表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイスクリーム・イン・ザ・サラダボウル  作者: 志登 はじめ
【第五章】グローイング・アップ
56/155

51.5話 独白(彼の場合)

 これはもう、諸手を挙げて認めざるを得ない。


 こんな言い方をすると随分上から目線に思えるが、そう言いたくなる俺の気持ちの昂りは誰にも否定できないだろう。


 俺個人としては、彼女の才能に疑問を持っていたわけではない。初めて歌を聴いた時も、初めて詩を聞いた時も、彼女の世界に一瞬のうちに引き込まれたのだから。

 だけれども、自分が感じたその衝撃を他者が共有できるのかどうか、そこに確信は持てなかった。何せ、自分が好んで聞く音楽は所謂売れ筋の主流からは外れているからだ。別に世の中で流行っている音楽に対して逆張りをしているつもりはない。自分の好みが、単純に流行りものと合わないのだ。


 だから、俺が感じた彼女の輝きを、世間一般の人たちが同じように受け入れてくれるのかは確信が持てなかった。あの能天気な馬鹿は、そのことになんの疑いも持っていなかったようだが。それはそれで羨ましいとも思うけれど。


 でも、今日でその疑問もすっきり解消だ。だって、このフロアのお客さんたちを見て、その表情を見て、疑えと言う方が無理な話じゃないか。

(無名のインディーズバンドにひと時の夢を見させる悪趣味なドッキリ企画でもあるっていうなら話は別だが。)


 俺は今、見たことの無い景色をこの目に焼き付けている。


 だが、それはすべて彼女のおかげだろうか。


 きっと違う。では、彼女を見つけたあいつのおかげだろうか。強引にバンドをまとめて動かしたあの人のおかげだろうか。はたまた、曲を作った俺のおかげなんじゃないだろうか。


 いや、そのどれでもない。


 誰が欠けても駄目だった。今ここにある熱狂は、俺たち全員が勝ち取ったものだ。


 それを俺は今実感している。だからこそ、認めざるを得ない。それでいいじゃないか。もっと、もっと今を楽しまなくちゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ