2話
少し短めです
翌日はあいにくの雨だった。
髪の毛も湿気でうまく纏まらないし電車は蒸し暑いしで、朝から不快指数が高いまま一日が終わる。
退勤し、いつものように電車に乗る。
降りる駅まで後3駅というところで、例のあの子の女子校の最寄駅が近づいてきた。
ちらっとスマホの画面を見ると、時刻は19時ちょうど。
流石にこの時間はいないかなとホッと息を吐いた時、電車が停車し、開いた扉の向こうからぞろぞろとジャージ姿の集団が車内に雪崩れ込んできた。
そう、私は長い社会人生活で忘れていたのだ。
学生には部活動があるということを。
改めて自分の歳を確認して落ち込んでいると、早速ジャージの女子高生達は彼氏の話で盛り上がり始める。
『ほんと有り得ないアイツ。何で彼女いるのに他の女と寝てんの』
『頭わいてるわー』
『結局身体目当てだったんでしょ』
なかなか辛辣な言葉が飛び交う。
ちらりと視線を送ると、盛り上がる女子高生の端で1人だけ会話に参加していない子がいた。
あれ?見覚えがあるなこの子…と思った時、不意にその子が私の方を向いた。
バッチリと合わさる視線。
「…あ」
相手の口がぽかんと開いた。
と同時に私の口も自然と開く。
まさか、まさか…2日連続で会うとは思いもしなかった。
ドクンドクンと心臓がうるさく脈打ち始める。
急いで視線を逸らしたけれど、見られているような気がして落ち着かない。
(車両も変えたのに…)
後2駅。
普段ならあっという間に過ぎるその時間が今は永遠に続くかのように感じられた。