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残照の革命  作者: Nuhs
第3章ー序列戦編ー
16/49

序列戦開幕

 

 朝の訓練が終わり、食堂ではざわめきが広がっていた。


 「なあ、聞いたか? 今年の三級、序列戦が始まるってよ」


 「おいおい、マジかよ……。アイツも参加するんだろ?あの暴走継承者。」


 「そりゃ当然だろ。あの斬撃? ヤバすぎんだろ、マジで……」


 「けど、制御できてなかったら意味ないし。俺たちにも勝つチャンスはあるぜ?」


 生徒たちの視線が自然と集まる中、悠真はパンを齧りながら黙って耳を傾けていた。


 (……序列戦、か)


 「はいはい、注目だ!」


 けたたましい声と共に、食堂に教官の一人が現れた。長身で筋骨隆々の男、堂島剛志だ。


 「今週末から、三級訓練生による『序列戦』を正式に開始する。これは訓練校内での順位を決定するための個人戦であり、戦闘成績・異能運用・戦術理解などを評価する重要な訓練だ!なお、上位10名は二級訓練生への昇級とする。」


 生徒たちがどよめく中、堂島は悠真の方へわざとらしく視線を投げた。


 「もちろん、今年の注目株――二重継承の坊主も参加だ。お前の順位は最下位からスタートだがな!」


 「……っ」


 食堂に笑いが巻き起こる。


 「そりゃそうだよな。制御不能だもんなー!」


 「でも……楽しみだな」


 そんな中、悠真は立ち上がり、静かに食器を片付け始める。その背に、直人が声をかけた。


 「気にすんなって。むしろ、ここから見返してやればいい」


 「……ああ。最下位からなら、あとは上がるだけだ」


 そう呟く悠真の瞳に、静かな火が灯っていた。


—————-



 翌日


 討魔高校、西棟一階•訓練生アリーナ


 序列戦の第一戦が開始された。


 円形のアリーナの観客席には、同級生や教官たちが集まり、初戦の組み合わせに注目が集まっている。


 第一戦の相手は、三級訓練生の一人――神山蓮斗。剣術系の異能を持ち、訓練生の中でも安定した実力を持つ男だ。


 「悪いけど、俺、あんたの“過大評価”にはちょっとムカついててさ」


 神山が肩を回しながら言う。


 「伝説の継承者? 二重継承? それってさ、あんたの実力とは別だろ?それに、あの刀。アレから使えないんだろ?」


 神山の口元が歪む。


 「……そうだな。でも、俺にはそれだけじゃない。 それを証明する為にここに来た、この“序列戦”ってやつで」


 悠真が静かに構えを取る。


 


 ――開始!


 


 訓練場に響く開始の合図。


 神山が先に動いた。体術と剣術を融合した戦闘スタイルで、一瞬で間合いを詰めてくる。


 「ッはああああっ!!」


 鋭い斬撃。悠真は紙一重でそれをかわしつつ、拳で牽制を入れる。まだ“力”は使わない。


 「動きは悪くないな。でも――俺の剣に届くには、ちょっと足りない!」


 神山の霊子剣が閃く。


 だが――


 「……なら、こっちはこれで返す」


 瞬間、悠真の背から赤い霊子がふっと立ち上がる。千子村正は具現しない。だが、“不屈”の力が全身に満ち、反応速度と耐久が一段階上がる。


 神山の剣が肩を掠めるが、悠真は構わず突き進んだ。


 「うおっ……!?」


 正面から拳――ではない、肘打ちが叩き込まれる。間合いの読み合いで勝った悠真の勝利だった。


 その一撃で神山は地に倒れ、立ち上がれなかった。




————— 


 「勝者、日向悠真!」


 堂島の声と共に、場内がどよめいた。


 「うおっ……マジで勝ったぞあいつ!」


 「やっぱ“伊達”じゃねぇってことか……!」


 仲間たちの声援の中、悠真は肩で息をしながら静かに立ち上がる。


 ベンチに戻ると、直人、瀬奈、玲央が待っていた。


 「初勝利、おめでとさん。」


 「まあ、相手も強かったけど、悠真も冷静だったわね、」


 「……ありがとう。けど、まだ一戦目だ。ここからが本番だろ」


 その時、ふと視線を感じて観客席を見ると――教官席の端、紫苑が静かに彼を見つめていた。


 冷たいが、どこか意味深な眼差し。その隣に座る副官らしき女が何か耳打ちをするが、紫苑は小さく笑みを浮かべただけだった。


 


 ――悠真の戦いは、まだ始まったばかりだ。

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