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TO ZION  作者: T@KUMI(画)、MIKI(文)
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チャプター6 インタビュー 瀧澤圭介Ⅰ

 どうもはじめまして。瀧澤圭介たきざわけいすけと申します。

 ありがとうございます。

 私、このたび課長に昇進させていただきました。

 いえいえ。実は今井君と出会ったときは、正社員ですらありませんでした。あの後に色々とあったんですが、やはり彼らとの出会いが大きかったですね。


 はい。最初にこのお話をいただいた際には、ずいぶんとびっくり致しました。私の前は、どなたかにインタビューされたのですか?今井君と、マイクさんですか。

 二人に比べたら、私などご満足いただけるようなお話ができるか・・・。

 ・・・申し訳ありません。あまり慣れていないもので。今井君を中心にお話しすればよろしいでしょうか?


 すみません。では一杯いただきます。

 ・・・ああ。やはりお酒は心をほぐしますね。そういえば、今井君とは出会ったその日から酒飲み友達みたいなものです。

 飲む前の今井君は、大分緊張してたんでしょうね。ガチガチでしたよ。

 あ!お気遣いなく、手酌でいきますんで。いやいや、本当にお構いなく。


 あの日はとても暑くてね。確か六月の終わり頃だったんじゃないかな。うん、間違いない。その前後はすごい雨の日が続いてね。

 今井君も大変な時期だったでしょう?辛かっただろうね。あんまりそういうところを見せない子だからね。


 今思えば私も偉そうなことを言ったもんです。いくら強がってもね、やはり非正規雇用だと、将来が心配になる事もありました。

 自分に重ねる部分があったんですかね。今井君を見て『こいつ大丈夫か?』とは思いましたね。

説教じみたことを言った覚えがありますよ。いやぁお恥ずかしい。


 え?私の事ですか?何か面白いエピソード喋れるかな?

 うちも貧乏な家庭でしたよ。って言っても、マイクさんや今井君と比べれば、ずいぶん恵まれてたとは思いますけどね。ありがたい話です。

 いつか彼らと話したことがありますよ。『俺たちみんな、訳ありの家庭で育ってるね』って。偶然なのかな?それとも、そういう人同士は引き付け合うものなのかね?

 逆に、恵まれた家庭に育った者同士ってのはどうなんだろうね?


 あ!すみませ~ん!ハイボール一つ!いいえ。大ジョッキで!

 ・・・・・・・・・誰しも、心の通ったお付き合いができるといいよね。


 言っても仕方ないけど、世の中って不公平だよね。若い頃は金持ちの家を羨んだよ。学費をジャブジャブ使って、私立の学校に入れてね。

 小学生の時に、近くに私立に通う子が住んでたの。半ズボンの制服着て学校行くから、こっちにはすぐに分かる。こっちは多少服が破れてて、新しいの買ってもらうにも遠慮するのにさ。

 その子を見てたらなんだか意地悪な気分になるんだよね。

 あっちにとっては、とばっちりも甚だしいよね?何も悪い事してないのにね。


 でもさ、すごく恵まれてそうなのに『僕には夢が無い』なんて言っちゃう子がいるでしょ?ある意味、可哀そうなのかもしれないよね。『満たされる不幸』ってのも、世の中にはあるのかもね。

 今井君みたいなのは貧乏人の中から出現するんだよね。やっぱりハングリー精神かね?それって大事だよね。

 人生のスタートラインが遅れてる分、ハングリーにならなきゃね。


 ごめんね。やっぱり説教臭いよね?

 本当にありがとう。よく気が付くなぁ。あなたおいくつ?へ~まだ若いのにね。

 うん。じゃあ遠慮せずにもらおうか。今度は焼酎にしようかな。

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