勇者です。魔王討伐より先に仲間にする女の子を選んできます。
「では、勇者よ。見事、魔王を討伐して帰ってくるのじゃ!」
「かしこまりました。このレオンにお任せください!!」
勇者であるレオンはロンリー王国の王様の勅命を受け、魔王討伐の為に出発する所だった。
「お待ちを!!!」
謁見の間に響く声の主は宰相トゥーリ。ロンリー王国を影で支える名宰相である。
王の前に跪くレオンに丁寧にあいさつをするトゥーリ。
「王よ、僭越ながら今、勇者を討伐へ行かせてはなりませぬ!!」
思わぬ宰相の言葉に、玉座から立ち上がり狼狽えながら問う王様。
「なぜじゃ?なぜ・・・勇者を行かせてはならぬのだ?」
「勇者の魔王討伐には、見過ごせぬ大きな問題があったのです!!今行かせては、今後100年は国が荒れることとなりますぞ」
「どういう事じゃ、理由を申してみよ!おぬしも魔王討伐に賛成しておったではないか!」
「王様、私もレオン様の魔王討伐には賛成。いえ、大賛成でございます」
「宰相トゥーリ様、このレオンめにもお教えください。問題、とは?」
「・・・魔王を討伐したと、一体どうやって分かるのですか?」
「どういう事じゃ?」
「勇者レオンが魔王を討伐したと、我々はどうやって確認するのですか!?」
「同じことを言っとるだけじゃ・・・」
「仮に、レオン様が魔王を討伐してもそれが魔王だと、我々は分かりましょうや?」
「なんじゃ、そんな事か。安心せい、レオンがなんとかするじゃろう。勇者じゃし」
「レオン様!」
「な、なんでしょう」
「貴殿は魔王を見たことはありますか?」
「い、いえ・・・ありません」
「では、どうやって魔王だと見破るのですか?」
「え?いや・・・それは何か――旅してる間に気付き始めるんじゃないですか?」
「一体何に気づくのでしょう?」
「例えば、魔王は喋るとか。めちゃくちゃ強い・・・とか?」
「なるほど、しかし魔王が喋ったとしてほかの魔物が喋らないとは限らない。違いますか?」
「・・・それは分かりませんけど」
「魔王城は大陸の遥か奥地。われわれ人間にとっては未知の土地」
「おそらく見たこともない、強力な魔物もわんさかいる事でしょう」
「もし、その辺の喋れる強い魔物が「ワタシが魔王だ!」と嘘を言っていた場合」
「あなたは、見破る事ができると言えますか?」
「あぁ・・・多分?強さとかで勇者の"勘"で分かるんじゃないでしょうか?」
「そうですか・・・」
「王様、そしてレオン様。このトゥーリ、身命を賭してお聞きいたします!」
「おおげさじゃな・・・一体なにごとか。申してみよ」
「勇者レオン様が、魔王を討伐したと嘘や勘違いをしていた場合、我々に見抜けましょうや!」
「トゥーリ!!!!!!!!!」
ははー!と地面に頭を擦り付け平伏する名宰相。
「貴様、何を言うかと思えば!言うに事欠いて、勇者を貶めるか!!」
「ははー!これも王国。ひいてはレオン様の事を思っての事!この首は捧げます。ですが諫言をお聞きくださいませ!」
「よし、よく言った!だれか、この者を斬れ!」
「王様、お待ちください!トゥーリ殿を切ってはなりません」
「ロンリー王国の名宰相と言われるお方・・・考えがあっての発言かと!勇者である私に免じてお許しを!」
「レオン様・・・あなたはやはり勇者の器・・・!」
「私もなにも、レオン様を疑っている訳ではございません。」
「疑っておるではないか」
「疑いではなく、『魔王を確実に特定した上で、魔王討伐とその証拠を示したい』のでございます」
「何事も「事実と確認」が重要なのです」
「それを疑っているというのだ。トゥーリ、そなたには――」
「お待ちください王様。このレオンにも一抹の不安がございます!」
「実は王様に命じられてからというもの、「本当にこんな俺が魔王を討伐なんて出来るのか?」という不安があるのも事実でございます」
「率直に申し上げました」
「むむむぅ・・・」
「・・・で?どうしたいというのじゃ、トゥーリ」
「私に案がございます」
「まず、我が国で調査を行います」
「調査じゃと?」
「選抜された兵で構成した中規模な軍を編成します。そして執政官2名を付け調査団として送るのです」
「この調査団は、まだ見ぬ魔王を特定し、そのサンプルを持ち帰るのが目的です」
「特定・・・は分かるとして、サンプルとは?」
「はっ、魔王の体毛や皮膚片などのサンプルを持ち帰りDNA鑑定をします」
「つまり、そのサンプルこそが魔王だという証になるのじゃな」
「ご明察です、ここで初めて勇者レオン様が魔王討伐に赴き、その証拠を持ち帰れば証明できましょう」
「道理である。トゥーリの案を採用するとしよう!」
「王様、トゥーリ殿!お言葉ですが!」
「どうしたのじゃ、勇者よ」
「魔王の力は強大だと思われます・・・調査隊が、簡単にサンプルを持ち帰るとは限りますまい」
「むぅ・・・たしかにそうじゃ。魔王を倒すどころか、傷を付けれる可能性があるのは勇者しかおらん」
「ご安心下さい、勇者様。この調査隊には、勇者様が同行すればよい話」
「さすれば、未開の敵地であっても調査隊に勇者様が付いてくれれば安心。お互い援助ができるはず」
「つまり・・・調査隊の隊長になれ・・・と」
「そこまでは申しませぬが、望むのであればそう手配することも可能です」
「で、ですが大勢の命は私には荷が重すぎるかと」
「選抜する兵士はみな、忠誠心があり魔王討伐を心から願う者ばかりです」
「王様!!!」
「勇者とは、仲間と共に苦楽を共にし、危機を乗り越え、仲間の女の子といい感じになるものです!」
「その・・・調査隊には女の子がいるのでしょうか」
「おぉ、レオンよ。そなたは言いにくい事を言いよったな!ますます気に入った!」
「英雄色を好む。と言います。王様ならこの気持ちお分かりいただけるかと・・・」
「こほん、これは遊びではないのですが、お望みであれば調査隊に女の子も同行させる事を許可しましょう」
「では、決まりじゃな調査隊を編成し執政官を選ぶとしよう!」
「そしたら出発じゃ」
「いや、お待ちください。サンプルを・・・持ち帰る必要があるのでしょうか?」
「確かに、トゥーリ説明せよ」
「あくまでサンプルの話は、勇者様が同行しない場合の手段でございます」
「執政官二名が確認すれば良いのです」
「あまり言いたくはないのですが、どちらか片方の執政官が亡くなった場合などは・・・」
「慎重になるのも頷けます。では執政官は複数名としましょう」
「女の子は・・・仲間にする女の子は、この私が選んで良いのですか?」
「こちらが手配します」
「それは待ってください!!話が違う!!!」
「どこの馬の骨か分からぬ女が居ては、調査隊の士気にかかわります故」
「待てトゥーリ、わしからも頼む。女の子は勇者に選ばせよ」
「それが・・・男というものだ。違うか?」
「王様ぁ・・・」
「かしこまりました。他に問題が無ければ―――」
「お待ちください!!!!!」
飛び込んできたのは各大臣だった
「あまり大規模になりすぎると・・・調査隊とは言え道中危険は多い。兵站はどうするのですか!」
と国防大臣。
「勇者さまが討伐した場合の、報奨金はいかほどに??あと、調査にかかる費用を計算しなければ!」
と経済財政大臣。
「魔王領の分割など、他国との調整を行わねばなりません。独占的に支配すれば、必ずや周辺国と戦争になります!」
と外務大臣。
「我々の知る限り、魔王領の環境にはやや懸念があります。兵の命の為にもまずは調査を!」
と環境大臣が。
あーでもない、こーでもないと飛び込んできた大臣たちが議論し始める。
この騒動を尻目に、王のもとにこっそりしのび寄る勇者
「王様、私は仲間にしたい女の子を、今のうちに選んできてもいいですか?」
「す、すまんのう」
「いえ、魔王討伐は大事業ですから、理解はしています」
「たすかる・・・して勇者よ。どのような、おなごを?」
「優しくて、包容力のあるお姉さん魔法使いがいいなぁと」
「むほほ、最高じゃな!!!」
「ロリっ子テイマーや、金髪碧眼のエルフも捨てがたいと!!!」
「かーーーー!!たまらんのう!!」
この後、調査隊は無事に魔王を討伐し、英雄になった勇者は王様と少し歳の離れた親友になったとさ。
読んで頂きありがとうございます。
エルフには並々ならぬクソデカ感情があるので、機会があればそういうのも書きたいです。




