プロローグ
稚拙な文章ですが、おつき合いいただければ幸いです。
「やっと完成した…」
時計の針は、朝の六時三十分を差していた。外はうっすらと明るくなっている。
どうやら、夜通し作業していたようだ。タカシは球体状の機械の中で目をこすっている。
球体状の機械は地球儀のような形をしており、軸を中心にゆっくりと回転している。地球儀と同じく二つの軸を持ち、それぞれが独立して動く仕組みになっている。
球体状の機械の外周部分には、棒状の突起が規則的に並べられており、高速回転時に熱を逃がすヒートシンクの役割を果たす。
「試運転してみるか。目標は七時三十分。約一時間後だな」
設定を目標時間に合わせ、スロットルをひく。ゆっくりと回り続けていた球体が高速回転を始め、ヒートシンクが発熱により発光していく。
タカシは、まばゆい光に包まれた。
「想像以上だな」
一時間の時間の跳躍にかかる時間は、約0.00001秒。一瞬である。計算通り七時三十分まで跳躍できたようだ。
「ヒートシンクの性能もみたいし、試しに一日間跳躍してみるか」
一日後の午前七時三十分に設定を合わせ、スロットルをひく。一日跳躍にかかる時間は約0.00024秒。一瞬である。
タカシはまばゆい光に包まれた。
まばゆい光に包まれた。
包まれた。
…。
「あれ?止まらないぞ…」
まずい。事故った。
そう感じた瞬間も時は恐ろしい速度で進み続ける。0.08秒で一年。0.8秒で10年。すでに4秒は経過している。つまり50年。
パニックになるな。タカシは自分にそう言い聞かせる。
すでに8秒が経過していた。つまり100年。一向に機械は止まる気配を見せない。
内側から破壊するしかない。タカシがそう決心するまでに、10秒かかった。しかし、そう簡単に壊れるものではない。そもそも、時間の跳躍に耐えられる耐久性を持った機械だ。いくら力を込めようが、人間の力では壊せない。
壊せないとなると燃料切れか。
いや、燃料切れには期待できない。そもそも、エネルギー源としているのは、半永久的に使用できるように改造した、超小型の核融合炉だし、燃料切れを待っていたらいつになるかわからない。
しかし、壊すより燃料切れを待つ方が堅実か。もう取り返しがつかないし。この際、行けるとこまで行くしかないか。
タカシは、寝ることにした。