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ペンはペンで斬る  作者: 吉見アキラ
第一章 創刊
15/43

第15話 バカノは相変わらずバカだった


春奈視点


「いやあ、あんなところで緒川さんに会えると思わなかった。ホント、助かりましたよ」


「別に構わないわよ。ただ、知り合いだからって評価を甘くできないわよ」


「そこを何とかなりませんかね」


 社会人になって少しは変わったと思ったが、所々で化けの皮が剥がれる。

 調子のいいところは相変わらずのようだ。

 ただ、それで他人に不快感を与えないのは彼の人徳なのだろう。

 春奈は苦笑いを浮かべながらスケジュールを調整していく。


「それで主演の木島奏太さんのインタビューはとれるの?」


「調整は出来ますけど……」


 坂野の反応はいまいちだった。

 そのことを訝しむ、春奈。

 普通、主演俳優のインタビューを載せるなんて話をすれば飛びついてくる。

 ページ数は多ければ多いほど目が向くというものだ。

 読者も束の映画紹介より主演俳優の生の声を聞きたいと思うだろう。


 だけど、坂野は乗り気じゃない。

 何かあるのかなあ? 

 と疑問に思う物のそこは聞かないことにした。


「じゃあ、その辺の話は後日調整ってことにしましょう。試写会の日程が決まったら出来るだけ早く連絡してね。先生も暇じゃないから」


「わかりました。そうだ。緒川さん。この後、時間あります? オレ、今日はこれで仕事終わりなんですよ。飯って言うか飲みに行きません?」


「いいけど、わたしを接待しても宣伝の役になんて立たないわよ」


「あははははは。仕事抜きですよ。美人と飲めるとオレのストレス解消になる」


 笑いながら軽い口調でそんなことを言う。

 女性なら不快に思わせることもあるだろうが、春奈はそんなことを気にするタイプではない。

 多分、その辺も見極めて口にしているのだろう。

 軽そうでいて色々と考えている男なのだ。


 春奈は時計を確認する。


「じゃあ、ちょっと帰る準備してくるわ。一時間後に下のロビーでいい?」


「ああ、この先にスタバがあったじゃないですか? そこで時間潰してるんで適当な時間に来てください。もし遅くなるとか、ダメになるようならラインかメール入れといてください。と言う訳でアドレス交換?」


 春奈は再度、苦笑しながら携帯を取り出して私用のIDを交換する。

 だけど、ただでIDを渡すのは癪なので一言チクリ。


「なに? いつもこんな風に女の子のアドレス聞いてるの?」


「あはははは。たまにですよ。たまに。トラブルと後々面倒だから、仕事関係の女の子には基本、手を出しませんから。緒川さんは特別です」


「そうなの?」


 上目遣いでそっと迫る。

 坂野はそれに動じた気配もなく。


「だって、緒川さん。オレのこと男と思ってないですもん。いまでも自分の役に立たない男はゴミ屑だと思ってるんでしょ。そんなポーズしても無駄です。散々、利用されて搾りかすにされるのは御免ですから」


「あら失礼ね。わたしがそんなことするわけないじゃないの」


 肩を竦めて見せると坂野はうへえと下を出していた。

 この辺の軽いやり取りは大学の時のノリを思い出させてくれてなんだか懐かしかった。

 本当に最近は大学時代の知人に縁があるなあ、と一人思う春奈だった。


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