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ペンはペンで斬る  作者: 吉見アキラ
第一章 創刊
3/43

第3話 電話

新作を書いてみました。

本日三話目の更新です。

まだお読みでない方は一話目から読んでいただけると幸いです。


『ブーブーブーブー』


 携帯のバイブ音が耳元で煩く鳴っている。

 ほっとけば留守電に切り替わるかと進はそれを放置していた。

 しばらくすると、音が止み、静けさが戻ってくる。


 するとまた携帯が鳴りだした。

 一度、気になってしまうとその音は言いようのない不快感を与えてくる。

 昨日、飲み過ぎて二日酔いの頭に響く。

 進は苛立ちながらも携帯を取った。


「もしもし」


 いかにも機嫌の悪い声で答える、進。

 それに答えた声は何とも清々しい澄んだ声だった。

 まあ、呆れかえって無ければだが。


『あんた、まだ寝てたの? 今何時だと思ってんのよ』


 進は顔を上げ時計を見た。

 時間は既に12時を回っている。

 だが、、無職の進にとって12時過ぎは別に遅い時間じゃない。

 まあ、完全にダメ人間のセリフなんだけど。


「うるせえなあ。お前、誰だよ。知らねえ奴に文句言われる筋合いなんてねえよ」


 文句を言いながら電話の向こうの人間について考える。

 声は聞き覚えの無い物だった。

 電話番号も知らない。

 こいつ誰だ?


 頭が回って来たのかようやく不信感が芽生えてきた。

 頭に警告音が鳴り響く。

 進は布団から身体を起こして周囲を見渡す。

 ぐるりと首を回すと靄のかかった頭がクリアになってくる。

 

『呆れた。わたしのことを覚えてないなんて。春奈よ。緒川春奈。大学の時、マスコミ研究会で一緒だった』


 そう言われて記憶が蘇る。

 クール系のスレンダー美女で学祭のミスコン候補にも選ばれていた女だ。


 ただ、話題になったのは一年生の始めの頃だけ。

 成績優秀で性格がきつく毒舌家。

 しばらくすると彼女を口説こうという豪の者はいなくなった。

 というか全員撃沈して帰らぬ人となったはず。


 ただ、女と思わなければ付き合いやすくて比較的仲が良かった。

 と言っても卒業してからは一度も会ったことがない。

 それどころか連絡すらしていなかった。


 そんな彼女がなんで今更?


 疑問符が尽きない。

 そんな進に彼女は一言だけ


「今日会えない。どうせ暇なんでしょ。わたしは午後十時には空くから十時半にいつも行ってた居酒屋で」


「おっ、おい!」


『プー、プー、プー』


 進の声に答えたのは電子音だった。

 既に通話は切られている。


「言いたいことばかり言って切んなよ。まだ、行くとも何とも言ってないだろうが」


 携帯に向かって叫んでみるが、それに応えるものなどいるわけがなかった。

 進は頭を掻きむしり、とりあえず、シャワーを浴びるために浴室に向かうのだった。


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