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24.5話 独白
初めてステージから見たその景色は、正直よくわからなかった。
眩しくて、暑くて、五月蠅くて、向こう側にいる人の顔なんて、誰一人見えなかった。
最初は不安だったけれど、それも本当に最初だけ。だって、今日は上手くいくってわかっていたから。
前はよく見えなかったけれど、後ろは見なくてもわかっていた。その人たちの支えを感じていたから、私はただ、それを信じて前を向いていれば良かったのだ。たとえ何も見えなくても、ここまで連れてきてくれた人を信じて、ただ進めば良かったのだ。
それは、そんなに難しいことじゃなかった。
手探りで進んだその先で、確かに掴める何かを見つけられた。きっと私にとって、かけがえのない物になるんだろう。




