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影人

グラスクロノス

かつて、神々に作られたその世界の果てにそびえ立つ山。豊かな自然。そこに在るとされる珍しい資源を手に入れようと幾多の国が目指しそして、散っていった。人々は、その果てにそびえ立つ山を神の城。そこに広がる自然を神の庭と呼び崇めた。

その、神の庭と呼ばれる森の中に一軒の木で出来た古びた小屋が建っていた。木々に覆われ光も僅かにしか通らない場所にひっそりと。小屋が建っていた。

キィ・・・

と金具が錆び付いた扉が開き、中から人影が姿を現した。影を立たせたような黒い身体は、火のようにユラユラと揺れ、目の部分には赤く丸いのが2つ。手は、鋭い鉤爪のような指が5本生えていた。

「うーん。今日もいい天気だ。」

男とも女とも思える声を発すると影は腕を伸ばし、軽い準備運動をする影の名は、セルムルス。

「よし、行くか。」

セルムルスは、家に立てかけていた木製のクワと籠を持つと風を斬るかのような速さで走っていく。速度を緩めることなく木々を避けて走っていくこと数分、セルムルスは足を止めた。たどり着いた場所は先ほどの小屋があった場所とは違い光が森を照らし近くにある池も光を反射して美しく輝いていた。

セルムルスは、クワを肩に担ぐとある方へと歩みを進める。そして、再び止めるとそこには、小さな畑があった。畑は、4列ありその内2列は数種類の野菜が植えられており残りは、土が盛られてるだけだった。

その中から熟れた野菜を籠の中に入れていく。そして、入れて終わると今度は、何も植えられていない場所をクワを使い手慣れた手付きで耕していく。耕しも終えると今度は、その場所に先ほど収穫した野菜から種を取り出し植えていった。

「ふう。こんなものかな。」

全て、終える頃には日は真上を少し過ぎていた。

「そろそろ、昼飯にするか。」

そう言うと籠から残しておいた野菜を取り出し黙々と食べ始める。数個食べた後、セルムルスは手をかざしながら太陽を見た。

(普人族に、追われてここにたどり着いてもう500年ぐらいか・・・1人には慣れたがやっぱり寂しいもんだ・・・)

この世界には、数多くの人間が存在する。普人族。特に秀でたモノは無いもの世界で一番、多く存在する人族。獣人族。獣の特徴が身体にあり素早い身体能力を有する種族。森羅族。長い耳に美しい顔立ちと長い寿命が特徴で耳と目が良く弓を最も上手く使い生まれた森を守っている種族。魔人族。額に生えた角も青白い肌が特徴で様々な属性の魔法を扱うのに秀でている。

そして、もう一つ。

影人族カゲビト。人族の中で一番、人外な姿を持った異様の種族。しかし、その数はセルムルス1人だけだった。

(きっと、これからもずっと同じことを続けるだけ。)

朝早くに起きて畑を耕しそして収穫した野菜を食べて帰って寝るそして、明日もそれの繰り返す。それは、余りの質素で意味が無いようなものだった。

「種族を滅ぼさないためにと、今まで生きてきたが・・・もう、疲れた・・・」

楽になりたいとそして、行ってしまった仲間の元に行きたいとそう考えていたその時。

「何だ?」

ふと、微かに聞こえる音。鳥の鳴き声でも池の水が跳ねる音でもない。それは・・・

「泣き声?」

セルムルスは、陸に打ち上げらた魚の様に飛び出し音がする方に走った。


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