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圧迫面接されたので聖女は辞退致します(できない)

作者: 沓子
掲載日:2026/03/19



 

 ドアを開ければそこは面接会場だった。地獄のような就活を終えたばかりなのに!?



「地味顔だな、可愛げもないし暗いわ」

「転生後に何すんの? え、考えてないの? なんで? ビジョン無し転生? マジ?」

「そんなので転生チートできるか! やる気がないなら帰れ!」

「俺Tueeeできると思ってた? ざーんねん、あんたはモブ♡キャハハ!」

「いつ転生すんの? 今でしょ!」



 ちょい待てや。ハラスメントてんこ盛りじゃねーか! 訴えるぞ! あ、証人が加害者しかいない。

 密室こわい。




 散々言われた後に合格だから聖女ね! とか意味わかりません。誰がやるか!



 謹んでお断りしたら面接官? がなんか慌てて言い争いしてた。

 えっ、日本風にしようって言い出したの誰! どこが日本風だ謝罪しろ! ウケ狙いだったのに! 全然だろうが! 今の時代コンプラ引っ掛かりまくりよ! でもやってみたかった! 反省はしない! 神だから!!



 んーなんか変なこと言ってるような。よくよく見ると、服おかしい。スーツ誰も着てない。ギリシア神話にRPGみを足した感じの神様っぽい装い。ん、いやゴスロリもいるし革ジャンもいるな……。なんこれ。


「転生……、聖女……?」


 就活後の解放感でゲームのちカラオケで三徹したから、判断力が皆無でした。

 これ転生なの?


 ひとつ言いたい。


「どうせなら就活前にしてよぉおおお!!」





 Q 私、死んだの?

A 亡くなったけど老衰です


 どゆこと?

「死ぬのは今の年齢から六十数年後、老衰でだね」

「???」

「僕らからすると人間の人生、全部見渡せるしどの時点も同じなの。天寿を全うした君の二十歳の時をちょっと切り取りました」


 こんなイメージ、と精巧なジオラマが出現して模型列車が走っている。


 ちなみに自称神様の綺麗なお兄さんはメイド服着用してて視覚的にうるさい。金髪ですごい似合ってるけど話が入ってきにくいです。

 隣の美しいお姉さんは革のライダーズジャケットにぴっちりデニムが素敵。



「この電車が君でここは終着駅ね」

 ひょいと取り上げ車両を一つ外す。駅の上を跨いだ橋のようなレールがあり、切り離したのをそこに乗せあとは駅に戻した。

「上のこの切り離しが今いる君。下のほう、駅にいるのが老衰した君。こんなふうに次元は異なる。こっちの君が転生して、こう、新たな人生を」

 しゅっぽしゅっぽ。ぽっぽー。


 ????

 繋げた部分は動力ないんでは何で走るのとか色々と突っ込みたいがとりあえず。


「説明にプラ◯ール必要でした?」

「僕の趣味。日本の玩具と菓子は神。他の国は繋がりにくいから分からないけど英国興味ある。オカルト洋楽鉄道模型に王室スキャンダル」



 神はあんたでしょーが!

 面接に続きまーた遊びやがったなこの神。あれだけ何人もいるなら、もっときちんと説明してくれる神が良かったなああ。

 外野神が「いやいや漫画アニメラノベが神」「食と酒!!」「テレビが神。バラエティすき。GODは何しにニッポンへ? とアド街ならぬアド天やって欲しい」「一局偏りすぎ問題。だいたいテレビは旧世代。動画こそ至高」

 ゲームがスポーツが犬と猫が馬が温泉がJーPOPが、と騒がしかった。

 全員アカンわ。異世界(日本)に染まりすぎ。論争の末、アイドルは3次元と2次元どっちだと思う!? と詰め寄られたが無視。

 神々の争いにニンゲン巻き込まないで。



Q 関係ないが他国が繋がりにくいとは

A 日本人の多くは口にしないで

   心に溜めるでしょ

   大エネルギーなの。地震と同じ

   その分が創作意欲になったり想像  

   力豊かになったり怨念になる

   とにかく念が、思いがすごく強い

   だから付喪神とかが産まれる

   日本のみんなが涙して応援した

   砂漠に散った鳥の名の探査機も

   既に神上がりしてる

   きみらすぐ祀るしねー

   異世界転生するのもこのせい

   神隠し何割かは異世界転移


   念が異世界との繋がりを作る鍵

   国民単位での想念量が凄いから

   ある程度の道が出来ちゃってる

   日本という国自体もそれを増幅

   させる個性を持つ

   

 へー。


 神は色々できるらしい。老衰私と二十歳私ふたりいるが輪廻とかどうなると聞けば、異世界は別次元につきノーカウント。本体がコスプレ遊びしたくらいの感じみたい。

 異世界で一生を終えれば元の時間軸に帰れるという。


 二十歳私の異世界人生は、大往生した私からすれば1時間ほど。1時間二十歳私が抜けるくらいは、一時的な物忘れと変わらない。

 終えたら自然な合流が成される。らしい。あの跨線橋の切り離し車両が走ってれば、駅にいる本体と再連結するようにね、だと。

 帰ったらあの三徹明けからリスタートかあ。


Q 老衰私を転生で良かったのでは

A 年寄りにあんな面接ナシでしょ

  若い方が話が通じやすい


 ……そもあんな面接すんなし。二十歳なのにもう老衰死確定って何。


Q えーと、入社辞退します?

A 会社違うし。転生だし。



「おめでとう! アタリの聖女転生でーす」

 チリンチリンとハンドベル鳴らされた。商店街のガラポンが当たった時のやつ。

 不安しかない。昨今の聖女って陥れられたり追放されたり死に戻りがトレンドでは?



 大変遺憾ながら、この度転生致します。





 プ◯レールの記憶と共に転生する。願わくば婚約破棄も追放も処刑もないシナリオで!






「みんなだいじょぶー? エリアヒール!」

「ぬおおおぁ!!!」

「おお、聖女さま!」

「聖女様だ! まだやれるぞみんな!!」




 ここは魔の森。私聖女、いま戦闘中なの。

 イメージが違います! 

 聖力を纏い魔物を殴る仕事があるのがこの世界の聖女。素手で、杖で、フライパンで! ハリセンも可です! 蹴りでもオッケー!! 瘴気も殴って消し飛ばすのです!

 つーか私まだ五才! 労基! 児童保護!



「っちょおおお!! せいじょキーック!」

 純白の聖女服を真紅に染めて聖女はゆく!

「「「せ・い・じょ! せ・い・じょ!」」」

 あーヤダヤダ、世紀末覇王じゃあるまいし何なのコレ!

 コールはやめて手を動かして! 一応聖力持ち部隊なんだから。





「今日もお疲れ様です、聖女様」

 戦闘後のテントで神官が恭しく膝をつく。

「このふく、うごきにくいのです。すこし大きくなりましたから」

「手直しいたします」



 魔物の血に塗れた聖幼女です、どうも。

 来た最初は普通の修道女服だったのに、だんだん変わっていった。闘えないんだもの!

 スリットが入ったチャイナ服的な作りにした。細身のパンツもきちんと履く。女の子だしね!

 魔力使い果たしたからクリーンもできないなあと思ってたら、神官がやってくれた。


 

 齢五つにして魔物との殴り合いに慣れていく自分が怖い。聖女とは。

「来月から学園ですね。しっかり学んでください」

 帰りの馬車で神官が恐ろしい事を言う。

「そんなよゆー、ある……?」

「業務には度々呼びますよ」

「ろーどーがふえる!?」

「学業は労働ではなく楽しい義務です」

 いけしゃあしゃあと嘘をつく神官をビシリと指差して糾弾してやる。

「うそ! しってるもん。はずかしいせいせきにならないよーに、あらかじめべんきょうしていくっていってた!! ようじにつめこみよくない!」

「勉強は大丈夫でしょう。マナーが問題です、人を指差してはいけません」

 しくしく嘘泣きしていたら護衛騎士にひょいっと抱っこされ膝に座らせられてしまう。

「あんがとなー聖女様。おかげで今日も生きて帰れるよ」

「お前はまた、不敬だぞ! 申し訳ありません二の聖様」

「……おまもり、いっぱいつくる」

 私が留守の間に誰も死なせない。目の前のやんちゃなラズも堅物ベリーも他の人も。




「あら、ちんちくりん聖女のご帰還ね」

 私みたいな平民聖女は戦闘要員で、癒す聖女は貴族令嬢なんだよね。ただ私は魔力量がぶっ壊れなのでどちらもやらされる。もうだいぶ聖力回復してるし。

 ディアンヌは公爵令嬢で、麗しき癒しの巫女と呼ばれ人気が高い派手な金髪美人だ。

「さっさと風呂に行きなさい」

「ただいまディアンヌ。わたしはこれからすぐ治癒ぎょうむだから」

「は?」

「エステル様、お早めに」

 神官が迎えに来た。休む暇くらい欲しい。

「ちょっと待ちなさい! 戦闘後に治癒ってバカですわ!? そこのあなた、この子は幼児よ、死ぬわよ!? ふざけないでっ。ああもうスケジュールは誰が組んでるの!?」




 私の代わりに怒ってくれる。ディアンヌはツンデレさんなのだ。ツンツンしながら「平民には口に合わないかもですわね!」と高級菓子を箱ごとくれたりする。

「ありがとね、でもへーき。お茶をのんだらいくね」

「お黙りちんちくりん、私が替わります。無理するとますますチビになりましてよ」

「しかめっつらだとシワができちゃうよディアンヌ。せっかくびじんなのに」

「シワなんか財力で殴りますわ。ゆっくり休まないと永遠にチビですわよ!」

「ありがとう、ディアンヌだいすき」

「まっ! なっ! な、何も出ませんわよ! 余ったケーキがあるから後で取りにいらっしゃい、捨てようと思ってたゴミですわ!」

 きっと私の好物のミルクレープだ。残念美人さんだけどとても良い人。




 いじめもなく平穏な生活。魔物撲殺と勉強さえなければね。

 一撃必殺スタイルなのでそこ以外の損傷がなく、私の仕留めた魔物はだいたい高値で買い取ってもらえる。私のお給料に少し色がつくので嬉しい。

 今のところ婚約させられる気配もないし魔王もいない。魔物から人間の生活圏を守り人を癒す聖女は尊敬と敬愛の対象だ。

 魔物を間引かないとすぐ居住圏を脅かされてしまう。



「ふう、つかれた」

「二の聖様、四の聖様からお届けものです」

 神官見習いのポリーがディアンヌからの箱を持ってきた。二の聖とは私。魔力量はトップだが最年少なので二番目である。順列になんも意味ないけどね。

「わあ、すごい」

 中身は色とりどりの綺麗なケーキだ。ぎっしり詰められていてどう見ても余りじゃない。八個も入ってる。

 聖女だからって清貧生活でもない。きちんとバランス良く食べないと聖力だって回復しないし、精神に余裕がないと聖力が乱れる。



「あら、またケーキ? 変わり映えしませんわねディアンヌ様ってば」

 いつの間にか三の聖ライラが部屋にいた。



「ライラもたべようよ」

「お誘いいただいて嬉しいですが、私は甘いものは食べませんわ」

 ライラは酒豪だからねー。十六から飲める国で良かったね。

 庶民がもっと早くからエールを飲むのは水より安全だからだ。近くに綺麗な水源がなければ生水は飲めない。魔物がいるとすぐ汚染されてしまう。水の浄化も業務だが追いつかない。

 貧困層はそんな事も言ってられないので、死亡率が高い。この国はましだけどなんとかならないかなあ。



 ライラはその儚げな風貌からは想像しがたい毒舌家だ。主にディアンヌや高慢な貴族に対して、裏で貶しまくる。いや、ディアンヌには面と向かってもだ。でもやっぱり私に優しい。

「あなたに似合う香油を調合しましたの。ふんわりフローラルで刺激が少ないのです」

「ありがとう!」


 薬師でもあるライラはポーション作りがメイン。気に入らない相手のポーションにはよく魔法でおかしな効果をつけている。

 副作用ですわねと何食わぬ顔でしれっと言い放つのだ。

 いや、副作用で一日中足が臭くなったり、脇をずっとくすぐられてる感覚になったりしないから。

 前世と同じ黒髪黒目の私は、プラチナブロンドにバイオレットの瞳のライラもゴージャスな赤髪にエメラルドの眼のディアンヌも羨ましい。

 だが聖女の格としては黒髪の私のが上らしい。


「いつ見ても可愛らしいですわね、エステル様は」

「あざとかわいさをめざしてる。ライラはいつみても、せいそなびじょだね」

「まあそうですわ、どこぞのお色気安物聖女とは違います」

 ディアンヌdisは忘れない。



「わたくし達は十五からの奉仕で十九にはお務め終了ですが、エステル様は拘束が長いですわねえ」

 なんと三歳からやってるのだ。あと十四年、確かに長い。



「もうじき、ちょうききゅうかがあるし」

 半年に一度、十日の休みがある! 海に行ったり山に行く。だがその度にクラーケン退治やキマイラ討伐になるのは何故?

「エステル様、あの腹黒神官に騙されてますわ。休暇先を誘導されてます」

「えっ、そうなの!? リストがはらぐろなのはしってたけど」

「どうも腹黒神官です。エステル様、お休みは勉強にあてましょうね」

 突然現れてまた怖い事を言う腹黒。

「やすみじゃない! それぎょうむ!!」

「体は休まりますから。合格ラインに達したらお仕舞いにします」

「やだやだやだー!」

 


 前世年齢がどうあれ、感情は身体年齢に引っ張られる。リストめ、ハゲの呪いかけてやる! 髪をすごーく成長促進したら何回も抜け変わって毛根限界になんないかな。



「あなたに期待するからこその愛の鞭です」

 にっこリスト。笑顔が胡散臭い神官ってどうなの。

 ライラがジト目してるよ、誰も信じないよ。



「ううう……せいじょにマナーっているの」

「要人との謁見やお茶会に会食、夜会など様々な機会がありますね。ほらまた崩れています、そういう時はナイフを使って」

 せっかくディアンヌが代わってくれた空き時間に授業が始まった。ちょうどいいからこのケーキを使いましょうだと。

 ミルフィーユを美しく食べる作法とか知らんがな。ライラは行ってしまい腹黒リストと取り残される私。


「たべたきにならない!」ガシャ!

「カップは静かに置く。持ち手は掴むではなく三本指で摘む。やり直しです」

「ようじはあくりょくないの。むり」

「あなた身体強化できますよね」

「つかいかた、おかしい! せいりょくはひとびとのためにっ」

「はい間違い。身体強化は魔法なので使用するのは魔力。勉強もやり直さないと」

 ムッキー!!



「はぁ~だりーわ……、なあエステルちょっくらヒールかけて」

 ノックもなく現れた一の聖アリサ。

「ほらみてアリサにマナーあるの!?」

 断りなく立ったままケーキを手掴みで食べ出すアリサを指差す。

「一の聖はこれでも出るところに出れば完璧です」

「ねこかぶればいいってもんじゃない!」

「はー? だりぃ話すんなし」

「あっわたしのミルクレープ! とっといたのにぃ!!」

「好きなモンは先に食うのが基本だ。覚えときな」

 基本優しいが傍若無人なアリサは第一王女なのだ。普通王族は聖女にしないが、能力の高さと本人希望で務めている。大変な務めに立候補とはなんと気高く心優しい王女と評判です。手掴みでも優雅さはあるのが不思議。ミルクレープぅ!!



「もうじき卒業になっちまう。この生活ともおさらばかあ」

「せいじょのほうびで、せーりゃくけっこんはなしでしょ」

「結婚とか超だりー。魔物殴って暮らしたい」

「陛下には治癒業務だけと伝えていますから口を滑らせないように」

 腹黒の注意がアリサに向いてる間にミルフィーユを片付けよう。

「人前でそのケーキは禁止します」

 チッ、腹黒め。

「治癒はだりーんだわ。聖女ヅラしないとだし」

「おうじょはとくにたいへんだね」

 ディアンヌがゴージャスでライラは清楚、アリサは知的美人だ。ストレートの青髪に切れ長なコバルトブルーはどちらも王家の色。



「他人事みたく考えてんな? エステルも王族入りすっかもだぞ」

 隣にどっかり座りニヤリとするアリサ。

「ぎくっ。わたしはエセスローライフをおくるよ!」

「似非スローライフ」

「しぜんゆたかだけどこうつうべんりなとこで、きまぐれにうしのせわしたり」

「観光地で悠々自適ね。本物スローライフは大変だもんな」

「とかいじんにはむり」

 動物捌いたりね。私は魔物なら捌けるが。



「あなたの保護監督権は教会ですよ」

「せいじょけいやく82の13に、こんいんのきょうようはなしとある」

「チッ」

 神官が舌打ちすんなし。全部読んだし訂正も入れた。魔法契約にさせてもらったら皆驚いてたなあ。三歳の私ができるとは考えてなかったようだ。

「自分で読んだか、偉い偉い。他の奴らは父親任せだったのに」

「アリサもめをとおしたでしょ」

「私は速読スキル持ってるから」

 ズルいー。



「王子様との結婚に憧れないのですか」

「よめしゅうとめ、こどもはまだかのあつりょく、そくひとのころしあい。むり」

「ホントに五歳? ウチはそこまでドロドロじゃないぞ」

「こんやくしたら、えんざいでついほう、またはしょけいされる」

「リスト、子供に読ませる本は選べ」

「いやこの子初めからです。聖女にそんな真似したらそれこそ追放ものなのに」

「おうじのこいびとは、みりょうもちだったりする。ハニートラップのばあいも。そっきんまでみりょうして、ハーレムじょうたい」



「……リスト」

「承知しました」さっと退室する腹黒。

 ? なんだろ。



「ありがとうな」

 数日後、晴れやかな顔をしたアリサに礼を言われた。

「弟が学園でまさにあの状態だった。その腕輪が気持ち悪いと女に言われ魅了避けを外してたそうだ。卒業パーティーで婚約破棄を画策していた。まだ未遂だから全員再教育」

 びっくり。本当にあるんだ。

「女に他国の影はないが、全攻略で隣国皇子ルートがなんちゃらと喚いてたぞ。まだ怪しい」

「……じぶんがヒロインだといってなかった?」

 びっくり顔のアリサ。

「何故分かる?」

「えっとね、ゆめでみた。ほかのせかいにあるものがたり」

 転生つき婚約破棄魅了バージョンを話して聞かせる。低位貴族の養女か平民の可愛い系に気をつける、手作りお菓子や香水にも。

 ヒロインはただモテたいお花畑が多いので陰謀を深読みすると疲れるだけ。

「───エステル、細かく書類にして提出してくれ。聖女業務は私たちで代行する」



 婚約破棄モノで思いつく限りのパターンを口述、書記に書き取らせた。悪役令嬢ヒロイン型では国がザマァされ他国から散々な目に遭うことまで。

 異世界まで来て何をさせられているのか。



 結果、高位貴族の間でまた私の評価が上がってしまった。王家の醜聞なので公表はされないが、人の口に戸は立てられない。

「学園では大変な事になりますわね」

 ディアンヌが嫌な予言をする。

「先見ができ心優しく戦闘力抜群。愛らしい容姿に素直な性格。教会のヒモは付くといえ超優良物件ですわ」

「ディアンヌはわたしをそんなにひょうかしてるんだ。ありがとう」

「わ、私は事実を述べただけですわ!」

「あなたのご実家も興味津々でしょう」

 しれっとライラ。今日は聖女のお茶会。アリサはまた遅刻してる。



「まあ、そうですわ。ライラのお家だって」

「わたくしは歓迎です。エステル様が妹になるなんて素敵」

「……いもうと」

 ディアンヌが固まった。

「ねえエステル様、ちょっとわたくしを姉呼びしてみて」

「? ライラねえさま」

 満足そうなライラ。

「わたしも! ちんちく、じゃない二の聖、私も呼びなさいっ」

「はい、ディアンヌねえさま」

「───!!」

 どちらも妹はいないらしい。この後はふたりでやり合っていた。



 憂鬱な学園生活が始まる。

「憂鬱だあ」

「あら、なんだか話し方が変わりましたね」

 行きの馬車でポリーと同乗している。貴族じゃないからお付きの人は付けられないので、学園寮までの見送りだ。

「漢字で話すことにした。しっかりしないとね」

「? カンジ? まあ、しっかりするのは良いことです」

 今までは平仮名で喋ってる感覚でいたが、お子様ムーブは辞めだ。学園でうっかり婚約でもさせられたら目も当てられない。シャキッとしないとね!

 漢字入りで話すと大人びて聞こえるみたい。

 婚約の阻止やその辺は目の前の腹黒が考えてはいるだろうけど。

 さあ、頑張って何事もなく終えよう!




「………は?」

 気づいたらアパートの部屋の前。頭がガンガンしている。

 これはどう考えても日本。


「えっ私中途半端に死んだ?」

 ひらりと紙が落ちてきた。

『第一部終了! 学園編は準備が出来次第のスタートだよ。楽しみにしてる視聴神が増えたので色々調整中です。またね!』



 あの馬車からリスタート? いつ? 気構えってもんがいるんですが! 視聴神って? 配信してるんですかー!?

 でも良かった。みんなにまた会える。ディアンヌにライラにアリサ、ラズやベリーや騎士のみんな、お世話してくれた侍女や教会の人、ついでにリスト。

 けど心情的に言わせてほしい。




「打ち切り連載みたいなのやめてよねー!!」



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配神中とは リアリティーショー扱いするならもう少し援護したれよ
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