異世界恋愛に出てくる簡単に討伐される魔王の話
「魔王様、勇者とそのパーティーが来ました」
「おう、通せ」
俺は魔王アキラ、転生者だ。
魔王って言っても魔族の戦長だ。
平時はやることない。
時々、こうやって勇者パーティーが来てその相手をするぐらいだ。
「勇者ルド!」
「その支援パーティーだ」
おお、来たね。俺は椅子から立ち上がって。
「良く来たね。君らの武芸を拝見したい」
すると、羽の兜を被った奴が勇者か?
「シャイングブレドード!」
「支援魔法!能力2倍!」
とかいろいろ披露してくれる。
「はあ、はあ、どうだ!魔王!戦おう!」
俺は拍手をして。
パチ!パチ!パチ!
「やあ、すごいよ。かなわないな。君らの勝ちだ!」
と魔石や素材を渡す。
魔族領に落ちているから無料だ。もってけ勇者状態だ。
「さあ、お帰り下さい。地竜車を用意しよう」
彼らはお土産を持ち帰る。
これで討伐したことになるであろう。魔王の首とか必要なく承認されるらしい。
全く血を見なくて良かったぜ。それにしても魔王軍の防衛戦はガバガバだ。
いや、魔王軍は攻めに特化しているから仕方ないか。
そのうち。噂を聞きつけて沢山来た。
「魔王!勝負だ!」
「魔王!討伐に参ったわ!」
「やあ、やあ、魔王、尋常に勝負せよ」
全て、武技を見て、お土産を持たせて帰した。そしたら、魔王直属の商務卿が報告に来た。
「魔王様、これ、実質、貿易になっていますよ」
「佐々木、何だって?」
佐々木梓、こいつは転移者だ。女子高生だ。商才があり商務卿にした。
「貿易って何だよ」
「観光業ですね。城下街にホテル、あと、魔族領への地竜馬車・・・料金を頂いています」
「はあ、それ、何か違うだろう。勇者の旅って、苦難を乗り越えて来るものだ」
「魔王様が気前よく魔石をあげるから・・・料金を払っても儲けはでます。こちらは魔石は無料なのでウハウハですよ」
「じゃあ、良くないか?」
「いいえ良くないです。人族諸国では、大変なことになっていますよ。国へ帰った勇者が婚約破棄をしています」
「はあ!何だそれ!」
いいですか?魔王様、魔王討伐は価値がインフレしていますが、未だ討伐成功には価値があります。
魔王討伐国は国威を増します。
凱旋した勇者は婚約者を捨て王女や貴族令嬢と婚約を結びます。
それが常態化しつつあります。
「はあ、有名なお笑い芸人は、成功しても支えてくれたストリッパーと結婚したぞ!男だねと昭和の観客は心の中で拍手したものだ」
「はあ、知りませんよ。魔王様のせいですよ。沢山の女の子が泣いています」
「女にしたって、なんでそんなクズと婚約を結んだのだ!」
「知りませんよ。どうするのですか?」
「決まっている!全軍集合、魔王軍出動だ!」
魔王様はこうして、四天王を集めて出動しました。
☆☆☆ルルド王国
「リーミ、婚約破棄だ。俺は魔王討伐を成し遂げた。だから、王女と婚約するぜ。こんな貧素な泉を守る聖女が婚約者なんて、もともとおかしかったのだ」
「そんな。ルド、私は一生懸命に支えたのに!」
その時、怪鳥に乗った伝令が王都の方から来ました。
「勇者殿!至急王都に来て下さい!魔王軍襲来です!」
「ああ、分かった。かる~くやっつけてやる」
「泉の聖女、リーミ殿も来いとの魔王軍の要求です」
「はあ?こんな祈る事しかできない聖女が?」
怪鳥に乗って王都に行くと。
魔王軍が取り囲んでいました。
あの大きな四本の角があるのが、魔王?私とルドは魔王の前におりました。
「魔王?また、やっつけてやるよ。シャイングブレード!」
しかし、ルドの必殺技を魔王が、フウ~と息を吹くだけで威力がなくなりました。
「あれ、あれ、シャイング・・・・」
「馬鹿者!」
魔王のデコピンで、ルドは吹っ飛んだわ。
「ギャアアアー!何で、何で!」
「婚約破棄をしやがって、貴様、それでも男か?後は梓、やれ」
「はい、魔王様、ガオ吉君、あれ、ワンワン砲撃っちゃって」
【ワオオオオオー—ン!】
大きなオオカミが咆哮すると。
その威力によりルドの鎧と衣服が吹っ飛び。裸になったわ。
「ヒィ、そんな!」
黒髪が肩までの・・・瞳も黒い種族、人族かしら、女が私に話しかけたわ。
「あなた、婚約者さんよね。勇者、助けてあげて」
「はい、とにかく、ルド、落ち着きなさい」
私は国号にもなったルルドの泉の水をかけ。
「ルドよ。落ち着き給え~!」
ピカッ!
「グスン、グスン、リーミ、グスン」
「まあ、ルド・・・」
ルドは昔に戻ったわ。
魔王軍の黒髪の女は。
「リーミさん。これからどうするかは二人で話し合って。もう、王女と婚約は無しになったでしょう」
「はい・・・」
よく分からないけども、私は婚約・・・破棄するとこに心の中で決めたわ。
その後、魔王軍は城に乗り込む。
魔王は城を壊したそうだわ。
「いいか、この門は木だ。城壁は石だ。武具は鉄だ!」
と言いながら、それぞれ門、城壁、騎士の武具を壊し。
「人智を超えた者を魔王と言う。こんな木や石、鉄でとまらねえ。魔王を倒したきゃ。人智を結集してこい。それに祈りを捧げろ!人族の祈りが勇者に乗っかって人智を超えるのだ。分かったか。王よ」
「ヒィ、これ以上、壊さないでくれ」
「お前を守るのは騎士であって、それをささえる国民を大事にしなきゃな!」
陛下に説教し。
あの黒髪の女は。
「魔王軍に攻められたら大変ですよね。貿易しましょう!貿易をすれば侵略されにくくなりますよ」
と陛下を口説き。条約を結んだそうだ。
それを魔王討伐国々全部にしたそうよ。
私は・・・・あの女、ササキからパンフレットをもらった。
「魔族領観光ツアー案内です。落ち着いたら彼と来て下さい」
「はい・・・」
「でも、討伐は覚悟して下さい。魔王様と戦うには四天王、それぞれの印鑑が必要になります。
覚悟のある者のみです。次は容赦しないそうです」
「はい・・・でも、ルドとは別れます」
「それは良かった。貴方の決断を尊重します」
そう言えば、不思議だった。
魔王討伐を成し遂げたクズ勇者、クズ勇者に討伐出来るのか。いったい魔王は何体いるのか・・・・
知らなければ良かったわ・・・と初めてお父様がカツラだった真実を知った気持だわ。
最後までお読み頂き有難うございました。




