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残照の革命  作者: Nuhs
第9章ー軍神の修行編ー
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軍神の眼

 山間の霊子濃度が高い特異領域――かつて“鬼の修練場”と呼ばれた戦場跡。

 今そこには、討魔省の精鋭たちが一堂に会していた。


 悠真、月夜、玲央、蓮、真琴、直人、瀬奈――すべてが現討魔省の若き精鋭たち。

 だが、彼らの前に立つ男の視線は冷たかった。


 山本平八郎。


 かつて「軍神」と呼ばれた老戦士が、義手を組みながら全員を見渡す。


 「……お前ら、今までよく戦ってきた。だが」


 その目が、一人ひとりを射抜くように鋭くなる。


 「──このままでは、間違いなく“全員死ぬ”」


 空気が凍った。


 平八郎の声は、穏やかだが冷酷だった。そこに希望や慰めの色は一切なかった。


 「勘違いするな。俺は“期待”してるわけじゃない。ただ……“警告”している」


 義手の拳が、無造作に岩を砕く。まるで玩具のように。


 「原初の魔徒。奴らは“災厄”そのものだ。戦いではない。“死の前触れ”だ。

 その一撃は概念を穿ち、その一息は感情を殺す。下手に踏み込めば、塵すら残らん。……お前たちは、まだ“その領域”にすら立っていない」


 彼は、一歩、歩み寄る。


 「この俺が、過去にどれほどの“才能ある若者”を見送ったと思っている」


 声が低く、重く響いた。


 「誰もが、自分の能力を誇っていた。“この力なら通じる”と信じて疑わなかった。だがな──」


 足元を見やる。


 「“能力”だけでは勝てん。“力の本質”を知らぬ者に、生存はない」


 悠真たちは言葉を失っていた。平八郎の言葉は、ただの脅しではなかった。


 それは、無数の“若き死”を見送ってきた者だけが持つ、“確信”だった。


 「だが……俺はもう一度だけ、手を貸すことにした。理由は話した通りだ。あいつが、俺の弟子が……お前たちに未来を託したからだ」


 平八郎は、全員の前で杖を地面につくと、静かに告げた。


 「これより、お前たちに《霊子深化訓練》を施す。“能力”ではない。“その先”にある“真の在り方”を見せてやる」


 彼の目が、月夜に向いた。


 「まずはお前からだ、神崎月夜」


 そう呼ばれた月夜は、ゆっくりと立ち上がった。


 「お前の《帰蝶》は、“受け入れ”の力だ。だが、受け入れるだけでは“壊れる”。

 このままでは、誰かを庇って、何も残さず死ぬ」


 月夜の表情が引き締まる。


 平八郎は続けた。


 「“力”に選ばれただけでは、生き延びられん。“力の使い方”を、お前の心に刻み込め」


 そして、瞳を閉じながら、独りごとのように呟いた。


 「……この眼に焼きついている。希望を抱き、理想を語り、そして無惨に散っていった“英傑たち”の姿が。

 死者の数だけ、俺は知っている。“何が足りなかったか”を……」


 彼の言葉はまっすぐだった。


 「だが逆に言えば……生き延びた者は、みな己を変えた。“自らの在り方”を、力に昇華した」


 平八郎の瞳が、静かに揺れた。


 「さあ行け。今から先は、“誰かに教わる”場ではない。自分自身の深層と対話する地獄だ。

 ……お前たちが、本当に“生きて帰りたい”と思うならば、だがな」


 その声に、誰も返事はしなかった。


 ただ、全員が無言で──しかし確かに、“前を向いた”

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