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手術

1「手術」しゅじゅつ


「それで、目の方は」

もうだめですなと言う意味を込めて

医者は、首を横に振る

「よみの奴め、こんなことが、まかりい通ると思っているのか」

猫は、ふさふさの黒髪を、マスクに隠して

そうつぶやく

「義眼の方は、どれくらい」

医者は、紙の箱を、猫に渡す

最近は、ただの形だけってわけではないですが

それでも、ぼんやりと、辺りが、見える程度です

まあ、これなら、見えない方が、聴力の発達を、促し

よっぽどはっきりみえますが

彼は、すぐにでも、仕事をしたいとおっしゃっていますから、これになります」

「そうですか」

黒猫は、ちらりと、手術台を、見て、外に出た


「しかし、きりがないな」

コーヒーを片手に、黒人のこびとあの夜輪太郎が

紙の束の溜まった机をみる

しかし、それは、丸く黒いサングラスにじゃまされて

感情を読みとるには至らない

「まあそう言うなよ、仕事をこなすしかない」

トロ船の二倍はありそうな水深の水槽に座り

ゴミ袋のかけてあるパソコンを打つ少女

凶乞 骨湖 きょうこつ ほねこ

が、そう言うと

「違いない、しかし、どうして、まだ紙の書類を

作るのか、俺には理解できないね」

そう言って、あの世は、紙に、鉛筆を走らせた

「そんなの簡単じゃない、ルールよルール

それがないと、人間、自分が立つことさえ自分でできないんだからさ」

彼女はそう言うと、水槽の縁に腰を下ろし

タオルで拭き始めた

「もう帰るのかい」

ええ

彼女はそう言うと、コートを羽織って

外に出た

「はあ」

燦々とした事務所で、一人コーヒーをあおっていた

男が、ため息をはく

暗い室内で、男の目の奥がかすかに

青白く光った気がした


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