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俺と僕の空。  作者: 田村 ポコ。
また出会える、その時に。
7/8

やっぱアニメの世界入っちゃってるよ。

「ふわぁ・・・。」


俺はあくびをして起きた。





いつもの天井・・・。





いつもの部屋・・・。





いつも景色・・・・・・・・・じゃない!?






「ここっ・・・どこだ!!!!!」








もう一度辺りを見回しても、自分の部屋でないのは明らかだった。






「七瀬ー。どうしたのー。」




誰からの声が聞こえた。





“誰か来る!?でも 今七星って?”





「入るわよー。」





“どうしよう!隠れた方がいいのか????”







扉のドアが開いた。






「あっ!?」





そこに立っていたのは、見知らぬ女性だった。長い髪を後ろで纏めてエプロンをつけていた。







“やばいっ!知らない家にいて、俺完全に侵入者じゃねーか?”




「おっ俺。起きたらっここにいて・・・。意味わかんなくて・・・不審者とかじゃっ!」




「はぁ?七瀬。うるさいからどうしたのかと思ってきたら、なに寝ぼけてるの?」




「はっ・・はぁ・・・?」




「どうしちゃったの七瀬。今日は高校の入学式なんだから。シャキッとして、早く起きてご飯食べなさい!」





俺は自分がどこにいて、この人は誰なのか、現状把握が全くできていなかった。






“不審がられてない??しかも、俺の名前知ってるし・・・どういうことだ?”





「あの!・・・俺っ・・・。」





「どうしたの?」





「いっいや・・なんでも・・・。」




「とりあえず早く下、来なさいよっ。」




そう言ってその女性は部屋からでて行った。




“どういうことだ?全く理解できない。どうするべきなんだ?ここから出た方がいいのか・・・?”



俺はとりあえず、ベットから出た。



どこにでもあるようなベット・机それに本棚。全てきちんと整理されていた。どこを見ても完璧だ。いや、完璧すぎだ。まるでそこにただ置いてあるだけのようにも見る。

どこにも人が使ったような跡がない。綺麗すぎる。



“でもこの部屋、前にも見たこと・・・。”





よく見ると、机の上には一枚の写真が飾られていた。



“・・・んっ!?”



俺はその写真を見て驚いた。




写真には2人の中学生くらいの男の子二人が、肩を組んで写っていた。その写真の右側の人物は明らかに自分だった。



“俺・・こんな写真撮った記憶ない・・・。隣に写っているのは誰だ・・・?”




俺は写真を顔の近くに寄せた。




「この隣の奴・・・。」




一人の人物が頭に思い浮かんだ。




“まさか永瀬悠人!?”




その人物は幼い顔ではあったが、俺の好きなアニメに出てくる主人公の親友にしか見えなかった。




「なんで・・・?」



“なんで俺がアニメのキャラと写真に写って・・・。っていうかリアルだな。合成にみえねぇ。”




俺が写真に驚いているとドアの外の遠くから声が聞こえた。





「七瀬!!まだ降りてこないの!?もう時間ないわよ!」




さっきの女性の声だ。




「はっはい!!」



俺はとっさに写真を持ったまま部屋を出た。




廊下の奥に階段が見えた。


階段を降りるとすぐに扉があった。

「普通の家だなぁ。普通じゃないのもおかしいか。取り敢えず、この部屋入ってみるか。」


そこはリビングらしい部屋で、天気予報が映っているテレビ、朝食の置かれたテーブル、キッチンではさっきの女性が何かを作っていた。




「やっと降りて来たのね。あと15分しかないわよ!早くご飯食べて、着替えなさい。そこ座って!」



「はいっ!」



訳もわからず椅子に座らされた。



「ほら!はやく食べちゃいなさい。母さん今日のために仕事休んだんだからー。あらっ何で写真なんか持ってるの?」



“母さん? 誰の?俺の?”




「これ・・さっき見てて持って来ちゃって・・・。」



「懐かしいわね。中学生になった時の写真よねー。ってほらほら時間ないからっ。」





テーブルに置かれた湯気のたったご飯と味噌汁、目玉焼きにベーコン。昨日の夜はポテチとジュースだった俺は、なんだか食欲が湧いてきた。





「いただきます・・。」




一口食べた。




「ぱくっ・・・うっうまい!」



「そんなに美味しい?珍しいわね~あんたが私の料理褒めるなんて。」




「うまいです!俺昨日の夜とかろくに食べてなくて。」




「はぁ?七瀬急に敬語なんてどうしちゃったの。それに昨日はお弁当買って来たの食べたってLimo送ってくれたじゃない。変な七瀬だわ~(笑)」



「はぁ・・・。」




“昨日ってことは、俺は以前からこの人と関わりがあるのか?でもこのリビングもどっかで・・・。それに写真にも・・・。”



俺はその時、やっと昨日の大学の食堂での会話を思い出した。



-「異世界転生って、最近アニメとかでよくあるやつだろ。現実世界で死んだら、異世界に飛ばされる的な?」

「そうそう~。でも最近面白いネタがネットでも広まってて・・・。ここ!」

「“実体験!アニメの世界に転移した男”・・・。」

「ネットのオカルト界では今すごく人気なんだよ~。」-




“まさかっ・・そんなっ・・・。”




「ねっ・・ねぇ。」




“俺・・アニメの世界に・・・。”



「どうしたのー。食べ終わったなら早く支度しなさい。」



「俺、今日林華高校に入学するんだよね?」



「まだ寝ぼけてるの?悠人くんと同じ学校に行くって猛勉強してたじゃない。」



「まじかよ・・・。アニメの学校じゃねーか(´⊙ω⊙`)」



“俺はアニメの世界に・・・入っちゃった的な!?しかも俺が好きなアニメじゃんか!”





「ほんと今日七瀬おかしいわよ。大丈夫??」



「うっ・・うん!大丈夫だよ。」



“落ち着け俺。落ち着くんだ。”



「すーーーっ。はああああああ!」



「七瀬 今日の入学式緊張してるのー?」



“「ななせ」って呼ばれてるってことは、俺主人公に成り代わってるってことか?じゃあ見た目も七瀬か?”



「そっそんな訳ないってー!おっ俺、ちょっと顔洗ってくる!」



「あらそうっ?」



俺は足早にリビングを出た。




“洗面台ってどこだ?”



俺はテキトーに合い向かいのドアを開けた。



「おっ!ビンゴ!」



そこには、洗面台と洗濯機が置いてあった。



洗面台の鏡の前に立つ。




「俺っ・・・。」



鏡に映ったのは七瀬ではなく、いつもの自分の顔だった。




“容姿はそのままなのか、残念だぁ。本当に残念だ。リアルな七瀬見たかった〜。見てぇな。俺が七瀬だったら・・・あはっ(΄◉◞∀◟◉`)笑。おいおいおい!待て、冷静になって考えろ・・・俺アニメの中にいるのか?そうだとして俺が主人公ってことは、後々生徒会長と・・・。あはははっ(΄◉◞ཀ◟◉////`)”





俺は蛇口をひねって顔にビシャビシャと冷水を当てた。




もう一度、俺は鏡を見た。





“やばい・・・やばい・・・やばいって!この状況は!”




「七瀬!いつまで顔洗ってるの!本当に時間ないんだから!」



「はーい!」




洗面台を出て、七瀬の部屋に戻った。




クローゼットを開けると、アニメで見た林華高校の制服がかけてあった。



「本物・・・ニヤッ。」




制服に腕を通す。




“俺にぴったりだ。”





「七瀬ーもう出るわよー!」


「はーい!」







そうして、俺の超絶ゴットアニメライフが始まった。





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