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ペンはペンで斬る  作者: 吉見アキラ
第一章 創刊
17/43

第17話 始動


「なるほどね。そんなことがあったんだ」


 ことの真相を聞いて進は納得していた。

 ちょっと都合が良すぎる気がするが間違いなく絶好の好機である。

 坂野には悪いがこの一件を利用させてもらうしかない。


「それで坂野は自分が不味いことを漏らしてしまったことを覚えているのか?」


 坂野が情報を漏らしたことを知っていると色々都合が悪い。

 一方的に情報を握っているのとそうでないのでは難易度が変わってくる。

 いま向こうに進たちの存在を知られるのはマズいのだ。


「多分、覚えてないと思うわ。翌日、電話が掛かってきて謝っていた時にはそんなそぶりはなかったもの。悪いけど、彼が上手く隠し事が出来るタイプには見えないわ」


 軽く毒を吐く春奈と進の意見は一致した。

 それなら


「まずはその胡散臭い芸能記者が誰かというところかな」


「そうね。坂野君に聞いてから、わたしもいろいろ調べてみたけど確証はまだないわ。ただ、『サーズデイ』の記者が木島奏太の周りをウロチョロしてるみたい」


『サーズデイ』は写真週刊誌の老舗だ。

 いままで数多くの芸能ゴシップを上げている。

 最近は某写真週刊誌に後塵を拝しているが誰もが知っている有名雑誌だ。


 でも、大手が捏造に加担するだろうか? 

 となるとフリー記者の持ち込みで『サーズデイ』は黙認するパターンか……


 自分も陥れられた手だけにそのフリーの記者に怒りが湧いてくる。

 しかし、直ぐに進は気を取り直して春奈に向き直った。


 それにしてもこの女は本当に侮れない。

 素人のはずなのにしっかりと情報を掴んでくる。

 もしかして進なんか必要でないのかもしれない。

 そんな進の様子を面白そうに見ながら春奈が


「ここからはあなたの腕の見せ所よ。わたしはHPの開設と事務所の準備をしておくわ」


 挑発するように言った。

 だが、進は肝心なことを思い出して額に汗を浮かべる。


「そう言えばお金が――」


「もう、その件は心配いらないわ。サーバーなんかの備品はうちの会社を使って購入すればいい。納入時期と決済時期を上手く調整すれば三か月は猶予を作れるわ。その間にこの件を片付けてスポンサーを手に入れるの」


 進の尻を文字通りに叩いて叱咤する。

 そんな春奈に進は苦笑いを浮かべた。


「なんか行き当たりばったりの博打だな」


「あら? 気に入らない」


「いや、なんだか面白そうだ」


 進と春奈は向き合って不敵に笑うのだった。


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