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俺と僕の空。  作者: 田村 ポコ。
放課後の夕日
3/8

会長の心情。





-それは突然だった。-





「・・・好きなんです!。会長さんが好きで・・・。一緒にいたら・・・僕、もう何も考えられない・・・・・・。」






“今・・・何てっ・・・。”







「気持ち悪いですよね・・・。男が男を好きだなんて・・・・・・。もうこれ以上。あなたに嫌われたくないんです・・・。」








“小熊・・・俺は・・・。どうしたら。”







「帰ります・・・。お邪魔しました・・・・・・。」







「待ってくれ・・・。 台風来てんだぞ!」







“待ってくれ・・・台風なんかどうだって・・・。”








“小熊・・・小熊・・・。”







「・・・七瀬!!」













-弟みたいって言うんだろうな こう言うの-




校内に呼び出しのアナウンスが流れる。

「3-6 吉岡友晴くん。理科室、横田先生の所まで来て下さい。繰り返します・・・。」



また横田から呼び出しだ。

新学期早々、これで5回目だ。


「今年の入学試験一位は 1-3 小熊七瀬だ。放課後にでも行ってこい。」


そう言って、横田は名前の書かれた紙切れを差し出した。


「わかりました。先生・・・。あと、先生にお願いがあります。」


「なんだぁ〜?」

横田は間の抜けた口調で返してきた。


「校内放送を頻繁に使うのは控えて下さい。あと要件は一回で済ませて下さい。」

横田先生は不機嫌そうに、オヤジ顔を歪ませた。

「なら そのお前のお堅い極道みたいな顔を、どうにかしてこい。お前のポーカーフェイスをディスるのが俺の楽しむでな(笑)そんな顔をしてると、彼女はいつまで経ってもできねぇ〜ぞぉ。」


“またこれか・・・。”


「彼女は必要ありません。大学受験に専念したいんです。」


「じゃあ・・・。」


横田は執拗に俺に寄って来た。


「この横田先生がお相手役でもしてやるよ。」

「お断りします。」

「連れねーなぁ!」


“このやり取りは、卒業しなきゃ終わらないのか・・・?”


「はぁー。」


「そう ため息つくなって。そんなにお堅いとその放課後会いに行く、可愛い可愛い後輩ちゃんにも生徒会の入会 断られるぞ(笑)」


“ムカつく。”


「それでは、俺はすごくすごく忙しいのでこれで失礼します。」


横田はつまらないとつぶやきながら、手を振った。





放課後、横田の言葉がフラグのように進んでしまった。

やはり、あの新入生。小熊くんの反応を見る限り、俺の顔はやはり堅いのか?

なんとか小熊くんを生徒会に入れないと、また横田にぶつぶつ言われるだろう。


“腰が重い・・・。”




とりあえず期限まで待ってはみたものの、やはり一回断られたものは、そう簡単に考えは変わらないか。

まぁ 最後の望みで話に行ってみるか。



教室はいない。



体育館もいない。



保健室にもいない。



いない・・・。いない・・・。



他に新入生が知っているような場所はあったか・・・?





“・・・まさか!?”



あそこは危ない。確かまだガラスが片付けられてない!





屋上のドアを開けると、案の定あの新入生がいた。


「小熊!」


“こいつ・・・。ガラスに今の今まで気づかなかったのか?”



「本当に、すみませんでした。会長さんにそんなに迷惑かけてたんですね・・・。」



小熊に怪我がないと分かった俺は、胸の絡まりがゆっくり解けた。


小熊の姿が今までよりはっきり見えるような気がした。




「本当に、世話の焼けるやつだなっ。」




夕日に照らされた小熊は、あどけなさとシュンっとなった反省の気持ちが顔にはっきりでていた。



“可愛いい・・・。”



思わず小熊の頭を撫でていた。





“弟みたいって言うんだろうな こう言うの”






「なぁ、小熊。何でお前 屋上なんかに居たんだ?まさか良からぬ事考えてたりしないよな。」

「あの・・・。僕静かに勉強がしたかったんです。屋上だと誰も来ないし、景色も綺麗だし、いいなって思ったんです。」


“勉強・・・したかったのか”







生徒会に入ってもらうために、家にまで呼ぶようになったが、いつまでも生徒会のことを言わないのも騙してるみたいだ・・・。



「なぁ小熊・・・。」


「まぁいいやっ。」


“・・・生徒会のために家招いたなんて言えない。”




「会長さんって、今まで何人の人と付き合ってたの?」

何で小熊は急にそんなこと・・・。


「2人くらいかな・・・。」

“勉強ばっかしてきたガリ勉で、付き合った事ないなんて言えない・・・。”



「ふ~んっ。じゃあ じゃあ 会長さんはどんな子がタイプなの?」


“タイプ・・・。タイプ・・・。そういやこの前 横田が胸がどうの言ってたな。”


「胸がデカイ方がいいかな(笑)」


“むっつりって思われた・・・。横田 殺す。”



「そっか。でも、会長さんはこんなに僕に勉強教えられるんだから、大学受験は楽勝!楽勝・・・


“ダメだ・・・小熊に受験を楽勝なんて思わせて勉強がお粗末になったら、示しがつかない!”



「そっ そうだよねっ!さすがの会長さんも手強い相手がいるよね~。」



“また・・・小熊に気を使わせた。この顔がいけないのか?体操でもすれば・・・。”








“今日もだめか・・・。最近学校でも会わないし。

小熊 体調でも悪いのか?”






ここ何日もずっと、勉強会の断りのメールばかりだ。

もしかして、俺が入学早々勉強を無駄にさせたり、大学について吹き込んだから、小熊は俺のことを嫌いになったのか・・・?






“なんだ・・・。このイラつきは?落ち着かない。”








いつものように 、俺は校内放送で横田に呼び出された。


「でっ、あの一位の新入生ちゃんは、落とせたの?」

「落とせた? 生徒会に入れなんて今更言えませんよ。」


横田は呆れた様子だった。


「あちゃー。ちゃんと生徒会のこと言わないであんなに仲良くしてるのかよ。かわいそうだね〜。」

「最初にすでに言って、断られたんです!」


「そうカリカリすんなって。最近のお前はカルシウムが足りとらん。牛乳を飲め牛乳を!」

「俺のことは放っておいてください。もう小熊にも俺嫌われたみたいですし。他の生徒候補を探してください。」


「はぁー。やっぱりな。もう候補は上がってる。こいつだ。」

横田は小熊のときと同様に紙切れを差し出した。

「明日の放課後にでも行ってこい。」

「・・・。」

「返事は?」

「わかりました。俺はこれで失礼します。」


横田の顔を早く頭から消したい気持ちで、すぐに理科室から出た。


横田から受け取った紙には、1-3 永瀬悠人 と書かれていた。


“小熊と同じクラス・・・。”





放課後 生徒会候補の教室に行くと、そこに永瀬悠人はいた。



“初対面でこの曇った表情・・・。何かあったのか?”


「永瀬悠人くんかな? 生徒会に入ってもらいたいと生徒会担当の先生から知らせがあってね。入ってくれないか?」



「生徒会は入ってもいいです。」

「すまんな。じゃあ 生徒会に入る手続きしておくから。」


永瀬はすかさず俺を引き止めた。

「聞きたいことがあるです!生徒会長」


「なっ、なんだ?」


「最近、七瀬が全然元気ないの気づいてますか?」



“七瀬・・・。”



「俺、七瀬の幼馴染なんです。七瀬から先輩のことはたまに聞いています・・・。先輩何か七瀬について知ってますか?俺心配で・・・。」


“なんだ・・・俺が居なくても、小熊はこんなにいい友達がいるんだな・・・。”


「・・・残念だが、何もしらない。力になれなくてごめんな。」

永瀬の曇った表情がかわることはなかった。





-小熊・・・俺はどうすれば・・・。-

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