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3、猫カフェ

猫カフェに行く途中で迷子を見つけ。

俺達は警察に送り届けた。

それからその迷子ちゃんのかなに折り紙を貰った。

横に居る新島は顔を崩しながらニヤニヤしていた。

折り紙がよほど嬉しかったのだろう。

そんな感じの顔だった。


「いつまでそんな顔しているんだよ」

「めちゃくちゃ嬉しかったからです。申し訳ないです」

「気持ちは分からんでもないがいくらなんでもニヤニヤし過ぎじゃないか?」

「えへへ。そうですかね」


新島由紀はそう言いながら顔を綻ばす。

コイツが将来、浮気をするとは誰が思ったのだろうか。

そう考えつつ複雑な思いで俺は新島を見る。

それから「新島。猫カフェはどこにあるんだ」と聞く。

すると新島は「はい。猫カフェは住宅街の中にあります」と答えた。

俺は「そうなのか」と返事をする。


「はい。住宅街の一角です」

「そうなんだな」


そんな場所に猫カフェか。

12年後でも知らない。

それにコイツと一緒に猫カフェに行く事になろうとはな。

考えながら俺は新島を見る。

俺達は住宅街に来た。


「佐元くん」

「?」

「子どもって可愛いですよね」

「ああ...?まあ確かにな」

「えへ。ですよね」


それから満面の笑顔になる新島。

俺はそんな顔を見ながら「?」を浮かべた。

そして俺達は歩いてから住宅街の中を進んでいると。

確かに猫カフェらしき場所が出て来た。

こんな場所があるとはな。


「佐元くん。此方です」

「ああ」


そして俺は移動を開始する。

住宅が見えた。

本当に古民家みたいな場所だ。

俺はその感じに見上げていると新島が「お婆さんが住んでいましたけどお婆さんは老人ホームに入ったんです。それからそのお婆さんの望みでお孫さんが猫カフェを作りました」と説明してくれた。

俺は「そうなんだな。全く知らなかった。よく知ってるな」と新島に言う。

すると新島は「...」と無言になってから数秒で明るくなる。


「まあ私が猫ちゃんが好きなので!」

「...そうか」


俺は一瞬沈黙した新島を見る。

多分だが今の沈黙は虐待の事に関してかもしれない。

虐待の...痛みを思い出したのかもしれない。

そう考えつつ俺は「大丈夫か」と声をかける。

すると新島は「あ、はい...」とぎこちなく返事をした。


「行きましょうか」

「そうだな。せっかく来たしな」


それから俺達は古民家の中に入る。

すると「いらっしゃ...おお!由紀ちゃん」と威勢の良い感じの女性が出て来た。

若い感じの笑みが絶えない女性。

顔立ち的には美人だ。


「はい。長里さん。...あ、佐元くん。此方、長里青海ながさとおうみさんです」

「はじめまして。佐元幸助です」

「...は、はじめまして」


長里さんが絶句している。

どうも勘違いされている様だ。

俺は苦笑いで居ると長里さんは新島に「ちょ。彼氏?」と聞いていた。

長里さんに驚く新島。


「違いますよ!知り合いです!」

「えー?にしてはこの場所に男性を連れて来たの初めて見たよ?ふふ」

「違いますから」


新島を長里さんは更に言葉攻めする。

「もしや髪型、容姿、服装が変わったのは...」と言いながらニヤニヤしつつ。

新島は「も、もう良いですから!」と赤面で慌てる。

すると足元から「ニャー」と声がした。


「三郎」


長里さんに呼ばれた三郎という名の猫は茶色の毛並みをしている感じの...右前脚が無かった。

俺は「!」となる。

三郎は三本脚で立っていた。

ヨタヨタ歩いている。

だが大地を一生懸命に歩いていた。

俺は無言になる。


「この猫カフェは...虐待を受けた猫を専門に引き取っているカフェなんだ」

「...三郎はなにがあったんですか?」

「...あまり言いたくは無いけど前の飼い主があちこち動くのが厄介だって前脚を剪定バサミで切断したんだよね」


その言葉に「最低だ...」と言いながら三郎を見る。

三郎は生気に満ちた感じで俺を歓迎していた。

俺を。

いや。

前の飼い主の人間を殺しても構わないぐらいと思うのに。

三郎はゆっくり俺に近付いて来る。

複雑な心境だ。


「三郎も嬉しそうだねぇ」

「...他に何匹居るんですか?」

「三郎以外には6匹かな」

「...同じ様な目に?」

「三郎はあまりに最低且つ特殊すぎるけどね。...まあ後は虐待として口を針金で巻かれたりした...子かな」

「最低極まりないですね。なんの為に...」

「うるさいから鳴かない様にする為だね」


そう長里さんは話す。

俺はショックを受けながら三郎を見る。

すると長里さんは「まあ。一先ず深刻なのは置いて。まずは中に入らない?」と言ってくる。

その言葉に俺は「はい」と返事をした。

そして俺は横に居る新島を見た。


「新島。行こうか」

「ですね」


俺達は店内に入る。

店内になる部屋には猫が確かに居た。

その猫のうち。

直ぐに一匹に目がいった。

その猫は黒縁の有る白い毛並みの子だ。


「...」


針金が巻かれていたと思われる口周り。

そこは地肌が剥き出しだった。

毛が生えない様だ。

俺は目が合ったその子を見てから椅子に腰掛ける。

対面に新島が座った。

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