に乗っている蛇を人差し指で撫でてから降ろす。


「さて、先ずは現状把握と持ち物確認」


着ている物は白いブラウスにミモレ丈の濃紺のスカート。その上に薄いピンクのエプロンドレス。

靴は踝まで覆う茶色い革のブーツ。

肌は白く、髪色は黒。これは元の色と変わらないようだ。


持ち物――なし。

あれ? 身分証明書とお金と当座の食料をくれるんじゃなかったっけ?


あ、アイテムボックスの中か。


「アイテムボックス」


唱えてても何も起こらない。


どういうことだ。なにか呪文が必要なのか、魔力の関係か。

ここが何処かも分からない、一人きりで森の中。荷物も無しでどうしろと。


ごめんなさい。

自分の無力さを顧みずにギフト要らないって言ったことは謝るんで、アイテムボックス使わせて下さい。


とりあえず土下座してみた。


が、変わらない。そりゃそうだ。


人は飲まず食わずなら死ぬ。当たり前だ。

こういう時はアレか。ラノベばりに水場と食べられる物を探しに行くべきか。


幸い「鑑定眼」を貰えたようだし、食用かどうかくらいは分かるだろう、多分。

貰えたよね? アイテムボックスの二の舞じゃないよね?


と、いうことで取りあえず

「鑑定」

してみることにした。


対象は先ほど地面に降ろしたにもかかわらず私の傍にいる蛇だ。


―黒曜蛇―

年齢 : 1

性別 : 雌

LV : 4

HP : 30/35

MP : 1025/1100

花の蜜や果実を好む

食用に非ず

―――――


えむぴー……魔獣ってこと?

貰ったばかりの第二界(オルダ)常識では、動物と魔獣の違いは魔力があるかどうかだ。

魔獣は攻撃的でテリトリー内に足を踏み入れずとも探知して襲ってくるんじゃなかったんかい。


じっと見つめる私にまたすり寄ってきた、人懐こい蛇を見て思う。


で、()()()()()の表記ってどうなんだろう。

私が「鑑定眼」で食用かどうかわかるかなーと思ったのは確かだけど、この子を食べようなんて思ってなかったよ。

第一発見の第二界(オルダ)生物だもん。私に初めて懐いてくれた生き物だもん。


――まぁ、この子の事は置いておく。

鑑定眼で食用かどうか判断できることが分かったのが有難いのだ。


あ、ついでに自分も鑑定できるかどうかチャレンジしてみよう。

ステータスチェックは基本だよね、基本。


何の基本だかよくわからないけど。


「鑑定」


― 堀ゆうき (名前変更推奨)―

人間

年齢 : 15

性別 : 女

職業 : 錬金薬師(予定)

Lv : 1

HP : 5000/5000

MP : 5000/5000


スキル

【鑑定(Lv3)】【錬金術(Lv3)】【インベントリ(MAX)】

【幸運】【体力超回復(Lv1)】【魔力超回復(Lv1)】


○習得可能スキル

―魔法―

【火魔法】【水魔法】【土魔法】【風魔法】【空間魔法】

【調薬魔法】【治癒魔法】【付与魔法】【テイム】【サモン】

【探知】【索敵】【清浄】


―武術―

【剣術】【槍術】【弓術】【体術】【身体強化】


―他―

【料理】【調薬】【医術】【隠蔽】【偽装】【隠密】


―特殊―

【ガチャ】【異世界通販】【複製】【スキルコピー】

【レジスト】【ライブラリ】【自動マップ】

【結界】【老化遅延】【成長促進】


―特記―

界渡り人(出戻り)


―称号―

ぬらりひょん

黒子

ナートゥーラの申し子

―――――



オ……第二界(オルダ)の管理者さんっ!

……私、チートもりもりは要らないって言ったよねーっ!!


見なきゃよかった。


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2020/08/22 短編の異世界恋愛もの「スライムの恩返し」を投稿しました 宜しかったらこちらも是非
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