屋上の夕日。
あの日以来、生徒会長からのメールが定期的に送られてくる。内容は「大丈夫か?会って話そう。」こんな内容ばかりだ。
“・・・会長さんは善意で話そうとしてくれてる。でも・・・振られるのが怖いんだ・・・。”
夏休みも明け、二学期に入った。
僕はどこかで生徒会長と会うのではないかといつも考える。
“もう行くなと言われた屋上”
ガラスのない所に腰掛け、おもむろに町を眺めた。
あの日のような夕焼け。
“会長さんに怒られた日みたいだ・・・。”
・・・開かない鉄のドアが、鈍い音を立てて開いた。
“あれっ なんで・・・。”
「会長・・・さんっ・・・。」
-頬に伝う涙は自分で止められなかった。-
「小熊!!何で連絡くれなかったのだよ!俺心配してたんだっ・・・って お前・・・。なんで泣いて・・・・・・。」
“もう 生徒会長の顔がどんな顔をしているのか見えなかった。”
「かっ・・・会長さん。僕、もう・・・会長さんに振られて・・・傷つきたくない・・・。」
“小熊は 俺に振られるって思って・・・。”
「誰がお前を振るなんて言ったんだ?」
「えっ・・・?」
“会長さんのこんな真剣な顔初めてだ。”
「俺はお前に・・・、返事はまだしてない。」
“七瀬・・・俺は。”
生徒会長は僕の側に寄り、大きな体に僕を包んだ。
「俺は、一学期にお前と一緒に勉強会して、弟のように七瀬が可愛かった。“弟みたいだなっ’”ってずっと思ってた。」
「弟??」
「しーっ。最後まで聞いてくれ。」
「七瀬を愛おしく思う気持ちは、弟みたいなもんだと思ってた。でも・・・・・・。」
生徒会長の強く跳ねる鼓動を感じた。
「俺は・・・。七瀬から断りのメールばかり来た時は・・・、本気で七瀬に嫌われたんじゃないかって心配して・・・。
“会長・・・さん・・・。”
お前の幼馴染に七瀬の元気がないって聞いて、不安で寝れなくて・・・。
“会長・・・さん。”
しかも幼馴染がめちゃいい奴で、七瀬 取られるんじゃないかって嫉妬したり・・・。
“会長さん・・・。”
夏休みに電話が繋がったときはバカみたいに・・・・・・嬉しくて・・・。」
-世界はだんだん滲んでいった。-
「会長さん・・・。」
「だから・・・、だから、七瀬。お前が告白してくれたとき、やっと気づいたんだ・・・。」
“七瀬・・・俺は・・・。”
「俺は・・・七瀬のことが・・・好きだ。」
“これ・・・夢かな?僕こんな嬉しい夢・・・覚めて欲しくないよ・・・。”
「会長さっ・・・。」
「名前で呼んで・・・。七瀬。」
“大好きだ・・・。”
「友晴せんぱっ・・・んっ!?」
会長さんの体温が唇へと伝わり、塞がれた口が開き、会長さんの好きが流れ込んできた。
「んっ・・・。」
“七瀬は可愛くて・・・。どうしようもなくて・・・。”
“その小さい体が壊れてしまうんじゃないか心配なくらい抱きしめて。”
「んっ・・・はぁ・・・はぁ・・・。友晴先輩・・・。僕も・・・。」
そう言った七瀬は、夕日に照らされても、顔を赤らめているのが分かった。
「七瀬は、本当に可愛いいな。」
七瀬がたまらなく可愛いい顔ではにかむ。
「友晴先輩。大好きです!」
-会長さんの唇は、涙でちょっと塩味だけど、優しい会長さんの匂いがした。-